ストーリア 【1998,1999,2000,2001,2002,2003,2004】

上質で走りに優れた個性派コンパクトの代表



小さく上質な新世代コンパクトの誕生

 1998年2月に誕生したストーリアは、1997年に創業90周年を迎え、企業スローガンに「We do COMPACT」を掲げたダイハツの意欲作だった。クラス最少のコンパクトボディながら余裕の室内空間とラゲッジスペースを実現しただけでなく、内外装を個性あふれる造形でまとめ、さらに低燃費でクリーンな新開発エンジンを採用したのだ。ストーリアはダイハツが考えるコンパクトカーの理想形といえた。ちなみにストーリアという車名は,英語のストーリー(Story)のイタリア語表記。ストーリアを愛車にすると、いままでとは違う生活=ストーリーが生まれる、という意味が込められていた。

 ストーリアのボディサイズは全長×全幅×全高3660×1600×1450mm。ライバルとなるトヨタ・スターレットや、日産マーチよりひと回り小さく、前述のようにリッターカークラスで最もコンパクトだった。しかし、軽自動車が中心のダイハツにとって、無駄のないパッケージングは得意科目。ストーリアの室内は広く、前席はもちろん後席もゆったりしていた。クッションの厚いシートの効果もあり大人4名での長距離ドライブも快適にこなせた。

“小さな高級車”と呼ぶに相応しい充実装備

 広さとともにライバルに差をつけたのは上質な装備と作り込みである。トヨタや日産にとって、スターレットやマーチは、豊富なラインアップの末っ子、ベーシックモデルに過ぎない。しかしダイハツにとってストーリアは、実質的なフラッグシップだった。

 装備は充実しており、丁寧な仕上げを誇った。デュアルSRSエアバッグを全車に標準装備すると同時に、上位グレードではタコメーター、本革巻きステアリング、前後席センターアームレスト、キーレスエントリー、パワーステアリングなど、ふたクラス上の上級車に匹敵する快適アイテムを備えていたのだ。ソフトパッド仕様のインスツルメントパネルや、ファブリック張りのドアトリムなど上質感の演出も入念だった。オプションではあったが本革インテリアも選べた。ストーリアは、まさに“小さな高級車”と呼ぶに相応しい存在だった。

 曲面構成のスタイリングは、ボディパネルに張りを持たせることで高い質感を実現する。しかもバンパーやフロントグリルをはじめ、ボディサイドにクロームのアクセントパーツを使い、巧みにお洒落な雰囲気も身に着けていた。ボディタイプは実用的な5ドアHB。6ライトのウィンドウ構成を持ち、リア部には浅いノッチが付けられている。

新開発3気筒エンジンで経済性と走りを計算

 パワーユニットは全車が新開発の排気量989ccの直列3気筒DOHC12V。電子制御インジェクションを組み合わせスペックは、60ps/6000rpm、9.6kg・m/3600rpmをマークした。実用域のパワー特性を重視したエンジンチューニングが施され、実際の走りはパワフルな印象だった。とくに3気筒エンジンの利点でトルクが太く、発進加速や追い越し時の力強い印象が心地よかった。トランスミッションは4速オートマチックと5速マニュアルの2種から選べた。足回りは前がストラット式、リアがトーションビーム式の組み合わせ。乗り心地を重視したソフトな味付けで快適性に優れていたが、荒れた路面に出会うとやや挙動が乱れる傾向があり、その点では軽自動車派生を思わせた。

 ストーリアは1998年4月にモータースポーツ用モデルの硬派なX4(クロスフォー)をラインアップに加え、9月にはトヨタにOEM供給するデュエットを発表。2000年5月には、余裕たっぷりのパフォーマンスを誇る1297cc(110ps)の直列4気筒DOHC16Vを搭載した上級シリーズを設定する。ラインアップの拡充でダイハツを代表する小型車としての地位を確立する。販売台数そのものは決して多くなかったが、独自の個性で愛された内容の濃いコンパクトカーとして記憶されている。