ハリアー 【1997,1998,1999,2000,2001,2002,2003】

高級SUVという新ジャンルを開拓した前衛車

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ハリアーが提示した高級SUVの新世界

 1997年12月に登場したハリアーは鮮烈な存在だった。乗用車ベースの高級SUV(スポーツユーティリティビークル)という新ジャンルを創造したからである。ハリアーは、オフロードを主戦場にする従来のSUVとは根本的に異なるクルマだった。メカニズムの基本は上級セダンで、十分な最低地上高と機能的なボディをプラスすることで卓越したオールラウンド性能を獲得していた。まさに新種の高級車だった。

 ハリアーのデビュー当時、高級SUVとして認知されていたレンジローバー、ランドクルーザー80、ジープ・グランドチェロキーは、オフロードカーを基本に、快適性をリファインしたクルマだった。しかしハリアーは、トヨタの上級FFサルーンであるカムリ&ウィンダムをベースにオールラウンド性に磨きをかけたブランニューモデルだった。元来が卓越した快適性&走行性能を持つサルーンがベースだけに、その走りは上質そのもの。従来の高級SUVとは別次元の洗練ぶりが光る存在だった。

 乗用車の基本コンポーネンツを利用したSUVとしては1994年に登場したトヨタRAV4や、1995年デビューのホンダCR-Vの例がある。しかし両車はコンパクトカーをベースとしていたため、高級という観点は考慮されていなかった。しかしハリアーは、コンセプト段階から高級を意識したプレミアムSUVだった。この点で世界初の存在だったのだ。乗用車ベースの高級SUVのジャンルには、現在ではポルシェ・カイエン、BMW X5、アウディQ7などが登場し活況を呈している。その実質的なパイオニアはハリアーなのである。

サルーンの快適性と卓越のオールラウンド性を両立!

 ハリアーの先進性は、乗用車のメカニズムを使用しながら、ユーザーにとって十分なオールラウンド性能を実現した点にあった。最低地上高は185mmと余裕ある数値が確保され、前後ともオーバーハング長を切り詰めた造型によりアプローチアングル28度、デパーチャーアングル23度のオフロード性能を実現したのだ。それでいてスタイリングは土の臭いを感じさせないモダンな印象だった。都会で映えるルックスながら、オフロードに足を踏み入れても満足できる“本物”のパフォーマンスで、まずはユーザーを魅了する。

 エンジンルームに横置き搭載するパワーユニットは2994ccの1MZ-FE型・V型6気筒DOHC24V(220ps/31.0kg・m)と、2163ccの5S-FE型・直列4気筒DOHC16V(140ps/19.5kg・m)の2種。どちらも全長4575mm×全幅1815mm×全高1665mmの大柄なボディを軽快に走らせるのに十分な実力の持ち主だった。なかでもV6の1MZ-FE型の滑らかさとトルクの太さは魅力で、その走りは高級感に溢れていた。駆動方式は前2輪駆動のFFと、前後駆動力配分を50対50に設定したセンターデフ方式のフルタイム4WDから選べた。トランスミッションは全車が電子制御式の4速ATで、ステアリング部でも変速操作が可能なスポーツステアマチック仕様である。

アメリカではレクサスの一員として大ヒット

 室内の豪華さ、快適性も卓越のレベルだった。前後席ともにアップライトな着座ポジションを持つ室内空間には伸びやかなデザインが施され、各部の作り込みは入念。装備もオートAC、ナビゲーション画面と一体化するワイドマルチディスプレー、オプティトロンメーター、キーレスエントリー機構を全車に標準化し、オプションで本革パワーシート、電動ムーンルーフ、JBLプレミアムサウンドシステムが選べた。

 ハリアーは、スタイリング、装備、パフォーマンスなどのどのファクターを採っても卓越した完成度を誇るクルマだった。国内はもちろん、アメリカでは高級車ブランドのレクサスの一員として高い人気を誇った。トヨタの先進性と卓越した商品開発能力を証明した逸材、それがハリアーだった。

こだわり、それは徹底した静粛性

 ハリアーの高級車としてのこだわりは、静粛性に表れていた。エンジンまわりでは、液体封入式エンジンマウントや、井型妨振サブフレームによってエンジンやデフからの振動伝達を遮断。とくにV6の1MZ-FE型ユニット搭載車は、エンジンの負圧を利用して振動を抑制する世界初のアクティブコントロールエンジンマウントを採用。圧倒的な静粛性を実現した。

 もちろん静粛性への取り組みはエンジンだけではなかった。最適なメンバーを配置したフロアパネルには、剛性が高く振動を抑える等曲率パネルを採用。同時にアスファルトシートをはじめ、吸・遮音材の効果的な配置で高級車を名乗るにふさわしい静粛性を実現した。高級SUVの静粛性の基準を作り上げたのがハリアーだった。