館長日記05 プジョーSUV e-2008GTライン 【2021】

欧州の主流。フレンチライオンのピュアEVは面白い!

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名車文化研究所の館長は、もちろん無類のクルマ好き。
得意なのは「ちょっと古いクルマ」だけではありません。最新モデルも興味シンシン。現在でも自動車専門誌「CAR and DRIVER」の編集委員としてバリバリ取材をこなしています。
その日常を「館長日記」としてご紹介します。今日は話題のピュアEVです。
名車文化研究所・館長 横田宏近/写真 小久保昭彦
いよいよ電気自動車の時代到来。さっそく試乗しました

 今日は話題のEVを紹介します。「NEXTジェネレーション」を標榜するプジョーの新型SUV、2008のピュアEVモデルのデリバリーがスタートしました。時代は変わりました。2008は、136ps/260Nmのモーターを搭載したEV仕様のe-2008と、1.2ℓ直3ターボ(130ps/230Nm)のガソリン仕様の2シリーズ構成です。両車のデザインと装備は基本的に共通。ユーザーの好みに応じて選べるラインアップになっています。ちょっと前まで、EVは特別な存在でした。が、プジョーの場合、ガソリン車と同一の視点で選べるようになっています。欧州ではすでにEVは普通の選択と聞きます。日本でも間もなくそうなるのでしょうか? 個人的には日本はピュアEVの前にプラグインHVや、エンジンで発電、モーターで走る、日産のe-パワー、ホンダのe:HEVの時代が来る気がします。ともあれ、試乗車はe-2008の上級グレードGTラインです。

e-2008は5つのゼロを実現。カタログ上の航続距離は385km

 e-2008は“排出ガス(CO2)/ノイズ/匂い/振動/ギアチェンジ・ゼロ”を実現した意欲作です。当初からピュアEVを想定した新世代プラットフォームを採用しています。フロントにモーター、前席と後席下にバッテリーを搭載したレイアウトで、ガソリン車と同等のキャビン&荷室スペースを実現しました。

 カタログ上の一充電時の航続距離は385km(JC08モード)。充電は急速(チャデモ)/ウォールボックス型普通(200V)、コンセント型普通(200V)に対応しています。充電時間は急速で約50分(80%まで)、普通充電の場合はそれぞれ9/18時間(100%)と発表されています。ちなみにトップスピードは150km/h、駆動方式はFFです。

 対面したe2008は、なるほどガソリン車と変わりません。最新プジョーらしいスタイリッシュさが際立ちます。フロントグリルがボディ同色アクセント付きになり、フロントフェンダーに“e”のエンブレムがプラスされていますが、EVだからといって特別な演出はありません。室内も同様でした。キャビンは広く快適。フランス車らしい優しい座り心地のシートがパッセンジャーをもてなしてくれます。ラゲッジスペースはガソリン車と同等の434L(後席使用時)。クラストップの実用性を誇ります。

走りは超スムーズ。上質だけど、ちょっぴり面倒、でも面白い!

 走りは圧倒的にスムーズ&静粛でした。走行モードはエコ/ノーマル/スポーツの3種。エコでの加速はややマイルドですが、ノーマルではEVらしいトルクフルな味わいが楽しめます。スポーツをセレクトするとさらにパフォーマンスが際立ちました。通常のドライビングはノーマルで十分だと感じました。

 高い静粛性は、走り出した瞬間から実感できます。モーターを含めパワートレーンはほぼ無音。ロードノイズも極めて低いレベルです。しなやかな乗り心地と相まって走りの質感は、プレミアムモデルと同等の素晴らしさです。

 ただし安心して走れる航続距離は200kmプラスでしょうか。 試乗車を受け取った時,ほぼ満充電でしたが,メーター上の航続距離は280kmと表示されていました。高速道路を中心に50km走行したところ、210kmになりました。航続距離は、直近の走行パターンに即した数値ですから、カタログ数値とは乖離があります。ユーザーになったら、自分の走行パターンに応じた充電プランを考えておく必要があるでしょう。それを煩わしいと思うか、EVならではの楽しさ(適切な充電タイミングを考えるのは知的なゲームに近いかもしれません)と考えるかで評価は変わりそうです。個人的にはEVとの付き合いはなかなか面白そうだと思いました。

 ちなみに価格は468万円。ガソリン仕様と比べ150万円ほど高い設定ですが、EVには各種補助金があり、税金の優遇などが受けられます。ランニングコストを含めると、インポーターは「実質的にはガソリン車とほぼ同等」と説明しています。ガソリン車と同等であれば、EVに挑戦するのも悪くないですね。