ニューモビリティ・コンセプト 【2010〜】

ゼロエミッション社会に向けた新ミニマムEV



ゼロエミッション・モビリティ社会の実現を目指して−−

 地球温暖化に起因する異常気象がグローバル規模で発生している21世紀。温暖化の主要因となるCO2の排出量削減は自動車業界が早急に取り組まなければならない重要課題となっている。対応策として日産自動車はクルマのCO2排出量をゼロにする“ゼwロエミッション”社会の実現を目標として掲げる。その一環として同社は、2010年11月に新しい電気自動車(EV)の「ニューモビリティ・コンセプト」を発表した。

 ニューモビリティ・コンセプトは高齢者や単身者世帯の増加といった社会的背景、および乗用車の近距離移動・少人数乗車の使用実態に着目した移動手段の提案形である。具体的には、(1)革新−−近距離移動および個人用途に適した新しい2名乗り小型モビリティ (2)簡単−−誰にでも運転や駐車がしやすい車両サイズ (3)安全−−オートバイと同等の機動性と高い安全性を両立 (4)クリーン−−走行中の排出ガスゼロ、という4つのキーワードを開発テーマに据えた。ちなみに、日産はアライアンスパートナーであるルノーとともに「ゼロエミッション車で世界のリーダーになる」と公言しており、ニューモビリティ・コンセプト発表の1カ月ほど前に開催されたパリ・サロンにおいては同車の実質的な兄弟モデルとなる「RENAULT TWIZY」を公開。2012年にはサブAセグメントの新EVとして欧州マーケットでの市販を開始した。

人口動態と使用実績を鑑みた新コンセプトEVの開発

 ニューモビリティ・コンセプトの動力レイアウトは、交流インダクションモーターを横置き搭載して後輪を駆動し、蓄電池としてリチウムイオンバッテリーを配する100%電気自動車である。ボディ骨格は軽量スチールで仕立てられ、被せるボディパネルにはリサイクル性にも優れる強化プラスチックをメイン素材として採用。サスペンションは前後ともにスタビライザー付きのマクファーソンストラット/コイルで、ステアリング機構にはラック&ピニオン式を組み込んだ。
 ボディサイズは全長2340×全幅×1190×全高1450mm/ホイールベース1686mm。車重は約470kgで、最高速度は80km/hに達する。充電ケーブルを収めるボックスは、フロント部に配置した。

 キャビンスペースに関してはタンデム型の2シーターレイアウトを基本に、一般的なクルマと同様の操作系アイテム(ステアリング/ABペダル等)を装備する。サイド部は開放感があり、かつ乗り降りに優れるオープン形状を採用し、跳ね上げ式のシザーズドアを組み付けることも可能とした。また、新しい価値の創出策として、ITを活用して他の交通公共機関と提携し、それぞれの特長を活かした効率的な移動を実現する“シームレスモビリティサービス”を設定。さらに、“2モード(通勤用車両&社用車)EVカーシェアリング”のサービスやデータ通信モジュール(TCU)の活用なども想定している。詳しいスペックやメカニズムについては未公表だが、その完成度は非常に高い。

公道走行による実証実験をスタート

 日産は新しい超小型EVとなるニューモビリティ・コンセプトの社会的価値として、(1)あらゆる人の日常の移動手段をサポート=高齢者や子連れの外出の支援 (2)公共交通と組み合わせた利便性の向上=地方都市や郊外および都心におけるアクセスの向上 (3)効率的モビリティによるさらなるCO2排出量の削減=近距離移動の個人用途に特化したゼロエミッション・モビリティの提供 (4)地域活性化の促進=観光地や市街地での回遊性およびサービスの向上、といった内容を提案する。また具体的な施策としては、国土交通省の平成23年度「環境対応車を活用したまちづくりに関する実証実験」への参画および「高齢者にやさしい自動車開発推進知事連合」(神奈川県横浜市/青森県/福岡県)との提携などを実施した。

 2011年9月に国土交通大臣の認定を取得し、横浜市との協同による「ヨコハマ・モビリティ・プロジェクト・ゼロ」(YMPZ)などでの実証実験を始めたニューモビリティ・コンセプト。次世代モビリティ社会の試金石となる1台は、公道走行テストを通じて各種データを収集しながら、着実に進化を続けている。