ノート 【2005,2006,2007,2008,2009,2010,2011】

フレキシブルに使える新世代コンパクトMPV

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コンパクトクラスMPVの開発

 大胆な経営戦略のリバイバルプランやルノーとのアライアンスによって、業績を急速に回復していった2000年代前半の日産自動車。ニューモデル開発は、グローバルマーケットで展開する国際戦略車の開発に力を入れる。その一環として企画されたのが、コンパクトクラスの新しいMPV(マルチパーパスビークル)だった。

 どういったコンパクトMPVに仕立てるか−−。開発陣は多角的な検討の結果、既存のコンパクトカークラスにはない爽快な走りと、フレキシブルに使える使い勝手のよさの実現を目指す。基本骨格は、日産/ルノーの小型車クラスで使用するBプラットフォームをベースに各部の機構を見直した改良版を採用。ボディタイプは高効率なハッチバックスタイルで仕立てる決定をした。

音符や記録を意味する「NOTE」の車名でデビュー

 日産の新世代コンパクトMPVは、2005年1月に日本でのデビューを果たす。型式はE11。車名は毎日をリズミカルに楽しくする「NOTE=音符」と、そんな毎日を記録しておく「NOTE=ノート」からイメージして「ノート(NOTE)」を名乗った。

 スタイリングは、ルーフを後端付近まで伸ばした5ドアハッチバックフォルムを基本に、高い機能感を表現する。細部のデザインにもこだわり、印象的な大型ヘッドランプや厚みのあるフェンダーライン、ルーフ部にまで回り込ませたリアコンビネーションランプなどによって新鮮かつスタイリッシュなエクステリアを構築した。パッケージングも優秀で、全長を3990mmに抑えながら2600mmのロングホイールベースを確保し、ゆとりのキャビンおよびラゲッジ空間を実現する。全高を立体駐車場に入庫可能な1535〜1545mmに抑え、さらに最新の安全ボディや歩行者傷害軽減設計などを採用して安全性を高めたことも特長だった。

実用性を徹底追求した室内。走りは快適指向

 インテリアは、おしゃれで居心地のいい空間の創出をテーマにデザインを手がける。インパネはシンプルな造形で構成。高めのヒップポイントと低いウエストライン、車幅がつかみやすいヘッドランプマーカーの採用などによって、見やすい視界を確保した。後席は、ロングホイールベースを活かした足もと空間の広さやシート座面の厚いクッションなどにより快適な居住空間を演出する。インテリアカラーは明るい色調のボッサベージュのほか、シックなジャジーブラックとスポーティなジェットブラックを設定した。一方で荷室空間については、新設計の2段マルチトランクを組み込んだことが訴求点となる。深さ250mmのアンダーボックスを備えた2段トランクの採用によって、荷室アレンジはNidan trunk mode/Open mode/Tappuri mode/Easy flat mode(頭文字をとって“NOTE”アレンジ)という4モードの選択を可能とした。

 エンジンには新開発のオールアルミ製HR15DE型1498cc直列4気筒DOHC16Vユニット(109ps/15.1kg・m)を導入する。駆動機構には2WD(FF)と電動式4WD(e・4WD)を設定。トランスミッションは2WDにエクストロニックCVTを、4WDにE-ATx(フルレンジ電子制御4速AT)を組み合わせた。サスペンションは専用セッティングを施した前マクファーソンストラット/後トーションビームで、リバウンドスプリングやリップルコントロールショックアブソーバーなどを組み込んで優れた操縦安定性と快適な乗り心地を実現。環境性能の面では、全車「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(SU-LEV)」の認定を取得し、さらに2WDは「平成22年度燃費基準+5%」を、4WDは「平成22年度燃費基準」を達成した。

2008年より「The World of GOLDEN EGGS」とコラボ

 2WDの15RX/15E/15S/15S Vパッケージ、4WDの15E FOUR/15S FOUR/15S FOUR Vパッケージという7グレード構成でスタートしたノートは、使い勝手のよさと爽快な走り、そして126万円〜158万5500円というリーズナブルなプライスタグなどが好評を博し、順調に販売を伸ばしていく。その勢いをさらに高めようと、日産は積極的に車種ラインアップの増強や一部改良などを図っていった。

 2005年4月には、グリーン内装などを採用した特別仕様車の15E/15E FOUR Salsa Green(サルサグリーン)を発売。同年12月にはシート&ドアトリムクロスの刷新やインパネの素材変更、光輝タイプのハロゲンヘッドランプの装備などを実施する。2006年12月には燃費の向上やインテリジェントエアコンシステムの採用、15Mグレードの設定などをメニューとする仕様変更を行った。

 2008年1月にはマイナーチェンジを実施。エクステリアの一部意匠変更やシート&ドアトリムクロスの刷新、環境性能の向上などを行う。また、この改良を機に「The World of GOLDEN EGGS」のキャラクターを使った広告展開を行い、市場から大きな注目を集めた。同年10月になると、特別仕様車の「15 Brownie Interior(ブラウニーインテリア)」を発売。さらに、HR16DE型1597cc直列4気筒DOHC16Vエンジン(109ps/15.5kg・m)+5速MTのパワートレインを採用する16X/16RZを追加した。

 2009年5月からは新しい広告として「低燃費少女ハイジ」シリーズを展開。合わせて、燃費の向上やパワートレインの改良、内外装の仕様変更などを相次いで実施し、コンパクトMPVとしての実力を高めていく。そして、2012年9月になって第2世代のE12型系ノートへと移行したのである。