N-ONE 【2012,2013,2014,2015,2016,2017,2018,2019,2020】

N360のイメージを大切にした新世代カジュアル

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名車のイメージを投影した新型Nの誕生

 ホンダは1967年、軽乗用車N360を発売。N360は、軽自動車の概念を超える画期的な高性能と広い室内でマーケットを席巻。ホンダの4輪メーカーとしての地位確立に大いに貢献した。N360が挑戦した常識破りの高性能設計と、人間優先のMM(マンマキシマム・メカミニマム)思想は、ホンダの伝統ととなり、現在まで脈々と継承されている。

 2012年11月に登場したN-ONEは、N360のデザインイメージを大切にした新世代モデル。N-BOX、Nワゴンに続く新生Nシリーズの第3段モデルとして市場に投入された。開発テーマは「長く愛されるクルマ」。イタリアのフィアット500、英国のMINIと同様に往年の名車をモチーフにしたプレミアムモデルとしてのキャラクターが与えられ、実用性重視の軽自動車のなかで個性が際立っていた。

丸型ヘッドランプ。造形は懐かしさと新しさが融合。

 スタイリングは丸型ヘッドランプとフロントマスク、そしてリアランプ形状でN360イメージを表現。ただし決してレトロスティックな造形ではなく、プレーンな面表現や、伸びやかな空間設計で21世紀らしさを演出していた。懐かしさと新しさが同居したデザインはユーザーから共感を持って迎えられる。ラインアップは標準シリーズと、各部の装飾を増やし“遊びゴコロ”を大切にしたプレミアム・シリーズで構成。パワーユニットは全車658ccの直列3気筒DOHC12V、自然吸気(58ps)とターボ(64ps)の2仕様が選べた。トランスミッションはCVT。駆動方式はFFと4WDである。

 ボディタイプは実用性の高い5ドアハッチバック。ボディサイズは全長×全幅×全高3395×1475×1610mm(FF)。全長と全幅は、一般的な軽自動車と同等。高さに余裕を持たせることで広い室内空間を実現する。とはいえ高さはN-BOXなどのトールワゴンと比べると100mm以上低く、その絶妙なサイズ感によって独特の安定感を演出していた。
 ユーザーが個性を表現しやすいよう、多彩なボディカラーをラインアップしたのも特徴だった。11色のモノトーンに加え、ボディとルーフの色を分けた5種の2トーンカラーが用意された。

 インテリアは、シンプルでワイド感を強調する横基調のデザイン。各部のマテリアルを吟味することで軽自動車とは思えない上質感を演出する。シートは小型車と同等の大型サイズで、前後ともベンチ形状。後席には折り畳みや、チップアップ機構が盛り込まれ多彩なアレンジを可能とした。室内寸法は長×幅×高2020×1300×1240mm。大人4名での長距離ドライブも苦にならない広々とした空間が与えられていた。

優れた総合性能、高速クルーズも楽々!

 走りはクラスレス。とくにターボ仕様は、低回転域から豊かなトルクを発揮し加速は強力。スピードの伸びがよく、意のままのドライビングが楽しめた。走りの余裕は、感覚的に1.3リッタークラスと同等。高速道路でもパワーに不足はなく、長距離クルージングは快適だった。静粛性も全般的に優秀。エンジンを高回転域まで回すと、にぎやかになったが、通常領域ではキャビンは静かに保たれ、パッセンジャー同士で会話が楽しめた。

 N-ONEは、ファーストカーとして楽しめる軽自動車の代表。上級モデルから乗り換えるユーザーも多かった。2014年5月には改良が施され、自然吸気仕様のJC08モード燃費を27.0km/Lカら28.4km/Lに改善。従来オプションだった衝突被害軽減ブレーキとサイド&カーテンエアバッグを一部グレードを除き標準装備した。さらに2015年には全高を65mm下げ、一般的な立体駐車場に対応したローダウン・グレードを追加。スポーティなアクセサリーで仕上げたコンプリートモデルのモデューロXをラインアップに加える。

 N-ONEの販売実績は、新生Nシリーズの中では目覚ましくはない。しかしそれは個性的であることの証明でもある。気に入ったユーザーが長く愛す個性派の軽自動車。N-ONEはホンダらしいこだわりを満載したファッショナブルモデルである。
 2020年に第二世代にモデルチェンジするが、驚くことに一部のパネルを除き、ボディスタイルは不変。開発陣は新たなN-ONEスタイルに挑戦したが、結局、オリジナルのN=ONEを超えられなかったという。N-ONEはホンダのアイコンとして、機能最新/デザインキープの新たなモデルチェンジスタイルを提案した。