ホンダデザイン15 【2002,2003,2004】

“上質”をテーマに上級セダンとミニバンを刷新

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“New Quality Tourer”をコンセプトに据えた7代目アコード

 自動車メーカーの世界的な合従連衡が巻き起こった2000年代前半、本田技研工業は、独創の車両デザインを纏ったニューモデルを積極的に開発していった。
 2002年10月には、“New Quality Tourer”をコンセプトに据えて企画した7代目アコードおよびアコードワゴンを市場に放つ。セダンのアコードは、静・動ともに上質感と躍動感のあるエクステリアデザインが特長で、同時に空力性能もクラストップレベルのCd値(空気抵抗係数)0.26を実現する。また、Euro-Rではエアロフォルムバンパーやハニカムメッシュタイプのフロントグリルを装備してスポーツ性を全身で表現した。
 インテリアについては、素材の質感や組み付け精度はもとより、走行時の高い乗員ホールド性や運転操作時の動きやすさにもこだわってデザインを構築する。Euro-RにはMOMO製本革巻きステアリングやレカロ製バケットシート、アルミ材シフトノブなどのスポーツアイテムも組み込んだ。

 アコードワゴンに関しては、“積める”“走る”を表現した伸びやかさと豊かさを強調するエクステリアデザインで仕立てる。専用設計のリアサスペンションを採用して低床な荷室空間を実現したインテリアは、キャビンからラゲッジまでのスペースを広く上質感のあるデザインで構成。上級ワゴンらしいハイクオリティなムードを創出する。また、後席には新開発のワンモーションリアシートを装備して積載時の利便性を引き上げていた。

4代目インスパイアのコンセプトは“New Intelligent Tourer”

 2003年6月になると、“New Intelligent Tourer”をコンセプトとした4代目インスパイアを発売する。新開発の可変シリンダーシステム付きJ30A型2997cc・V6OHCのi-VTECエンジンに、高速道路運転支援システムHiDSや追突軽減ブレーキ(CMS)+E-プリテンショナーなどの先進メカを組み込んだ新ラグジュアリーセダンは、“クラッシー&アグレッシブ”をテーマに据えたエクステリアデザインを採用。ゆとりの空間とスポーティなイメージを両立するハイデッキ&ワンモーションフォルムを基本に、横長で薄型構造のラインビームHIDや太いメッキ枠を配した大型グリル、バンパーと一体感を持たせた左右大径エキパイフィニッシャーなどの個性的なパーツ群を装備していた。

 インテリアは、“クリーン&エモーショナル”をテーマに造形を手がける。インパネはラップラウンドデザインで、メーターにはブラックフェイスに文字盤が白や青で浮かび上がる4眼タイプを採用。スモールランプと連動して点灯するブルーイルミネーションも室内の華やかさを盛り上げるのに一役かっていた。

速い、美しい、広いを高次元で融合させた3代目オデッセイ

 2003年10月には、オデッセイを3代目に切り替える。“ミニバン・イノベーション”をコンセプトに、速い、美しい、広いを追求した次世代型ミニバンは、知的でスピード感のある黒ヒョウをモチーフに基本フォルムを構築。細部の造形にも工夫を凝らし、フローティンググリルを中心に薄型ヘッドライトとバンパーを低い位置で融合させたフロントマスクや大きく張り出したフェンダー、流麗なサイドビュー、ダイナミックなデザインのリアセクションなどによって車高の低い個性的なスタイリングを実現した。

 インテリアについては、操作系を集中配置したインパネセンター部、機能的なコクピットと優雅なくつろぎが得られるパッセンジャーエリアの融合などによって、走りのミニバンのイメージを表現する。2/3/2名乗車の3列式シートを配した居住空間は、徹底した低床設計によりゆとりのスペースを具現化。また、2列目にはダブルフォールダウン機構を、3列目には電動床下格納機構を設定し、利便性を大幅に向上させていた。

“新世代プレミアム8シーター”を標榜したエリシオン

 2004年5月には、“新世代プレミアム8シーター”と称する新型ミニバンのエリシオンを発表する。エクステリアは大海原を疾走するクルーザーをモチーフに、豊かな空間を連想させる四角と先進的で走りをイメージさせる丸(流線型)を融合させたデザインで構成。各部の意匠も独創的で、色味の異なるメッキを用いてコントラストをつけた大型グリルに薄型ヘッドライトを配したフロントマスク、各ピラーを高光沢なブラックアウトとしてグラスエリアとの一体感を持たせたサイドビュー、厚みのあるバンパーにフェンダーフレアとテールゲートを融合させたリアセクションなどを採用した。

“スーパーリラックス”をテーマにデザインしたインテリアは、クルーザーのラウンジをモチーフに、大きく明るいグラスエリアや効果的な照明配置、左右を太く直線的に貫く木目調パネルを配した水平基調のインパネなどによって豊かさを実感できるキャビンルームに仕立てる。シート配列は2/3/3名乗車の3列式で、低くフラットなフロアや大開口のドアなどと相まって優れた居住性と使い勝手を実現していた。