シーマ 【2001,2002,2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009,2010】

先端技術をフル搭載したグローバル高級サルーン

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


日本の高級車を革新したシーマの功績

 1988年に初代モデルが誕生した日産シーマは、日本の高級サルーンを牽引する1台だった。とくに初代は、当時の好景気を背景に本物志向のユーザーの注目を集め“シーマ現象”と呼ばれるほどの高い人気を獲得する。シーマが誕生する前まで、日本の高級車はセドリック/グロリア、そしてクラウンが頂点だった。車格やボディサイズはもちろん、性能面でも欧米の高級車とは格段の差があった。しかしシーマ以降その差がぐっと縮まる。欧米の高級車と同じ土俵で優劣、好き嫌いを語れる存在に成長したのだ。初代シーマはさまざまな面で日本の自動車界に大きな影響を与えたクルマだった。

 シーマはモデルチェンジで代を重ねるごとに、豪華さと技術の先進性に磨きをかけていく。2代目以降のシーマは販売成績こそ初代ほど好調ではなかったものの、日産の最新技術が体感できるビッグサルーンであり続けた。
 そして2001年1月、4代目シーマが登場する。4代目の開発コンセプトは「ダイナミック&モダン」。グローバル・プレステージサルーンとして、走りはもちろん、スタイリングや安全・快適性で世界トップを目指していた。

世界初、マルチプロジェクターライト採用

 4代目のラインアップは排気量4494ccの新開発V8直噴DOHC32V(280ps/46.0kg・m:2WD)と、排気量2987ccのV6DOHC24Vターボ(280ps/39.5kg・m)の2エンジン構成で、駆動方式は2WDと4WDの2種。トランスミッションはV8が5速AT、V6ターボは4速ATを組み合わせた。

 4代目で最も目を引いたのはフロントビューだった。ヘッドランプに世界初のマルチプロジェクターキセノン式を採用。これはメインラインユニットを7つの凸レンズで構成したもので、シーマに独特の表情を与えた。機能的にも優れており、通常のキセノンライトと比較して約1.7倍の光量と、大幅に拡大した照射範囲を実現した。マルチプロジェクターキセノンライトは、ドライバーの安全を守るためには、外部の情報をスピーディに把握できることが大切、という開発姿勢が生み出したもの。シーマのユーザーフレンドリーなクルマ作りの象徴でもあった。

 基本スタイリングはラウンディッシュなビッグキャビン造形でまとめる。エクステリアは時代のトレンドを巧みに取り入れた先進フォルムに仕上げていた。ボディサイズは全長4995mm、全幅1845mm、高さ1490mm(2WD)。ライバルは国産車ではトヨタ・セルシオ、欧州車ではメルセデス・ベンツSクラス、BMW7シリーズだった。

すっきりとした豪華な室内。先進装備搭載

 日産の最上級サルーンだけに室内空間には余裕があった。新型は従来モデルと比較して室内高を25mm、フロントヘッドルームを35mm、リアヘッドルームを20mm拡大。後席ニールームは40mm延長していた。従来モデルも室内の広さには定評があったが、4代目はそれをさらにリファインしていた。インパネは、大型8inワイド液晶モニターの上下可動機構が目を引いた。ナビゲーションを使用しないときにモニターをパネル内に格納できるもので、すっきりとした印象を室内に与えた。またモニター格納時もオーディオや空調コントロール画面が表示できる賢い設計になっていた。装備は豪華そのもの。最上級グレードの450VIPには、150mmのスライド機構を持つ後席パワーシートやバイブレーター機能付きリラックスシート、リアドアサンシェード、リアドアオートクロージャーなどが装備され、快適性に磨きをかけていた。

 安全装備も充実しており、世界初のレーンキープサポート機構を採用する。高速道路の直進路において、道路の傾きや横風によって進路が乱されそうになった時に、車線に沿って走行するようステアリング操作を支援する装置を組み込んだのだ。さらに前車との距離を自動的に制御する機構や、緊急時の停止距離短縮と衝突速度を低減するブレーキアシストを採用した。

事故を未然に防ぐことを主眼にしたシーマの安全装備

 4代目シーマは、クラストップ級の安全性を備えたサルーンだった。シーマの開発陣が注力したのは、事故を未然に防ぐこと。従来の約1.7倍の光量を誇るマルチプロジェクターヘッドランプを採用し、夜間走行時の視界を改善したこともそのひとつ。さらに緊急時に少ない踏力でABSの効果を発揮させるブレーキアシストもシーマらしい先進装備といえた。ブレーキアシストはミリ波レーダーで自車と前方車両との距離や相対速度を検知。急制動が必要と判断した場合、ドライバーがブレーキを踏む前にブレーキに予圧をかけ、遊びを詰めることで制動効果を高めるシステム。クルマの側がドライバーを積極的にサポートする安全機構だった。

 4代目シーマは、大排気量ユニットが生み出すゆとりのパワーを背景に、快適で安全な走りを実現したプレステージモデルだった。価格が492万円から698万4000円と高価だったこともあり爆発的な売れ行きは示さなかったものの、日産のトップモデルとして強い存在感を示した。