三菱ECO4 【2009,2010,2011,2012,2013】

世界初SUVタイプのプラグインハイブリッド車の開発

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航続距離を伸ばすためにPHEVを企画

 三菱自動車工業は21世紀に向けたサステイナブル・モビリティ(持続可能な移動社会)の実現のために、電気自動車(EV)の研究開発に注力していく。ただし、EVは、航続距離が短いという課題を抱えていた。そこで、EVの前段階といえるモデル、具体的にはプラグインで充電でき、近距離はモーター走行、長距離はモーター+エンジンで走る、いわゆるプラグインハイブリッド車(PHV)の企画を推し進めた。

 開発現場では、三菱自工らしいPHVの姿を様々な角度から模索する。市場での三菱車のイメージといえば、最新の4WD技術を採用したランサーエボリューション、伝統の高性能SUV(スポーツユーティリティビークル)であるパジェロ、そして最新コンパクトEVのi-MiEVが代表格。そこで、新しいPHVはこの3車の特長、すなわち4WD/SUV/EVを融合させた三菱自工ならではの先進クロスオーバー車に仕立てることとした。

2回のモーターショーでコンセプトPHEVを披露

 三菱自工の新世代PHVは、まず2009年開催の第41回東京モーターショーにおいてコンセプトカーの「MITSUBISHI Concept PX-MiEV」としてワールドプレミアを飾る。スタイリングは次世代のアウトランダーの基本となったクロスオーバーSUVデザインを採用。パワートレインには前輪と後輪を駆動する2つの永久磁石同期モーターと、高速域での前輪の駆動力をサポートするとともに発電機としての役割を担う1.6ℓ ・DOHC MIVECガソリンエンジンを搭載し、走行状況や駆動用バッテリーの容量に応じてモーターとエンジンを最も効率的に使用するよう最適なモード切替を行う新開発の“三菱プラグインハイブリッドシステム”を組み込んだ。

 駆動用バッテリーの常時モニタリングによりバッテリー容量に応じた最適な充放電制御を行い、同時にEVコンポーネントとエンジンの統合制御によって最適な走行モードを選択する“MiEV OS”を新採用する。さらに、電力の一部を家庭用電力として利用したり、災害時の緊急用電源として使用する給電モードを設定した。充電に関しては、家庭用のAC100V/200Vによる普通充電と大電力の急速充電の3WAY充電システムを導入。駆動機構については、前輪用モーターと後輪用モーターの出力を最適に電子制御する“E-4WD”システムをベースに、後輪の左右の駆動力や回生力をコントロールして車両の走行制御を行うE-AYC、ASC、ABSを統合した車両運動統合制御システムのS-AWCをセットした。

 2011年開催の第42回東京モーターショーでは、発展型コンセプトカーの「MITSUBISHI Concept PX-MiEV Ⅱ」を発表する。搭載エンジンは高出力化を狙って2l ・DOHC MIVECガソリンに換装。また、各制御システムの改良などによって複合燃料消費率の向上を図っていた。

「アウトランダーPHEV」の車名で市場デビュー

 三菱自工渾身のPHVは、「アウトランダーPHEV」の車名で2013年1月に発売される。SUVタイプで世界初となるプラグインハイブリッド車のアウトランダーPHEVは、ベーシック仕様のEと上級モデルのG、そしてGのセーフティパッケージ/ナビパッケージ/プレミアムパッケージという計5グレードで展開。キャッチコピーには、“未来Drive”と掲げていた。

 新開発のプラグインハイブリッドEVシステムは、前S61(60kW)/後Y61(60kW)型の2つのモーターと発電および駆動に用いられる4B11型1998cc直列4気筒DOHC16V・MIVEC(118ps)ガソリンエンジン、計80個の電池セルを直列接続して総電圧300V/総電力量12kWhを発生する駆動用のリチウムイオンバッテリー、エンジンの動力により発電して駆動用バッテリーに充電するジェネレーター、シンプルな1段固定式の減速機構を組み込んだトランスアクスル、車両運動統合制御システムのS-AWCを導入したツインモーター4WD、減速エネルギーを回収する回生ブレーキシステムで構成する。

 走行パターンはバッテリーに蓄えた電力のみを使用してモーターで走る“EV走行モード”、エンジンを発電用として動かしてその電力も使ってモーターで走る“シリーズ走行モード”、高速走行時にモーターよりエンジンで走るほうがエネルギー効率が高いと判断した場合にエンジン走行し、必要に応じてモーターが駆動力をアシストする“パラレル走行モード”という3つの走行モードを設定。燃費性能はJC08モード走行で充電電力使用時走行距離が60.2km、プラグインハイブリッド燃料消費率が67.0km/l 、ハイブリッド燃料消費率が18.6km/ℓを実現していた。