グロリア 【1983,1984,1985,1986,1987】

高性能V6ユニットを搭載した伝統プレミアム

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セドリックの兄弟車となり日本の高級車像を提示

 第二次世界大戦中には各種軍用機の生産で知られた立川飛行機は、戦後は電気自動車の生産(東京電気自動車)を経て1952年11月にはプリンス自動車と社名を変更、1966年8月には日産自動車に吸収される形で合併した。プリンスブランドには高級車グロリアがあった。
 日産はセドリックと同クラスの高級車ながら、合併後もしばらくの間はグロリアを独立したモデルとして扱っていた。だが、大幅なモデル合理化を行った1971年2月に登場した230系からは、グロリアをセドリックとのバッジエンジニアリング(同一のモデルをブランドのみ変えて販売する)というべきモデルとした。

 1983年6月にデビューしたグロリア(Y30系)は、セドリックとの双子モデルとなってから4代目、通算では7代目となるもの。グロリア(Gloria)の車名は、旧プリンス時代に1959年4月の皇太子殿下御成婚を記念して採用されたものだ。
 既にこの時期、トヨタのクラウンと並んで国産高級車の代名詞となっていたセドリック/グロリアは、5ナンバーサイズという寸法的な枠組みの中で、最高級車としてのポジションをより明確にしていた。スタイリングは時代のトレンドであった直線を基調としたシャープなラインで構成され、特にクロームメッキを施したセンターグリルと角型ヘッドライトは、クラウンなどとは異なる、独特の雰囲気を持っていた。旧型からの外観上の変化は少ないが、多くのユーザーからは極端な変化を嫌うオーソドックスなモデルが求められていたということでもある。

国産量産車初のV6エンジンがメインユニット

 車種構成はノッチバックの4ドアセダン、4ドアハードトップ、および5ドアステーションワゴンの3種で、いずれも5名ないし6名の定員となる(ワゴンは7名ないし8名)。ホイールベースは2730㎜、2リッターの4ドアハードトップのボディサイズは全長4690㎜、全幅1690㎜、全高1425㎜で5ナンバーサイズに収まっている。2ドアハードトップの復活はなかった。

 駆動方式はフロント縦置きエンジンによる後2輪駆動で、4輪駆動仕様の設定はない。搭載されるエンジンは排気量2960㏄のV型6気筒SOHC(VG30E型、出力180ps/5200rpm)を筆頭に、排気量1998㏄のV型6気筒SOHCにインタークーラー付きターボチャージャー搭載(VG20ET型、170ps/6000rpm)、同NAエンジン(VG20E型、130ps/6000rpm)、さらに排気量1973㏄の直列4気筒SOHC(CA20S型、110ps/5600rpm)のガソリン仕様のほか、排気量2792㏄の直列6気筒SOHC(LD28型、91ps/4600rpm)のディーゼル仕様があった。トランスミッションは4速オートマチックと4/5速マニュアルでシフトレバーの位置はフロアとコラムが選べた。
 サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろが5リンク/コイルスプリングの組み合わせとなり、上級車種のブレーキは前ベンチレーテッドディスク、後ろディスクを装着していた。

パーソナルカーとして独自の個性を表現

 インテリアは豪華さを強調したもので、標準仕様のファブリック張りのほか本革張りもオプション設定されていた。
 グロリア系は、兄弟車であるセドリック系よりは、オーナー自らがステアリングを握る機会の多いスポーティーなパーソナルカーと位置付けられていたようで、室内のカラーリングやアクセサリーにも、そうした性格を反映していた。

 Y30型グロリアのCMキャラクターは、先代の430型同様、ゴルフの帝王、ジャック・ニクラスが務めた。同時にハードトップシリーズには、430型と同様、その名を冠したジャック・ニクラスバージョンをラインアップ。専用シート地などジャック・ニクラスバージョンならではの装備を採用した。ベロア地にチェック柄を施したシートは、キャビンをスポーティーなムードで包んだ。さらに世界初の雨滴感知式間欠オートワイパー、4名分のポジションを記憶するマイコン式フロントパワーシート、録音機能付きカセットデッキ、局名表示・番組予約機能付き電子チューナー、ブロンズガラスなどの先進装備を装着。ジャック・ニクラスバージュンは、パーソナルイメージを強調した上級モデルで、パワーユニットは2リッターV型6気筒SOHCターボユニット(170ps/22.0kg-m)を搭載していた。