ダイハツデザイン4 【1976,1977,1978】

革新的な5平米コンパクトカーと新軽乗用車の登場

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


車体寸法の拡大で存在感を増した新軽乗用車

 1976年1月、新しい軽自動車の車両規格を定めた運輸省令が施行される。ボディサイズは従来の全長×全幅×全高3000×1300×2000mmから同3200×1400×2000mmに変更。エンジン排気量は360ccから550ccに拡大された。

 ボディが一回り大きくなり、エンジンパワーも増強された軽自動車は、再びユーザーの注目を集めるようになる。低迷していた販売台数も回復軌道に乗り始めた。その勢いに乗って、ダイハツ工業は1977年7月に既存のフェローMAX550を「MAXクオーレ」にモデルチェンジする。キャッチフレーズは“心(イタリア語でクオーレ)、ひろがれ”。ボディ幅が100mm広がり(1295mm→1395mm)、室内の居住性と走行安定性が向上した事実を端的に表したコピーだった。

 一方、車両デザインに関しては、全長の延長分をバンパーの拡大に充てて衝突時の安全性を引き上げ、同時にサイドにまで回り込ませた横桟基調のフロントグリルや丸目2灯式のヘッドライト、流れるようなサイドのキャラクターライン、視認性を高めたリアコンビネーションランプなどで見た目の存在感をアップさせる。ボディタイプは2/4ドアを用意した。室内については、質感と操作性(軽自動車初のマルチユースレバーを採用)を高めた装備類に新デザインのシートを配置。搭載エンジンはデビュー当初がAB-10型547cc直2OHCを採用し、1979年3月のマイナーチェンジ時には昭和53年排出ガス規制に対応したAB-40型ユニットに換装した。

“5平米カー”を開発テーマに据えたシャレード

 MAXクオーレのデビューから3カ月ほどが経過した1977年10月、ダイハツ工業はまったく新しい発想のもとに開発したコンパクトカーを発表する。“5㎡カー”(車両の投影面積が約5平方メートルの合理的なサイズの小型車)と称する「シャレード」を市場に送り出したのだ。

 ヨーロッパ車の合理精神を取り入れたシャレードは、パッケージングの秀逸さに注目が集まる。ボディは4ドア+ハッチバックで仕立て、全長3460mmに対してホイールベースを2300mmと長くとる。さらに、トレッドは前1300/後1280mmとワイドにして台形フォルムを構築し、1.6リッター車に匹敵する広い室内空間を確保した。各部のアレンジにも工夫を凝らし、横長で広がりのあるフロントグリルにシンプルな丸目2灯式のヘッドライト、両側面を豊かに膨らませたタンブルホーム、厚みのあるCピラー、機能的にまとめたスクエアタイプのリアコンビネーションランプなどで無駄のない端正なルックスに仕上げた。

 コンパクトなフロントセクションに収まる動力源も斬新だった。搭載エンジンは世界初のレイアウトとなる水冷4ストローク993cc直3OHC(CB-10型)を採用。55ps/7.8kg・mのパワー&トルクを発生し、600kg台の軽量ボディを俊敏に走らせた。

“マリンウィンドウ”を組み込んだクーペの追加

 合理精神の塊としてスタートした初代シャレードは、1978年9月になると新たな魅力を加える。“あのシャレードから、走りのクーペ誕生”というキャッチコピーが示す通り、スポーティ仕様のクーペが設定されたのだ。

 クーペといってもボディタイプは2ドア+ハッチバックで、積載性のよさは失われていない。また、“マリンウィンドウ”と称するクオーターピラー部の円窓や開閉が可能なリアウィンドウ、大型化して安全性を高めたバンパー、ウォークイン機構を内蔵した助手席、後席のシートバック可倒機構などを装備。“スタイリングのためのスタイルより、うちに機能をこめたスタイルがいい”と称して、スポーティモデルでも使い勝手のよさと合理性を追求した。

 シャレードの発表から5カ月ほどが経過した1978年3月には、ダイハツ工業の旗艦モデルであるシャルマンが大がかりなマイナーチェンジを敢行する。
 スタイリングについては、フロントノーズのスラント化やリアビューの刷新などを行って見た目の上級感をアップ。同時に、内装色の変更や木目調パネルの採用、後席アームレストの設定なども実施していた。