エルグランド・ハイウェイスター 【1997,1998,1999,2000,2001,2002】

パーソナルイメージを演出した最上級ミニバン

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ユーザーのスペシャル願望を具現化した特別モデル

 他人とはちょっと違うスペシャルなクルマに乗りたい、そんなクルマ好きの心理に応えたグレードが日産のミニバンやSUVなどに幅広くラインアップされているハイウェイスターだ。当初は特別仕様としてバネット・セレナやラルゴに設定されたものだが、ユーザーの好評に応えて正式グレードに昇格。初代エルグランドでは人気を牽引する主力モデルに成長した。

 1997年5月に「最高級新世代1BOX」を標榜してデビューした初代エルグランドにハイウェイスターが加わったのは1998年4月のことだった。エルグランドは堂々としたスタイリングとサイズを生かした広大なキャビン。そして豪華さと伸びやかな走りで従来の1BOXワゴン像を一新したエポックモデルである。エルグランドの登場まで日産のパーソナル・パッセンジャーカーの頂点はセドリック&グロリアだったが、登場以降はエルグランドがその座に就いた印象さえあった。エルグランドはそれほど強いインパクトの持ち主だったのである。

 しかしエルグランドにも少々弱点があった。パーソナル感とスポーティさの演出である。3列シートを備えた1BOXとして機能、豪華さは満点だったが、オーナー自らがステアリングを握り、走りを楽しむイメージにいささか欠けていたのである。ハイウェイスターはその弱点を解消したモデルだった。内外装をスポーティかつスペシャルに仕上げ、独自の個性を訴求したのである。

先行車が道を譲る押し出しの強いデザイン!

 ハイウェイスターの個性はエクステリアに表現されていた。フロントスポイラー&サイドシルプロテクター&サイドガーニッシュ&リアスポイラー&リアアンダープロテクターなどの採用で安定感あるスタイリングを実現。さらに専用グリルやサイドスポイラー、専用エクゾーストフィニッシャーなどでトータルコーディネートしていたのだ。足元もアルミホイールで引き締めたハイウェイスターのスタイリングは押し出しが強く、しかもエルグランドの高級感を一層盛り上げていた。とくに左右に大きなエアインテークを配置したフロントスポイラーの造形は秀逸だった。

 ハイウェイスターのネーミングどおり、高速道路で前走車に相当のインパクトを与えたのである。エルグランド・ハイウェイスターが後方から迫ると、前走車は面白いように道を譲ったという。

室内も特別。走りを愉しくする演出を満載

 室内も特別だった。シートはクリーム色を基調色としてセンター部分をダークカラーで仕上げた専用の本革&サプラーレ&トリコット地シートを採用。ダークブルーを基調色とした精悍なメーター、パンチングレザー仕上げの専用ステアリング、メタリック調のパワーウィンドースイッチパネルなど細部までこだわりの装備が満載されていた。メーカーの作品だけに質感は申し分なく、まさにエルグランドのスポーツ頂点といえる完成度だった。

 伸びやかなパワーのV型6気筒OHC仕様VG33E型(170ps/27.1kg・m)と、経済性に優れた直列4気筒OHVディーゼルターボ仕様QD32ETi型(150ps/34.0kg・m)の2種から選べるパワーユニットや、フロントがストラット式、リアが5リンク式の足回りなどは通常グレードと同一だったが、もともとエルグランドの走りの完成度は高く、標準仕様のままでもスムーズでしかも俊敏な走りが味わえたからまったく問題なかった。走りの機能面を標準仕様のままとしたのは、すでに絶妙なバランスを実現していたエルグランドの美点を生かした、いわば設計者の良心だった。

 エルグランド・ハイウェイスターは、大型1BOXミニバンのパーソナルカー化を促進したエポックカーだった。卓越した快適性、豪華さ、スポーティな走り、そして周囲をふり返らせるスタイリングなど、上級パーソナルカーに要求される要素を高次元で融合していた。エルグランド躍進の忘れられない立役者である。