レクサスGS 【2005,2006,2007,2008,2009,2010,2011,2012】

“おもてなしの心”を大切にした上級スポーティサルーン

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メルセデスやBMWをライバルに設定した高級サルーン

 レクサスGSは、トヨタがワールドワイドで展開する高級車ブランド、「レクサス」の中核モデル。フラッグシップサルーンのLSよりやや小型のミディアムスポーツセダンだ。ライバルは日本車では日産フーガ、欧州車ではメルセデス・ベンツEクラス、BMW5シリーズとなる。

 GSは、日本では2005年8月30日のレクサス・ブランド開業と同時に新型車として販売がスタートした。しかし日本では初代となるGSは、国際的に見ると3代目。ワールドワイドでの初代と2代目は、日本では「アリスト」の名称で販売された。それだけにネーミングが変わっても当初から根強いファンが存在した。

 GSの当初のラインアップは、3456ccの新開発2GR-FSE型V型6気筒直噴DOHC24V(315ps)ユニットを積む350シリーズと、4292ccの3UZ-FE型V型8気筒DOHC32V(280ps)を搭載する430シリーズで構成。2006年3月には350用V6エンジンとモーターを組み合わせシステム出力345psを誇る先進のハイブリッド仕様450hが加わった。トランスミッションは350と450が電子制御式6速AT。450hは電気式無段変速タイプ。駆動方式はFRを基本に350にのみ4WD仕様を設定していた。

GSはすべてをパーソナルなドライバーズカーとして設計

 GSの個性は、適度にフォーマルなイメージを携えたプレステージモデルながら、ドライバーズカーとしてのパーソナル感覚を大切にしていた点にあった。その点がトヨタ・ブランドの高級車、クラウンとの大きな相違点といえた。クラウンは社用車やショーファードリブンとして使用するユーザーも多く、周囲から立派に見える点や後席の居住性を重視していた。一方、GSの特等席はドライバーズシート。すべてがステアリングを握るドライバー(そして助手席に座るパートナー)に深い満足感を与えるために設えられていた。

 スタイリングは、低く構えたノーズに始まり、クーペのように滑らかな形状を持つCピラーを経てハイデッキ処理のリアエンドで収斂するスポーティフォルム。メインヘッドライトの内側にサブランプを配したフロントマスク処理やモダンなビッグキャビン構成が、アリストの後継モデルであることをイメージさせた。ボディサイズは全長4830×全幅1820×全高1425mmと伸びやかである。

 インテリアは、ドライバー正面に3連メーター、中央部にナビゲーションと空調コントロールを配置した高品位な造形。ステアリングやシフトノブに無垢材から削りだしたウッド素材を用い、センターアームレストやコンソールの両サイドを優しい触感のソフト素材で仕上げるなど、高級車らしい配慮を満載していた。ドアミラー調整のように走行中に使用頻度が少ないスイッチ類を、運転席右下の開閉式スイッチボックスやセンターコンソール内側に配置するなど、すっきりとした印象の操作系にまとめていた点も特徴だった。

“おもてなしの心”が実感できるスムーズな走り

 GSを実際にドライビングすると、スムーズな走行フィールとともに圧倒的な静粛性、そして各部の入念な作り込みが印象に残った。カタログでは「高まる期待はわずか10m走らせただけで心を踊らせ、そして驚くほど静かな走りの中で安心感が高まってゆく。GSから受けるさまざまな感動には、一切の妥協を許さないクルマづくりによる卓越した品質と、オーナーの気持ちを先読みして、その時々にふさわしい機能を提供するおもてなしの心が原点にあります。」と記載されていた。GSは確かにカタログのコピーが納得できるクルマだった。

 レクサスは「走る、曲がる、止まる」といった動的品質から、内外装の質感、手触り、音の質、グローブボックスの開くスピードに至るまで、感性品質にも踏み込んだ、およそ500項目もの独自基準を設けていた。GSはそれを達成したモデルだっただけに、新型車とはいえ完成度は実に高かった。

 GSはクラウンとは明らかに性格が異なる高級車であり、メルセデス・ベンツやBMWと比較しても高品位なイメージがあった。ただしあまりに完成度が高いからだろうか、やや大人しい印象を与えたのも事実だった。スムーズすぎるパフォーマンスは、走りにダイレクト感を求めるドライバーにとっては物足りなさにつながった。
 GSは、的確な年次改良で商品性を高める。2007年には430のV8パワーユニットをLS460と共通の新世代1UR-FSE型に換装。ネーミングを460に変更すると同時に、最高出力を280psから一挙に347psに増強した。

先進技術の活用で深い満足感を与えたレクサスの“もてなし”

 レクサスのユーザーを大切にする“もてなしの心”は、先進技術に裏打ちされていた点が特徴だった。そのひとつがメーターである。GSのメーターは本アルミをメーターのフェイスとして使用。磨き上げたヘアラインの金属光沢がハイグレードな印象を与えた。

 しかしそれだけでなかった。メーターの表面ガラスにECDシステムを採用したのだ。ECDシステムとは、西日など強い光がメーター内に差し込むような場合に、センサーが太陽光の強さを検知し、メーターのガラス透過率を自動的に制御する機構である。ドライバーに眩しさを感じさせない工夫だ。しかもGSはドライバーにシステムの作動をさとられないよう、あくまで自然な制御にこだわった。そこがレクサス流だった。