マツダ・デザイン02 【1964,1965,1966】

斬新な造型で存在感を示した個性的な4輪乗用車群

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欧州調フォルムの「マツダ1000」を提案

 斬新なスタイリングを有する軽乗用車の「R360クーペ」や「キャロル」を市場に送り出し、乗用車市場への進出を図った1960年代前半の東洋工業(現マツダ)。凝ったデザインとメカニズムで勝負する同社の姿勢は、1960年代中盤になると小型乗用車クラスでも展開されるようになった。

 前段階として、東洋工業は1962年開催の第9回全日本自動車ショーにおいて試作車の「マツダ1000」を参考出品する。バランスの取れたフォルムに欧州調のモダンな雰囲気を持つ4ドアセダンは、東洋工業の小型乗用車市場参入への本気度を表すとともに、多くのユーザーの期待を集めた。

フラットデッキの個性的フォルムでデビュー

 当初、小型乗用車の基本デザインはイタリアの著名カロッツェリアであるベルトーネに任せる予定だった(ベルトーネとの技術援助契約は1962年3月に締結)。しかし、800〜1000ccクラスの大衆向け乗用車については社内のデザイン能力を育成する目的から、若手デザイナーの案を採り入れる。提案されたのは、フラットデッキの造形の独特のスタイル。これをベースにセミモノコックの量産ボディが検討され、1963年10月になってついに「ファミリア・バン」が発売された。さらに翌'64年4月には乗用車登録の「ファミリア・ワゴン」が登場。メッキモールの追加やメタリック塗装の採用などで上級化を図った。

 1964年10月になると、本命の小型乗用車である「ファミリア」のセダンが市場デビューを果たす。内外装のキャッチコピーは“安定感に満ちた低く広い現代感覚のスタイル”。フラットデッキデザインの4ドアセダンボディに存在感あふれるフロントマスク、きれいなラインを描くサイドビューなどによって個性的かつ上質なフォルムを実現する。さらに、アルミ合金を多用する“白いエンジン”(SA型782cc直4OHV)の効果で高性能セダンのイメージも演出した。

 ファミリア・シリーズは着実にラインアップを増やしていく。1964年11月には2ドアタイプを追加。1965年 11月には「ファミリア・クーペ」が登場。イタリアンデザインを彷彿させるクーペフォルムに専用デザインのメッシュ&メッキグリル、高性能なPA型985cc直4OHCエンジンの搭載などで注目を集めた。

ベルトーネ・デザインをベースにした旗艦モデル

 東洋工業の開発陣は同社の旗艦モデルとなる上級乗用車の企画にも注力する。基本デザインを手がけたのは、技術援助契約を結んでいたカロッツェリア・ベルトーネ。東洋工業からの5〜6名乗りの小型サルーンのデザイン依頼に対し、ジョルジエット・ジウジアーロを中心とするベルトーネのチームは、細身のピラー回りにゆるやかな曲線を描くノーズ&テール、メッキ基調の豪華なフロントグリルなどを組み込む4ドアサルーンのスタイルを考案した。ベルトーネの力作サルーンは、1963年開催の第10回全日本自動車ショーにおいて試作車のマツダ「ルーチェ」として初披露。観客からの熱い視線を集めた。

 試作版はその後、東洋工業のデザインチームからの提案が加味され、徐々に量産モデルとして熟成されていく。フロントおよびセンター、リアの3本のピラーが描く形から“Aライン”と称された流麗なフォルムを有し、ヘッドライトも丸目4灯の豪華タイプに変更された。ルーチェは、1966年8月になってついに市販に移される。1.5リッタークラス(UB型1490cc直4OHC)で唯一の6名乗りという広い室内スペースを持ち、そのうえで美麗かつモダンなルックスに仕立てられた個性派サルーンは、まさにその車名どおりに“光り輝く”存在となった。

キャブオーバー型ワンボックスの代名詞に昇華

 ルーチェの発売より3カ月ほど前の1966年5月、東洋工業は新ジャンルの多用途車を発表する。エンジン(専用チューニングを施したSA型)をリアに搭載したうえで超低床構造(床面地上高450〜460mm)としたキャブオーバー型車の「ボンゴ」を市場に送り出したのだ。

 ビジネスからレジャーまで多様な使用パターンを想定して開発されたボンゴは、車種ラインアップとして2段折りたたみ式ボックスサイドドアを備えたトラック、スライド式サイドドアを装備したバン、密閉タイプのボックスを架装したルートバン、そして3列式シートを奢った8名乗り乗用車のコーチという4系統を設定する。商用だけではなく乗用タイプも用意している点は、東洋工業の先進性の証だろう。カタログや広告では、「ヨーロッパではボンゴコーチと同タイプの乗用車が沢山あり、その有用性は高く評価されている。これから日本でも人気が高まるユニークな乗用車」などと説明していた。

 超低床キャブオーバー型のワンボックスカーは、広い室内空間と低床構造による使い勝手のよさで大好評を博し、次第にクラスのベンチマークに位置づけられるようになる。そして市場では、同ジャンルのワンボックスカーが総じて“ボンゴ型“と呼ばれるようになった。