ウイングロード 【2005~2018】

実用性をぎゅっと詰め込んだ遊べるワゴン

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個性的なスタイルを持つ実用ワゴン

 幅広い用途をイメージしたウイング(翼)とクルマが走るロード(道)を組み合わせて車名とした日産ウイングロードがデビューしたのは1996年5月。以来、実用的なステーションワゴンとして好評を得て、2005年11月に登場した第3世代は2018年に生産を終了するまで根強い人気を誇った。
 初代のウイングロード(Y10型)は、サニー系のコンポーネンツを流用していた。ポジショニングとしては、かつてのサニーカリフォルニアの血統を継承したモデルだった。1999年5月に登場した第2世代(Y11型)を経て、2005年11月に第3世代(Y12型)に移行する。ホイールベースが2600㎜の日産Bプラットフォームを使うモデルで、キューブやラティオ、ティーダなどと共通する。ボディサイズは5ナンバー枠に収まるものとしているが、スタイリングは個性的で、室内の広さはこのクラスとしては十分以上のもの。

 駆動方式はフロント横置きエンジンによる前2輪駆動が基本だが、電気モーターを後車軸に置く、日産独自の4輪駆動システムであるe-4WDを搭載した仕様もある。搭載されるエンジンは排気量1498㏄の直列4気筒DOHC(HR15DE型、出力109ps/6000rpm)および排気量1797㏄の直列4気筒DOHC(MR18DE型、124ps/5200rpm)の2種が設定されている。トランスミッションは4速オートマチックとCVT。一部車種には、CVTに6速マニュアルモードにパドルシフト機構も加えられたタイプを搭載していた。車両重量はe-4WD搭載モデルでも1300㎏以下と比較的軽く、性能的に不満はない。

長いライフスパンで完成度をアップ

 ラインアップは、エアロ系とノーマル系の2シリーズを展開。エアロ系は、1.8リッター(128ps)の「18RXエアロ」と、1.5リッター(109ps)の「15RXエアロ」を設定し、1.5リッターには4WDモデルの「15RX FOUR エアロ」を用意した。ノーマル系も1.8リッターの「18RX」と1.5リッターの「15RX」を設定したほか、ベーシックグレードとして「15RS」をラインアップ。「15RX」と「15RS」の1.5リッターモデルには4WD仕様も用意した。

 3世代目のウイングロードは、長いライフスパンを持っていたが、それは、この種の実用的なモデルでは頻繁なモデルチェンジなどよりも、時間をかけてモデルを熟成する方が認知度が高まり、結果として完成されたモデルとなることができるからある。ウイングロードは、日本車には珍しい、実用的な持ち味を色濃く強調したクルマとなっていた。デビュー以来の改良やグレードアップは少なくなく、スタイリングなどは大きく変わっていないが、実用的なステーションワゴンとしての完成度は極めて高いものとなった。

充実した装備内容の持ち主

 パワーウィンドウや集中ドアロック、タコメーター、後席リクライニングなどは全グレードに標準とし、プライバシーガラスやオートエアコンなどはベーシックグレードを除き装備したが、装備の充実はデビュー後も図られ、全車にオプション設定だったインテリジェントキーは後に一部車種に標準装備とされた。また、時代の要求に応じる形で、燃費の向上が図られている。2009年4月にはエンジンマネージメントを見直し、「平成22年度燃費基準+25%」を達成している。2010年12月からはヘッドライトの仕様を変更したモデルを設定した。

 ファミリー向けステーションワゴンから業務用コマーシャルユースまでの幅広いレンジをカバーする多用途車として、ウイングロードは貴重な存在だった。