レジェンド 【2004,2005,2006,2007,2008,2009,2010,2011,2012】

卓越の走りで“高級”を表現したフラッグシップ



世界初4輪駆動力自在制御システムを採用

 2004年10月に登場した4代目レジェンドは、ライバルを圧倒する走りでフラッグシップであることを表現した技術指向の高級車である。「独自の存在感」「胸のすく走り」「高い機動性」の3点をキーワードに開発され、目指したものは「ニュードライビング・エクスペリエンス=新次元のドライビング体験」だった。

 メカニズム上の特筆ポイントは、世界初の4輪駆動力自在制御システム「SH−AWD=スーパーハンドリング・オールホイールドライブ」の採用である。駆動力を前後輪に可変配分するとともに、後輪に配分した駆動力をさらに左右で可変制御し、あらゆる走行状態において、4輪それぞれのタイヤの能力を最大限に引き出した。駆動力を前方に走るだけでなく、曲がる性能にも積極的に活用した4WDシステムである。SH-AWDは前後の駆動力配分を30対70から、70対30まで無段階に制御すると同時に、後輪左右の駆動力配分を100対0から、0対100まで制御することで、雪道などの滑りやすい道路を含め高い走破性を実現。同時にハイスピードコーナリング時に優れた安定性を示すメカニズムに仕上げられていた。

 駆動力の制御には、ドライバーの意思を尊重する考えから、ステアリングやスロットルなどのドライバーの操作を情報源とする能動的なフィードフォワード制御を導入。さらに車両挙動をもとにした制御を組み合わせることで、あたかもドライビングテクニックが上達したかのような気持ちのよい走りを実現した。
 日産スカイラインGT-Rなどのアテーサ4WDシステムも前後の駆動力制御は導入していた。レジェンドのSH-AWDは、前後だけでなく後輪左右の駆動力配分をアクティブに最適制御したことが新しかった。しかも安定した走りだけでなく、気持ちのよいハンドリングを目指した点に、ホンダらしい個性が宿っていた。

300ps仕様のV6+徹底した軽量化で走りをリファイン

 レジェンドはSH-AWDの真価を際立たせるためパワーユニットも磨き上げた。ホンダ独自のVTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)を組み込んだ3471ccのV型6気筒DOHC24Vユニットは、国産車ではじめて280psを上回る300ps/6200rpm、36.0kg・m/5000rpmのハイパフォーマンスを実現。さらにマグネシウム製シリンダーヘッドカバーや2分割構造のアルミ製ダイカストインテークマニホールドの採用で軽量化も実現する。速度に応じてスロットル特性を最適に制御する車速応動DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)や、可変流量サイレンサーを持つフルデュアルエグゾーストシステムの導入で、高級車らしい滑らかな走行フィールと静粛性も追求していた。トランスミッションはパドルシフト付き電子制御式5速オートマチックが組み合わされた。

 Cd値=0.29の優れた空力特性を実現したボディにも、技術陣は徹底的にこだわった。ボディ骨格の約50%に軽量で高強度の高張力鋼板(ハイテン材)を使用。サブフレームをアルミハイブリッド構造とすることで合計38kgもの軽量化を実現する。さらに前後のサスペンションアームをはじめ、バンパービーム、ボンネット&フロントフェンダー&トランクリッドにもアルミ材を使用し一段の軽量化を追求。走りの実力を図る尺度となるパワーウェイトレシオは、旧型の7.85kg/psから、リアルスポーツに匹敵する5.87kg/psをマークした。

もうひとつの世界初。「インテリジェント・ナイトビジョン」

 「SH-AWD」と並ぶ、レジェンドの世界初が「インテリジェント・ナイトビジョンシステム」だった。夜間走行時に前方の歩行者を自動的に検知し、ドライバーに知らせる先進安全デバイスである。フロントバンパー下部に設置した2基の遠赤外線カメラの映像から、赤外線を放射する対象物の位置や動きを検知し、その大きさや形状から対象物が歩行者かどうかを判断。歩行者と認知した場合には、ドライバーに警告音で注意喚起すると同時に、インパネ上部に設置したヘッドアップディスプレーに映し出された歩行者をオレンジ色の枠で囲み強調表示した。

 歩行者の検知&注意喚起は、自車の進路上にいる歩行者と、進路に入ろうとする横断歩行者に対して作動。一般道路の速度域において歩行者の位置に到達するまでの時間を予測し、ドライバーが十分な回避操作を行えるタイミングで注意喚起を行った。遠赤外線レーダーを使用していたため、ヘッドランプの光が届かないケースでも歩行者を検知でき、夜間の安全性をぐっと高めた点が魅力だった。インテリジェント・ナイトビジョンシステムは、追突被害軽減ブレーキ(CMS)とともにメーカーオプションで設定された。

欧州製ライバルを凌ぐスーパーハンドリングサルーン

 ダイナミックな走りの性能を持って登場した4代目レジェンドは、NSXをワインディングロードで追い回せるほどのスーパーハンドリングサルーンだった。ライバルは国産車では不在。あえていえばBMWやアウディなどの欧州モデルだった。走りの実力は欧州車以上。ただしその優れたパフォーマンスを日本の道路環境で日常的に享受するのは難しいことも確かだった。レジェンドは人気が高かったものの、車両価格が525万円と高価だったこともあり販売は伸び悩む。

 4代目レジェンドは毎年細かな改良を加えて各部をリファインする。2008年9月にはエンジン出力を309psに引き上げると同時に、フロントマスクのデザインを一新。だが販売減少に伴い2012年に惜しまれつつ日本での販売を終了した。