iQ 【2008,2009,2010,2011,2012,2013,2014,2015,2016】

魅力を凝縮した新世代マイクロシティカー

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街を走るクルマの新しい姿を追及

 地球温暖化による気候変動が世界中で問題視されている昨今、温暖化の主要因となるCO2の排出量削減は、人類が取り組まなければならない緊急の課題となっている。その具体策としてトヨタ自動車は、2007年開催のフランクフルト・ショーと東京モーターショーでクルマのダウンサイジングを提案。超高効率パッケージを実現した「iQコンセプト」を雛壇に上げた。

 iQコンセプトは3mを切るボディ長ながら大人3名+子供1名が無理なく乗れる室内スペースを確保し、しかも優れた燃費性能を追求したエンジンを搭載するという車両目標を掲げる。このコンセプトはショーデビュー後も急ピッチで煮詰められ、2008年3月のジュネーブ・ショーではより完成度の高い「iQ」が発表される。またその席では、2008年中に「iQ」を市販化する旨がアナウンスされた。

軽自動車より410mmも短いショート設計

 iQの車両概要を見ていこう。ボディサイズは全長2985×全幅1680×全高1500mmで、ホイールベースが2000mm。一般的な軽自動車と比べてボディ長は410mmも短いが、ボディ幅は205mmも広い。しかも前後のオーバーハングは異例なまでの短さ(前530mm/後430mm)だ。現行車の中では極めて縦横比が小さく、どっしりとした安定したフォルム--iQのスタイリングを端的に言うならば、こういう表現が適当だろう。

 室内は前席がセパレート式、後席がベンチ式のシートレイアウトを採用する。助手席を前方にセットした場合は、大人3名+子供1名が座れるスペースだ。またこのシートは新素材の薄型軽量タイプを採用しており、車両ウエイトの軽量化(900kg以下)にも貢献している。

 内外装のデザインに関しては、クルマの先進性を見た目からも理解できるようにアレンジしたことが特徴だ。エクステリアは異形タイプのHIDランプや抑揚のあるボディラインなどが注目点。インテリアは新造形のメーターパネルや扇型にまとめたセンターパネル等がアピールポイントである。

斬新メカでコンパクト化実現

 コンパクト化を実現させた新技術について見ていこう。まずはフロントデフの反転配置。iQは一般的にエンジンよりも後方にレイアウトされるデフを、反転させたうえでエンジンより前に配置した。これによりフロントタイヤをより前方に置くことができ、結果的に室内に侵入するタイヤハウスやトーボードの張り出しを小さく抑えることに成功したのである。

 2点目はステアリングギアボックスのハイマウント設計。ステアリング系統をアクスルよりも高い位置にレイアウトすることでエンジンルームのコンパクト化を達成した。3点目は超薄型燃料タンクの採用と同タンクの床下配置で、低重心化とともにリアオーバーハングの短縮に貢献している。

 4点目はエアコンユニットの小型化と同ユニットのセンター配置。通常は助手席前のインパネ内部に配置するエアコンユニットを、小型化したうえでセンタークラスター内に収納した。これにより、室内長の拡大と助手席スライド量のアップ(290mm)を実現している。

 日本仕様のiQに搭載されるメインエンジンは1.0L直3DOHCのガソリンユニット(欧州仕様では1.4Lディーゼルユニットも用意)。組み合わせるミッションは専用チューニングのCVTで、新しいJC08モード燃費では、30km/Lオーバーを達成する見込みだ。さらにCO2排出量に関しては、プリウスよりも優秀な99g/kmを記録するという。

コンパクトだが安全対策は万全

 iQは高い安全性も大きなアピールポイントである。ボディ骨格は“マルチロードパスボディ”と呼ぶ新構造を採用。衝突荷重をフロントサイドメンバーやサスペンションメンバーなどで受け持ち、さらにメインの骨格や複数の部材で衝撃を分散させるという。
 もう1点、9つのエアバッグを装備することもiQの特徴だ。運転席&助手席エアバッグやサイドエアバッグはもちろん、左右のカーテンエアバッグ、運転席ニーエアバッグ、助手席シートクッションエアバッグ、そしてリアウィンドウに配置するカーテンシールドエアバッグを装着する。

 さらにiQは走行時の安全性も重視。電動パワーステと協調制御されるS-VSC(姿勢制御装置)や最新のABSなどをエクイップメントに加えている。
 車両ロジックを徹底的に追及し、究極の高効率パッケージを実現した新世代シティコミュータのiQ。内燃機関のクルマでも無理なくCO2の排出量を削減できるモデルとして、世界中の自動車マーケットから熱い視線を浴びている。