レガシィ・ツーリングワゴン 【2003,2004,2005,2006,2007,2008,2009】

新世界を開拓したスポーティーワゴン

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


レガシィ人気はツーリングワゴンが牽引

 2003年5月にレガシィは第4世代へと切り替えられた。1989年1月に登場したレガシィは、SUBARUのお家芸となった水平対向型エンジンと4WDシステムを併せ持った個性的なモデルとして好評を得る。デビュー間もなく主力モデルの座を確立し、代を重ねるごとに熱烈な信奉者を増やすなど日本車として独自のポジショニングを築いていった。

 レガシィ人気の中心になっていたのがツーリングワゴンを名乗る実用的なステーションワゴン仕様であった。商用車派生ではなく上級パッセンジャーカーとして開発されたモデルで、SUBARUでは特にツーリングワゴンの名を与えて、スポーティーワゴンとしてのイメージを強調していた。車名のレガシィ(Legacy)とは、偉大な伝承物とか子々孫々受け継がれて行くものなどという意味を持つ英語である。

全車が走りに優れた4WDシステムを採用

 4世代目となったレガシィシリーズは、メイン車種となるツーリングワゴンとB4を名乗る4ドアセダンの2車種で構成されていた。ワゴンとセダンの販売上の比率はおおよそ7対3であったと言われている。全車が4WDシステム(この第4世代目からスバルではAWD=オール・ホイール・ドライブと呼ぶ)を装備していた。4ドア+テールゲートの5ドアスタイルを持つツーリングワゴン系では、ホイールベース2670mm、全長4680mm×全幅1730mm×全高1470mmのボディサイズは5ナンバー枠を超えて3ナンバーサイズとなった。ボディ剛性はハイレベル。シャシーのねじり剛性や曲げ剛性は旧型比で確実に向上している。衝突安全性の面からも、これは当然のことだった。

 スタイリングは旧モデルからのキープコンセプトとなっており、それはインテリアのデザインも同様だった。大型のセンターコンソールを中心に、デザインは左右対称イメージとしており、左ハンドル仕様の製作にあたって、ステアリングとインスツルメンツパネルの変更にも大きな支障がないように考えられていた。ちなみにクオリティ面ではプレミアムカーと呼べるほどのグレードアップが図られていた。SUBARUの主力モデルということが即座に理解できるクルマだった。

素材と設計の工夫で徹底した軽量化を実現。

 4代目レガシィは、トータルな機能向上のため徹底した軽量化に取り組んでいた。軽量化は先代モデル比50〜100kgを達成。車体面では「構造面の合理化」と「使用材料の進化」を積極的に推進。なかでもアルミパーツの多用による軽量化は見事だった。フロントのバンパービームやリアのバンパーブラケットに軽量なアルミ押し出し材を使用。Aピラーの付け根左右を連結しステアリングを固定するメンバーもアルミ化された。それだけではない。ボディの大物パーツであるボンネットやリアゲートもアルミで仕上げていた。

 リアゲートは従来までのスチール製だと14.5kgに達するがアルミ製のため僅か7.5kg。重量は一挙に半減した。ちなみにレガシィの特徴は車体の前後部分の重量を軽減したこと。この部分の軽量化は慣性モーメントの低減に貢献し、ハンドリング性能の向上をもたらす。単に軽量化するだけでなく、同時にドライバーズカーとしての資質を磨く姿勢にSUBARUらしさが現れていた。

GTはMTで280ps、ATでも260psの高出力

 フロントに縦置きされる水平対向型4気筒エンジンは3種。チューニングの違いによって合計5つの仕様があった。最もベーシックなものは排気量1994ccの自然吸気型(ノーマルアスピレーション)のSOHC16バルブ、圧縮比10と電子制御燃料噴射装置を備え、140ps/5600rpmの最高出力を持つ。もう1種の自然吸気型は同じ排気量ながらDOHC16バルブ・ヘッドが与えられ、11.5と高い圧縮比と電子制御燃料噴射装置を備える自然吸気型で190ps/7100rpmおよび180ps/6800rpmの最高出力が異なる2種のチューニングを用意していた。190ps仕様はMT車、180ps仕様はAT車用である。

 シリーズのトップレンジ用としてDOHC16バルブに空冷式インタークーラーを組み合わせたツインスクロール・ターボチャージャーを装備する仕様もあり、こちらは280ps/6400rpmおよび260ps/6000rpmの最高出力となる。280ps仕様はMT車、260ps仕様がAT車用である。同じ排気量でありながらパワーに明確な差を付けたのはトランスミッション別に最適な出力&トルク特性を持たせる工夫だった。

待望のカーオブザイヤーを獲得したヒットモデル

 すべてが新規開発と言えるほどのドラスティックな進化を見せたレガシィは、当然市場からも好評を以て迎えられた。発売開始からわずか10日間で7000台を超える受注(メーカーの月間販売予定は6000台)を獲得した。生産は追い付かず、納車まで数ヶ月も待たされるユーザーさえ出る状況だった。

 デビューから4ヶ月後の2003年9月に3.0リッターの水平対向6気筒DOHC24バルブにダイレクト可変バルブリフト機構を組み込み、最高出力250ps/6600rpmを発揮するEZ30-R型エンジンを搭載した3.0R仕様が加わった。史上最もシルキーなエンジンを持つレガシィである。

 第4世代のレガシィは、先進性と完成度の高いメカニズム、高性能などが評価されて、2003-2004年度の日本カーオブザイヤーをスバルブランドのモデルとしては初めて受賞している。さらに、2003年12月にはレガシィの国内販売累計が100万台を突破した。
 航空機の開発&生産にルーツを持つSUBARUの高度な技術と地道な研究開発は、レガシィの登場で大きく花開いた。