館長日記08 スズキ・ソリオ・バンディット 【2021】

まじめで純朴。スズキらしい便利で広い、快適ワゴンです!

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名車文化研究所の館長は、もちろん無類のクルマ好き。
得意なのは「ちょっと古いクルマ」だけではありません。最新モデルも興味シンシン。現在でも自動車専門誌「CAR and DRIVER」の編集委員としてバリバリ取材をこなしています。
その日常を「館長日記」としてご紹介します。今日はスズキの新型スペースワゴンです。
名車文化研究所・館長 横田宏近/写真 小久保昭彦
新型は徹底したユーザー調査から誕生。さらに実用性アップ!

 スズキのコンパクトなスーパーハイトワゴン、ソリオ・シリーズがモデルチェンジしました。最新4thモデルは、ボディサイズをやや拡大。荷室とキャビンの使い勝手が向上し、同時に安全・快適装備がいっそう充実しました。
 Kカーはもちろん、コンパクトカーでもいまやファミリーユースは、ボクシーな造形で、リアにスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンが主役です。ソリオ・シリーズは、トヨタ・ルーミー&ダイハツ・トールとともに、このクラスを牽引する中心モデル。38万5000台もの保有台数を誇る実力車になります。

 新型は徹底したユーザーサーベイから誕生したクルマです。開発陣は幅広くユーザーと販売現場の声を聞き、ユーザーニーズが「後席の快適性アップと荷室の拡大」そして「安全装備の充実」であることを把握。それにストレートに応える新型を生み出しました。

ボディサイズはやや拡大。安全装備はクラストップ級

 新型のボディサイズは全長×全幅×全高3790×1645×1745mm。従来モデルと比較して全長は80mm(バンディットは70mm)長く、幅は20mmワイド、高さは共通です。全長の拡大分は室内と荷室のゆとりアップに使用しています。荷室床面長は、従来比100mm長い550〜715mm。新型は大きな荷物を積むケースでも後席を前にスライドさせる必要が減り、快適なドライブを約束します。

 安全面はスズキセーフティサポートの充実がポイント。アダプティブクルーズコントロールは全車速対応型になり、速度やナビ誘導などドライブ情報を見やすく表示するスズキ初のカラーヘッドアップディスプレイを新設定しました。サイド&カーテンエアバッグの標準装備や、標識認識機能もうれしいポイントです。
 ラインアップは標準仕様のソリオと、スポーティイメージのバンディッドの2タイプ。試乗車はバンディッドのハイブリッドMXです。

クラス唯一の4気筒ユニット搭載。これは便利だ!

 パワーユニットは従来型の改良版。1.2ℓ直4DOHC16Vデュアルジェット(91ps/118Nm)とISG(モーター機能付き発電機/3.1ps/50Nm)のマイルドハイブリッド仕様。走りはパワフル&スムーズです。とくに発進時の力強さが心地いいと感じました。エンジン自体が低回転域から豊かなトルクを生み出すだけでなく、モーターの適切なアシストが実感できるからです。右足を軽く踏み込むだけで交通の流れに乗れます。しかも静粛性はハイレベル。通常走行時はエンジンを高回転域まで回す必要はなく、たとえ回しても4気筒ならではのサウンドがかすかに耳に届くだけ。静粛性は3気筒ユニットを積むKカーやライバルのトヨタ・ルーミー&ダイハツ・トールに対する大きなアドバンテージといえるでしょう。

 ルーフパネルとルーフメンバーの接合部に高減衰マスチックシーラーを採用したボディはしっかりとした印象。足回りはしなやか。ソリオ・バンディットは、広く、便利で快適なコンパクトカーの代表といえます。乗っていて、これで十分、というよりこんなに便利なクルマはなかなかないな、と感じました。パフォーマンスも室内の広さも、Kカーよりぐっと余裕がありながら、絶対的にはコンパクト。実用車として欠点を見つけるのが難しいクルマです。館長としては、これで,もうちょっと「遊びゴコロ」が感じられると最高だと思いました。ルノー・カングーや、シトロエン・ベルランゴのようなお洒落で自由な雰囲気を身につけたら、国際車としても魅力的な存在になるでしょう。ジムニーやハスラーを作り出したスズキです。大いに期待したいものです。