ローレル 【1993,1994,1995,1996,1997】

3ナンバーに進化し完成度を追求した7代目

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すっきりとした“本物志向”の7代目デビュー!

 1968年に誕生したローレルは、上質な味わいの“ハイオーナーカー”として独自の歴史を刻む。日産のラインアップの中では、セドリック/グロリアほどフォーマルではなく、スカイラインと比較すると落ち着いたイメージを発散。この独自のポジショニングは、比較的年齢層の高いユーザーの共感を獲得する。そんなローレルの歴史の中でも1993年1月に登場した7代目モデルは完成度の高さで好評を博した。

 7代目のデビュー時期は、後にバブル景気と呼ばれる未曾有の好景気が終焉を迎えた日本の転換点にあたった。時代が求めたのは、上辺だけの華やかさや豪華さではなく“本物志向”。7代目は見事にそのニーズを体現していた。新型のキャッチフレーズは「すっきりがいい。1993年と新しいローレル」。CMキャラクターは、俳優の松方弘樹と本木雅弘が務めた。

ボディ剛性が大幅向上。サイズはゆとりの3ナンバー規格

 新型の進化ポイントは、しっかりとしたボディにあった。ボディ形状は先代のピラーレス4ドアハードトップから、ピラードハードトップに進化。万が一のときの安全性が高まり、ボディ剛性は大幅に向上した。ボディ剛性のリファインは、上質な乗り味や、優れた静粛性など様々なメリットを生む。細かな点ではあるが、ドアが閉まる音が重厚になったのもユーザーにとって嬉しいポイントだった。7代目はドアを開閉するだけで骨太なクルマになったことが実感できたのである。

 ボディサイズを従来の5ナンバー規格から、伸びやかな3ナンバー規格に成長させたのもポイントだった。全長×全幅×全高は4710×1720×1380mm。旧型と比較して20mm長く、25mmワイドで、15mm高くなった。数値的な変更幅は僅かだったが、ボディラインを直線基調でまとめ、キャビン上方の絞り込みを意識的に抑えていたこともあり、視覚的にはぐっと大きく、立派に見えた。ヘッドランプやリアランプなども横長のスクエアイメージで統一し、キャッチコピー通りのすっきりとしたイメージに溢れていた。

 室内スペースも訴求点だった。室内は外観の印象以上にゆったりとしていた。室内長は1945mm。前席空間にゆとりがあるのは当然だったが、後席スペースも広かった。大切なゲストを招いて大人4名でロングクルーズに出掛けたくなる雰囲気に溢れていた。室内の装備や調度も吟味され、ファインビジョンメーターや、高音質ローレル・スーパーサウンドシステム、前席パワー調節シート、電子制御フルオートACなど、ハイオーナーカーらしい充実した装備を満載しながら、全体としてシンプルな印象にまとめていたのもお洒落だった。

 7代目ローレルは、国産サルーンでは珍しく、大人が似合うシックなイメージを携えていたのである。一見すると地味だが、付き合っていくうちに魅力が実感出来る、そんなイメージの持ち主だった。

全車直列6気筒エンジン搭載。足回りはしなやか

 ラインアップはラグジュアリー指向のメダリスト系と、スポーティ指向のクラブS系の2シリーズ構成。エンジンは全車が直列6気筒を搭載。排気量2498ccのDOHC24V(RB25DE型/190ps)を筆頭に、1998ccのOHC12V(RB20E型/125ps)、とDOHC24V(RB20DE型/150ps)のガソリン。そして経済性に優れた2825ccのOHC12Vディーゼル(RD28型/100ps)の計4種から選べた。トランスミッションはDOHCエンジンが5速AT、OHCエンジンは4速AT。ディーゼルの一部グレードのみ5速MTを設定する。

 足回りはフロントがストラット式、リアはマルチリンク式の4輪独立システム。クラブSグレードには、高速走行時のハンドリングを改善するスーパーHICAS装着車が用意されていた。
 7代目ローレルの走りは滑らかだった。足回りはしなやかで荒れた路面でも乗員へのショックは最小。加速性能にも優れ、とくに販売の主力となった2498ccエンジン搭載車はパワーにゆとりがあった。休日にロングドライブに連れ出したくなるクルマだった。7代目は歴代ローレルの中で目立つ存在ではないが、内容的に非常にハイレベルな1台。日産の高い技術力と良心が結実していた。