トヨタデザイン16 【2001,2002,2003】

フレンドリー&機能的、21世紀ミニバン登場

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“キュービック クリエーター”を開発テーマに据えた新型ノア/ヴォクシー

 1990年代終盤の日本の自動車市場では、1台で多人数が移動できる合理的かつ経済的なクルマ=ミニバンがファミリー層に高い人気を獲得していた。この時代のニーズに応えトヨタ自動車は、来るべき21世紀に向けて、新たなデザインアプローチで魅力度を増した新世代のミニバンを積極的に企画していった。

 2001年11月には、駆動レイアウトをFF方式に一新したうえで単独ネームに切り替えた新型ノアと、その兄弟車となるヴォクシーを発売する。開発キーワードを“キュービック クリエーター”としたノア/ヴォクシーは、FFレイアウトの新パッケージによってフラットフロアとゆとりの室内空間を実現。また、2680mmのロングホイールベースとする一方で全長をミディアムセダン並みの4560mmに収めて優れた取り回し性を確保する。3列式シートはフロントにセパレートタイプを、セカンドにワンタッチタンブルシートまたはマルチ回転シートを、サードにイージースペースアップシートを装備。インパネは中央に機能を集めた新デザインで仕立て、同時に計器盤にはセンターメーターをセットした。

 エクステリアは、ノアがクリーンな造形により存在感を強調するとともに親しみやすさを演出。ヴォクシーはクールで引き締まったイメージと精悍なスタイルを表現する。特徴的だったのはフロントマスクで、ノアは表情豊かなヘッドランプによって堂々とした存在感と上質感を演出したのに対し、ヴォクシーはシャープなグリルと、重心を低く構えたバンパーによってシャープかつクールなイメージを実現していた。

ミニバンのフラッグシップを目指したアルファード

 2002年5月には“ダイナミズム&ホスピタリティ”を開発コンセプトに据えた最上級ミニバンのアルファードGとアルファードVがデビューする。車両パッケージは、FFレイアウトを採用したうえで全長4800×全幅1805×全高1935mm/ホイールベース2900mmの堂々とした体躯を創出。スタイリングは逞しさを強調したフロントマスクを筆頭に、ボリューム感のあるフェンダーラインで構成したサイドビュー、スクエアなシルエットを基調としたリアセクションによって堂々とした姿を実現した。

 内装デザインについては、扇形の大型センタークラスターを中央に配したインパネや、木目調装飾および金属調塗装トリムなどで豪華かつくつろぎの空間を演出する。シート配列は3列式で、各席ともボリューム豊かなシート形状にするとともに、フルフラットやセカンドシート回転など多彩なシートアレンジを可能としていた。

スポーティなモノフォルムで仕立てたウィッシュ

 2003年1月になると、多彩に使えるユーティリティを追求したウィッシュが登場する。2750mmのロングホイールベースを確保したうえで全長4550×全幅1695×全高1590mmの5ナンバーサイズに収めたボディは、キャビンフォワード造形と、流麗で躍動感のあるサイドビューおよびリアセクションで構成。ディテールにも工夫を凝らし、膨らみのあるフード面に組み込んだ縦型グラフィックの4灯ヘッドランプやシリンダー形状のランプエクステンション、シャープなラインを描くウィンドウグラフィック、シンプルで張りのあるリアゲートによってスポーティさや新しさを表現した。

 インテリアは、ロングホイールベースとフラットフロアを活かした快適な居住空間をベースに、ダブルホールディングおよび195mmの前後スライド機構などを装備したセカンドシート、ワンタッチでチルトダウン格納および引き起こしができるサードシートをセット。優れた機能性とユーティリティ性能を実現する。また、円筒形のメーターフードから左右に広がるクラスターやゲート式インパネシフトなどにより、コクピット感覚の運転席を演出していた。

シエンタはミニバンに求められる性能をコンパクトに集約

 2003年9月には、“小粋でユースフルな7人乗り”を開発テーマにしたシエンタが市場デビューを果たす。
 全長は短めの4100mm、一方でホイールベースは2700mmと長くとったボディに3列式のシートを組み込んだコンパクトミニバンは、“ヒーリング・モダン”をコンセプトに内外装デザインを構成。エクステリアは“あっさりリラックス”をキーワードに、乗る人を優しく包むアーチキャビンやショルダー部に張りを持たせたドア断面、丸目2灯式のヘッドランプのキュートなフェイス、一体アレンジとしたサイドおよびリアガラスなどによって、親しみのあるルックスを実現する。インテリアについては“COZY&SMART”(居心地と使い勝手のよさ)をキーワードにシンプルで温かみのあるくつろぎ空間を創出し、カラーリングにはライトイエロー&アイボリーとダークブルー&グレーという2種類のツートン色を設定していた。