フォレスター 【2007,2008,2009,2010,2011,2012】

“Best Balance for Active Life”を掲げた第3世代

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世界市場を見据えた新世代SUVを企画

 ステーションワゴンとSUV(スポーツユーティリティビークル)の特性を融合させたクロスオーバーSUVの先駆モデルとして、世界マーケットで高い評価を受けてきたSUBARU(スバル)ブランドのフォレスター。しかし2000年代中盤になると、日本はもとより欧米メーカーのライバル車が一気に増え、その存在感は徐々にだが薄れつつあった。この状況を打開して販売台数を伸ばすためには、ユーザーの志向、とくに北米の意見をより重視したクロスオーバーSUVに仕立て直す必要がある−−。富士重工業(現SUBARU)の開発陣はそうした判断の下、次期型フォレスターの企画を練り込んでいった。

 商品コンセプトとしては、ユーザーのライフスタイルがアクティブでさらに楽しいものとなる最良のSUVに昇華させることを目指して“Best Balance for Active Life”と掲げる。具体的には、パッケージング/走り/環境という3つの要素を高度にバランスさせて1台に凝縮するという開発指針を打ち出した。また、車格的にはひと回り大きくすることを計画。これは、欧米の競合モデルのサイズを念頭に置いての決断だった。

キャッチコピーは“TOURING FREEDOM”

 2007年12月になると、第3世代のフォレスターが日本デビューを果たす。キャッチコピーは新世代クロスオーバーSUVの楽しさや道を選ばない走破性の高さなどを表した“TOURING FREEDOM”。車種展開は自然吸気エンジン仕様の2.0Xと2.0XS、ターボエンジン仕様の2.0XTという3グレードを基本に構成し、XSとXTには上級装備を盛り込んだプラチナセレクション/プラチナレザーセレクションを用意した。

 新しいフォレスターは、あらゆる部分を刷新していた。基本骨格については、スバルの新世代シャシーである“SI-シャシー”をベースに、軽量・高剛性化を図った進化版の新環状力骨構造ボディをセット。懸架機構はフロントにトレッドの拡幅およびジオメトリーの最適化を実施したマクファーソンストラットを、リアにスペース効率に優れた低床タイプのダブルウィッシュボーンを採用する。また、操舵機構にはステアリングギアボックスにキャノンマウント方式を導入した電動パワーアシスト機構付きのラック&ピニオン式を、制動機構にはタイロッド式ブースターを組み込んだ4輪ディスクブレーキを装備した。

 搭載エンジンは新設計のDOHCヘッドとAVCSを採用したEJ20型1994cc水平対向4気筒ユニットのNA仕様(148ps)と空冷インタークーラー付ターボチャージャー仕様(230ps)の2機種を設定。トランスミッションにはスポーツシフトE-4ATと5MTを組み合わせる。駆動機構はAT車にアクティブトルクスプリット式AWDを、MT車にビスカスLSD付センターデフ式AWDを導入。さらに、ターボ仕様にはドライバーが任意で3モードの走行特性を選択できるSI-DRIVEを採用した。

スタイリングは「スーツの似合うモダンSUV」がテーマ

 パッケージングに関しては、全長と全幅、全高、ホイールベースを拡大して居住空間と見た目の存在感を引き上げたうえで、タイヤの切れ角の増大やリアオーバーハングの縮小などを行って優れた取り回しを実現する。また、アプローチおよびデパーチャーアングルの最適化や215〜225mmのロードクリアランスの確保によって高い走破性を成し遂げた。さらに、グラスエリアの拡大や形状の工夫によって広い視界を、低床化が可能なリアサス機構によってカーゴルームのユーティリティ性アップを、サッシュドア化による開口面積の拡大で乗降性の向上を達成する。

 エクステリアは“スーツの似合うモダンなSUV”をコンセプトに、力強さのなかにも品格を感じさせる都会的でモダンなスタイリングを実現。内包するインテリアはクオリティや開放感を向上させるとともに、くつろぎや静粛性に配慮した空間に仕立てる。簡単な操作で多彩なシートアレンジを可能にしたことも、新型の訴求点だった。

地道な改良を実施して商品力を強化

 発売から1カ月で月販目標の2倍超となる4285台の受注を記録し、好調なスタートを切った3代目フォレスターは、デビュー後も着実に中身の進化と新鮮味のアップを図っていく。2009年1月には、SRSサイドエアバッグ+カーテンエアバッグの採用やブラックレザーセレクションの設定といった内容の一部改良を実施。同年7月にはスポーティな演出を施した特別仕様車の「SPORT LIMITED」を、9月にはアウトドアシーンでの使い勝手を向上させた特別仕様車の「2.0X FIELD LIMITED」を発売した。

 2010年になると、5月に特別仕様車の「2.0X FIELD LIMITED II」をリリース。10月にはマイナーチェンジを行い、NA車用エンジンのFB20型(1995cc水平対向4気筒DOHC)への換装やEJ25型2457cc水平対向4気筒DOHCターボエンジン+マニュアルモード付E-5ATを採用した「S-EDITION」の追加、内外装の一部仕様変更などを実施する。また12月には、S-EDITIONをベースにスバルテクニカインターナショナルが独自の装備および味つけを織り込んだSTIコンプリートカーの「tS」を限定300台で発売した。

 北米市場を中心にワールドワイドで好評を博した3代目フォレスターは、2012年11月になると全面改良が行われて第4世代に移行する。「SUVとしての本質的な価値の実現」を目指して開発された4代目は、従来型以上にワールドマーケットを意識したモデルに仕立てられていた。