レヴォーグ 【2014,2015,2016,2017,2018,2019,2020】

日本市場に向けて本質を磨いた新世代スポーツツアラー

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伝統のツーリングワゴンを継承するために−−

 トヨタ自動車との提携を密にし、経営の安定化や車種展開の刷新を図っていった2010年代前半の富士重工業(現SUBARU)。一方で開発現場では、レオーネ〜レガシィと続く伝統のツーリングワゴンの全面改良を計画していた。レガシィは次期型で輸出市場を重視してボディを大型化し、同時にセダンのB4とクロスオーバーモデルのアウトバックの2モデル展開に絞る方針が打ち出される。では、日本で人気のあるツーリングワゴンの設定はどうするか−−。様々な検討の結果、4代目インプレッサのプラットフォームやパワートレインをベースとする日本向けのツーリングワゴン専用モデルを開発する旨が決定された。

 新世代ツーリングワゴンの商品テーマには“革新スポーツツアラー”を掲げる。具体的には、走る愉しさを追求する“スポーツパフォーマンス”、高い機能性と長距離を気持ちよく快適に走る“ツーリングパフォーマンス”を融合させたうえで、クルマに求められる様々な価値や高い質感を内包させた革新のツーリングワゴン=スポーツツアラーに仕立てることを目指した。

キャッチフレーズは“REAL SPORTS TOURER”

 富士重工業の革新スポーツツアラーは「レヴォーグ(LEVORG)」の車名を冠し、まず2013年11月開催の第43回東京モーターショーに参考出品され、翌2014年1月に先行予約の受付を開始。そして、4月に正式発表し、6月より販売をスタートした。キャッチフレーズは“REAL SPORTS TOURER”。車種展開は1.6Lエンジン搭載の1.6GT/1.6GT アイサイト/1.6GT-S アイサイトと2Lエンジン搭載の2.0GT アイサイト/2.0GT-S アイサイトで構成する。車名のLEVORGは“LEgacy”“reVOlution”“touRinG”から作られた造語で、「“SUBARUの大いなる伝承”を引き継ぎながらも、次世代に先駆けた変革により、新たなツーリングカーの時代を切り拓く」という意味を込めていた。

 レヴォーグは、日本の交通環境で取り回しのしやすいボディサイズとしながら、ゆとりのあるキャビン空間およびカーゴルームを実現する。エクステリアはルーフ後端を低く抑えることで流麗かつスタイリッシュなフォルムを構築。フロントビューにはSUBARUの統一デザインモチーフであるヘキサゴングリルから始まる立体的なノーズコーンや精悍な印象のホークアイヘッドランプを採用してダイナミック感を創出した。インテリアは質感の高さにこだわり、艶のあるピアノ調ブラックパネルを中心に金属調アクセントやメッキパーツを効果的に配する。ステアリングにはスポーティな印象を与えるDシェイプを導入。さらに、サポート性と座り心地を引き上げた前席やアレンジ性に富む4:2:4分割可倒式の後席、フラットな空間に仕立てたうえで522lという大容量を確保するカーゴルーム+大型サブトランクなどを装備した。

 パワートレインは直噴式の「1.6インテリジェント“DIT”」ことFB16型1599cc水平対向4気筒DOHC16Vターボ(170ps/25.5kg・m)+リニアトロニック(マニュアルモード付CVT)と「2.0Lハイパフォーマンス“DIT”」ことFA20型1998cc水平対向4気筒DOHC16Vターボ(300ps/40.8kg・m)+スポーツリニアトロニック(マニュアルモード付CVT、3モードSI-DRIVE)の2機種を設定する。駆動機構には新世代アクティブトルクスプリットAWDを採用。燃費性能はJC08モード走行で1.6L車が17.4km/L、2L車が13.2km/Lを実現した。懸架機構は専用セッティングの前マクファーソンストラット式/後ダブルウィッシュボーン式で、制動機構には前後ベンチレーテッドディスクブレーキを装備する。また、セーフティ機構として進化版のアイサイト(ver.3)をスバル車で初採用。従来の安全性能のさらなる向上に加え、アクティブレーンキープやAT誤後進抑制制御、危険回避アシストなどを新たに追加していた。

入念な改良を施し続けて商品力を強化

 発表と同時に多くの受注を獲得したレヴォーグは、毎年のようにリファインを実施して商品力を高めていく。まず2015年4月の一部改良では、スバル車で最初にアドバンスドセイフティパッケージ(スバルリアビークルディテクション/ハイビームアシスト/サイドビューモニター/アイサイトアシストモニター)を設定。同時に、乗り心地や静粛性の向上を図る。2016年6月になると、安全性のさらなる強化や内外装の仕様を変更、新グレードSTIスポーツを追加。2017年8月には大がかりなマイナーチェンジを行い、アイサイトへの新機能(ツーリングアシスト/後退時自動ブレーキシステム/フロントビューモニター/スマートリアビューミラー)の追加やステアリング連動ヘッドランプおよびオートビークルホールドの採用、サスペンションとパワーステの改良、内外装の意匠変更などを敢行した。

 着実な進化を果たしながら六連星のツーリングワゴンの伝統を継承していくレヴォーグ。その成長は、2020年の2代目モデルに結実。新世代アイサイトXや電子制御アダプティブサスペンションの導入などで、新たなステージへと移行する。