クラウン・マジェスタ 【1995,1996,1997,1998,1999】

日本の美意識と先進技術を融合させた高級サルーン

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“上級プレステージサルーン”の全面改良

 クラウン・シリーズのトップモデルとして、1991年10月に発売されたクラウン・マジェスタ。英語で“威厳”“尊厳”という意味の“MAJESTY”から命名された高級4ドアハードトップサルーンは、標準仕様のクラウンと一線を画す防振サブフレーム付きモノコックボディに大型化したエクステリア、質感を高めた内装、3968cc・V8エンジンに4輪ダブルウイッシュボーン式の足回りなどを採用し、新たなトヨタ製ラグジュアリーカー像を作り上げた。

 高級トップサルーンの2代目を企画するに当たり、開発陣は“時代に先駆けた高級車”を目指す。そして“最高の誇りと満足”の提供をメインテーマに据えた。具体的には、品格と個性を高めたエクステリアと日本人の感性にフィットしたインテリア、余裕ある動力性能と卓越した走行安定性による新鮮な走り、そして安全装備の充実や低燃費化による安全・環境への一層の配慮を達成目標とした。

 エクステリアは、先代モデルと基本的なプラットフォームを共用したうえで独自の重厚かつ優雅さを表現。ピラード4ドアハードトップスタイルをベースに大きくラウンドしたグリルや水平基調の落ち着いたサイドシルエット、縦長のテールランプを配置したシャープなリアデザインで構成した。ドア開口部の拡大やトランク開口部の高さを低くするなどして使い勝手を向上させたのもポイントだった。
 インテリアは、ゆったり感や心地よさ、繊細さの実現がテーマとなった。伸びやかで広がりを感じる水平基調のインパネやファブリックの使用部位を増やした高級感のあるドアトリム、吟味された表地を使ったうえで豊かなクッション性を持たせたシートを採用。また、車両前方・側方・後方の視界も広げて安全性を向上させた。

「この車は、まずオーナーを誇りたい」のキャッチで登場

 2代目マジェスタは、搭載エンジンに改良版の1UZ-FE型3968cc・V8DOHC(265ps/37.0kg・m)と2JZ-GE型2997cc・直6DOHC(220ps/30.0kg・m)を設定する。1UZ-FE型は圧縮比の変更および吸気冷却ダクトの導入による燃焼効率の向上や構成部品の軽量化ならびに高剛性化などを実施。2JZ-GE型は連続可変バルブタイミング機構のVVT-iを新採用するとともに、高圧縮比化および摩擦損失の低減化といったリファインを実施した。
 開発陣はシャシー性能の向上についても力点を置く。サスペンションには支持剛性を引き上げたうえで操縦性と安定性を向上させた4輪ダブルウイッシュボーン式を採用。さらに、エアサスペンションには路面状況や車速に応じた減衰力の連続制御=スカイフック制御を取り入れた。ほかにも、先進の車両安定制御システムであるVSCを4WDのi-Fourに導入する。

 第2世代となるクラウン・マジェスタは1995年8月、10代目クラウンの4ドアハードトップ(ロイヤル・シリーズ)と同時に市場デビューを果たす。
 キャッチコピーは高級サルーンならではの所有欲をくすぐる「この車は、まずオーナーを誇りたい」という表現だった。グレード展開は2JZ-GE型エンジンを積むAタイプ、1UZ-FE型エンジンを搭載するFタイプとCタイプを設定し、最上級グレードのCタイプはi-FourモデルやGPSボイスナビゲーション付エレクトロマルチビジョン装着車が選択できた。

1UZ-FE型エンジンにもVVT-iを採用

 クラウンらしい日本の高級車の伝統美と同時に、アメリカンラグジュアリーカーを彷彿させるリアビューを有した2代目マジェスタは、ユーザーから好評を持って受け入れられる。その人気を維持しようと、開発陣は巧みなマイナーチェンジやグレード展開の拡大などを図っていった。

 まず1996年5月には、2JZ-GE型エンジンを搭載するベーシック仕様のEタイプを追加する。同年9月には、1UZ-FE型エンジンを積むFRモデルにもVSCを装備した。1997年7月になるとマイナーチェンジを行い、1UZ-FE型エンジンのVVT-i化(280ps/41.0kg・mに向上)、内外装の小変更およびディスチャージヘッドランプの採用などを実施する。さらに1998年10月には、Fタイプをベースとする特別仕様車の「オーナーズエディション」をリリースした。

 セルシオとクラウンの間を埋める魅力的なラグジュアリーサルーンとして市場で確固たる地位を築いた2代目クラウン・マジェスタは、1999年9月になると全面改良が行われて第3世代に移行する。3代目は新時代パッケージングの名のもとにボディタイプがサッシュ付きの4ドアセダンに一新された。結果的に2代目が、最後の“高級4ドアハードトップ車”となったのである。