カローラFX 【1992,1993,1994,1995】

DOHC20Vの強心臓を手に入れたFFホットハッチ

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標準車の1年遅れで新型デビュー

 1991年、カローラシリーズは7代目へと移行。そのモデルチェンジから1年遅れで、カローラFXは、3代目へとフルモデルチェンジを実施した。この1992年5月のデビューは、4ドアハードトップモデルであるカローラセレスの誕生と同時だった。

 3代目カローラFXの特徴は、スタイリングにあった。初代、2代目で培ってきたアクのないクリーンなイメージから脱皮する形で、ウェッジシェイプのハイデッキフォルムを採用。骨太で、力強いエクステリアを生み出した。ボディラインアップは3ドアのみ。初代と2代目では3ドアのほか5ドアモデルも用意したが、3代目では5ドアを設定していない。ボディサイズは全長4095mm×全幅1685mm×全高1375mm、ホイールベース2465mm。先代と比較すると、全長は100mm長く、全幅は30〜40mmワイドで、全高は15mm高い。ホイールベースは35mmの延長で、ひと回り大きなボディへと進化を遂げているのが分かる。

ハイパワー20Vエンジンを新設定

 メカニズムのハイライトは、レビンにも搭載した20Vの4A-GE型エンジンである。1587ccの直列4気筒DOHC20V仕様で、各気筒に吸気バルブ3本、排気バルブ2本を備えていた。ここにVVT(可変バルブタイミング)機構を備え、最高出力160ps/7400rpm、最大トルク16.5kg-m/5200rpmを発揮する。この20Vエンジンのほか用意されたエンジンは、1.6リッターのハイメカツインカムの4A-FE型。1587cc直列4気筒DOHC16Vで、最高出力115ps/6000rpm、最大トルク15.0kg-m/4800rpmをマークした。レビンでは1.6リッターのほか1.5リッターモデルも用意していたが、カローラFXは1.6リッターに統一した。

 トランスミッションは両エンジンともに5速MTと4速ATをラインアップした。入念なボディー剛性の強化が図られたのも3代目FXの特徴で、レビン同様、足回りにはスーパーストラットサスペンション(SSサス)を採用している(20Vエンジン搭載のGTグレードに装着車を設定)。

後席ダブルフォールディング機能を採用

 ハッチバックボディの魅力を存分に発揮するため、3代目カローラFXではラゲッジスペースまわりの使い勝手を強化した。まずハッチゲートは、ヒンジを前方に移動させ、バンパー後端からのゲート開閉時の軌跡のはみ出し幅を低減。狭い場所での開け閉めの利便性を図った。リアシートは6対4の分割ダブルフォールディング式で、積載する荷物と乗車人数に応じてアレンジできる。現代では決して珍しくない機能だが、当時の国産2BOXモデルでは先駆となった。ボディーのハイデッキデザインによりラゲッジスペース容量は331リッターを確保。クラストップの容量を備えていた。

 軽快さを魅力としたカローラFX。3代目はメカニズムや走りとともに、欧州車とも肩を並べる実用性も備えたモデルとなっていた。魅力を磨き上げてきたカローラFXだが、1995年のカローラシリーズのモデルチェンジの際、この3代目を最後にトヨタのラインアップから姿を消すことになる。そして、カローラの新たな2BOXモデルの登場は、2001年のランクスまで待つことになった。