日産デザイン15 【2000,2001,2002,2003,2004】

グローバル展開を念頭に車両造形を全面刷新

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飽きのこない直線基調デザインとしたリアルSUV

 1999年にルノーとのグローバルな提携関係を構築し、“リバイバルプラン”と呼ぶ改革案を推進した日産自動車。開発現場では、新型モデルの企画づくりに汗を流す。とくに力を入れたのは、新体制の視覚的アピールに欠かせない車両デザインの刷新だった。

 2000年11月には、“the tough gear”をキャッチフレーズに掲げた新型リアルSUVのエクストレイルを市場に放つ。エクステリアは飽きのこない直線基調のすっきりとしたデザインで仕立てるとともに、フロントウィンドシールドを前に出した新しいプロポーションを採用して優れた空力特性(Cd値0.37)を確保。また、ガラスエリアを広くとり、フロントフード前端の不可視領域を少なくし、さらに最小回転半径を5.3mに抑えるなどして取り回し性の向上を成し遂げた。インテリアは、道具感覚で使えるキャビン空間を創出したことがトピック。とくに、取り外して直接水洗いできるウォッシャブルラゲッジボードや撥水加工を施したシートなど、タフに使えるアイテムが好評を博した。

“新・基軸、FMパッケージ”を導入した11代目スカイライン

 2001年6月になると、11代目となるV35型系スカイラインがデビューする。理想のプレミアムスポーツセダンを生み出すために、開発陣は車両パッケージそのものから刷新した。採用したのはV6エンジン専用フロントミッドシップの新世代“FMパッケージ”。これにより従来は相反すると考えられていた要素、つまりスポーティな走りと高級サルーンの乗り心地、ロングホイールベース(2850mm)と優れた取り回し性能、空力の良いスタイル(Cd値0.26〜0.27)と広い室内空間の融合を達成した。

 内外装の造形についても、FMパッケージを導入した効果が存分に発揮される。スタイリング全体はショートオーバーハングと大径タイヤによるスポーティでFR車らしい佇まいと、ロングホイールベースによる広くて快適なキャビンの両面を表現するデザインで構成。室内空間はドライバーを含めたすべての乗員がそれぞれのシートでベストツーリングポジションを確保できる設計とし、同時にT字型のシンボリックなレイアウトによって大人4名のパーソナルコンフォートを具現化した。

フレンドリーなデザインを採用した2台のコンパクトカー

 2002年にはコンパクトカーの2モデルが新世代に切り替わった。
 まず2月には、ルノーと共同開発した新設計のBプラットフォームを採用する3代目マーチが発表される(発売は3月)。スタイリングについては、特徴的なシルエットやバランスのいい量感などで従来のコンパクトカーの常識を超えた革新的なデザインを追求する。フロント部はキュートな印象のヘッドランプとグリルにインテグレートされたターンシグナルランプなどで個性的な顔を演出。サイドは水平基調のショルダーラインやマーチらしさを強調するアーチ状のルーフラインによって、乗りやすさと心地よさを外観から表現した。内装は、デザインと機能性が融合したハイクオリティでファッショナブルなインテリアを開発テーマとする。ラグビーボールのようにラウンドしたインパネは、乗員の有効な視界を確保するために低位置にレイアウト。インテリアカラーはエクリュ/シナモン/クリークという3タイプの個性的なバリエーションを展開した。

 10月になると、Bプラットフォームを採用した2代目キューブが登場する。スタイリングに関しては“NEW CUBIC DESIGN”をテーマに、アッと驚く個性的なデザイン、使って楽しい機能的なデザインを目指す。フォルム全体はカドを丸めたシカクを基本とし、力強さを感じさせる前後フェンダーなどを組み込んで個性を主張した。インテリアについては、ゆったりとしたソファに座り、お気に入りの家具やオーディオに囲まれながら、自分の部屋でくつろいでいるような感覚を採り入れる。空間自体は、ロング&ワイドルーフの採用により開放感のあるヘッドルームを実現。さらに、使い勝手のいいラゲッジや多彩な収納スペースも盛り込んでいた。

新しいSUVデザインの可能性を追求したムラーノ

 2004年9月には、上級クロスオーバーSUVのムラーノが日本デビューを果たす(北米市場では2002年12月に発売)。
 最大の特長は車両デザインで、これまでのSUVデザインにとらわれることなく、新しいドライビングSUVの可能性を徹底追求する。エクステリアは“躍動感のある彫刻”をテーマに、街でもリゾートでも人目を惹きつけるスタイリングを創造。具体的には、アンダーボディでSUVの力強さを、キャビン部でスポーティセダンの開放感を表現し、さらにシャープなラインと豊かな曲面の融合によって独創的なアピアランスを作り出した。インテリアは、快適な居住性とスタイリッシュさを目指してデザインを手がける。広々とした空間を生み出すとともに見た目のオシャレ感を創出。随所に配された本アルミパーツや上質なシート表地なども、クルマのラグジュアリー性を高めるのに一役かっていた。