ライトエース・ワゴン 【1992,1993,1994,1995,1996】

グレードアップを果たした第4世代の1BOX

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1BOXワゴンの車種設定の整理

 1985年9月のデビュー以来、大衆1BOXワゴン市場を牽引していた3代目ライトエース・ワゴン。一方でトヨタ自動車は、1990年5月になると新世代の多人数乗りワゴンを市場に送り出す。ワンモーションフォルムに床下ミッドシップエンジンレイアウトを採用した“高性能ニューコンセプトサルーン”のエスティマを発売したのだ。また、この車両レイアウトを活かしたうえでボディを小型化した新モデル(1992年1月デビュー時の車名はエスティマ・ルシーダ/エスティマ・エミーナ)も企画していた。

 エスティマ・シリーズは、既存のキャブオーバー型1BOXワゴン、すなわちライトエース・ワゴンやタウンエース・ワゴン/マスターエース・サーフとユーザー層が重なる−−。対応策としてトヨタは、既存のキャブオーバー型1BOXワゴンの車種整理を決断する。具体的には、ライトエース・ワゴンとタウンエース・ワゴンを統合する形でのモデルチェンジを実施し、同時にマスターエース・サーフはカタログから落とす方策を打ち出した。

キャッチフレーズは“BIG STAGE”

 従来は上級クラスに位置していたタウンエース・ワゴンとの統合によって車格がワンランク上がった第4世代のライトエース・ワゴンは、1992年1月に市場デビューを果たす。基本グレードは上位からFXVリミテッド/FXV/GXL/LD/スーパーSW/SWで構成。キャッチフレーズはクラスアップの事実を端的に表現した“BIG STAGE”とし、特長として、大きなラウンディッシュボディ/大きなキャビン/大きな使い勝手を掲げていた。

 ボディについては、従来型よりも全長と全幅、ホイールベースを拡大したうえで、ラウンディシュかつ上質なフォルムを構築する。具体的には、クリスタル感にあふれ、引き締まった表情を見せるフロントビュー、リア部まですっきりとした一体感をもって流れるフラッシュサーフェス・クオーターウィンドウ、カラード化した前後バンパーなどでアレンジした。また、ルーフには従来と同形状のスカイライトルーフに加え、電動ツインムーンルーフを設定する。

 キャビンは、機能性と快適性をアップさせるとともに、上質感を引き上げたことが訴求点だった。ドライバー空間ではステアリングおよびスイッチ類の操作性の向上やインパネの視認性アップ、各種ウォーニング機能のさらなる充実化を実施。上級グレードにはイージーアクセスパワーシート&チルトステアリングを設定する。装備アイテムとして、オーバーヘッドデュアルオートエアコンやクール&ホットボックス、ビルトインリアヒーター、電動カーテン、リア蛍光灯などをラインアップした。3列式のシートは2/2/3人乗車の7名乗りと2/3/3人乗車の8名乗りを用意。セカンドシートには回転対面機構を、サードシートにはスペースアップを装備し、フルフラット機構も組み込む。また、シート材質には静電防止+防汚ファブリックを採用した。

 搭載エンジンは改良版の3Y-EU型1998cc直4OHV(97ps/16.3kg・m)と2C-T型1974cc直4OHCディーゼルターボ(85ps/17.6kg・m)の2機種を設定する。トランスミッションは5速MTと2ウェイOD付4速ATの2種、駆動機構には2WD(後輪駆動方式)と4WD(パートタイム式)をラインアップした。

最後のキャブオーバー型1BOXワゴンに−−

 車格が向上した新型ライトエース・ワゴンは、オーソドックスなキャブオーバー型1BOXワゴンを好むユーザーから好評を博し、堅実なセールスを記録していく。その評判に応えるよう、メーカー側も改良と車種強化を精力的に実施した。

 1992年10月には、簡易キャンパーの特装車となるシャルムと特別仕様車のGXLエクサーブを発売。1993年8月にはマイナーチェンジを行い、ディーゼルターボエンジンを3C-T型(2184cc直4OHCディーゼルターボ)に換装する。同時に、RV志向のフィールドツアラーや中位グレードのAXLをラインアップに加えた。さらに、1994年8月には3C-T型ディーゼルターボエンジンの出力を88psから91psへと向上させ、翌1995年8月になると内装を中心とした仕様変更を実施した。

 従来型と同様、キャブオーバー型1BOXワゴンのベンチマークに成長した4代目ライトエース・ワゴンは、1996年10月になると全面改良が行われ、実質的な後継車となるセミキャブスタイルのライトエース・ノアにバトンタッチする。キャブオーバーからセミキャブに変わったのは、前面衝突における乗員の安全性の向上、具体的にはボディ前部にクラッシャブルゾーンを確保することが目的だった。結果的に4代目ライトエース・ワゴンは、車歴で最後のキャブオーバー型1BOXワゴンとなったのである。