JAF-4 【1963~】
カーライフをサポートする活動を積極的に展開
1963年に誕生した日本自動車連盟(JAF)が行っている具体的な活動は、1:ロードサービス 2:交通安全推進活動 3:地球環境保全活動 4:要望・提言活動 5:会員サービス 6:モータースポーツに集約できる。今回は2〜5の事業内容を見ていこう。
交通安全推進活動は、やさしい“クルマ社会”を目指して安全知識や情報などを広く提供することが主要テーマだ。先進安全自動車(サポカー)の体験イベントやシニア向けドライバーの講習会、ユーザー目線での実証テスト、幼児向けの交通安全教育、WEBコンテンツでのバーチャル体験などを実施している。なかでも、とくに大きな注目を集めているのが実証テストである。自動車ユーザーからの疑問をもとに、シートベルトやSRSエアバッグの有効性および衝突安全性を検証する衝突テスト、冠水や凍結した路面での走行テスト、燃費に関わるテスト、炎天下での車内温度の変化の検証など、取り上げるテーマは多岐に渡る。また、テスト結果および検証はホームページや情報冊子を通じて一般公開するなど、社会に向けて広く情報を発信している。
地球環境のために何ができるかを自動車ユーザーとともに考え、実践する地球環境保全活動では、自然に親しむ体験イベントを筆頭にエコドライブ推進活動やEV充電サービス、「JAFみんなのエコ川柳」開催などがメイン。国際自動車連盟(FIA)がグローバルに展開している国際的な環境保全活動「MAKE CARS GREEN(エコドライブで地球にやさしく)」キャンペーンにも参加し、世界各国の自動車クラブとともにイベントの開催や広報活動などを行っている。
近年、とくに脚光を浴びているのがエコドライブ推進活動だ。地球にやさしく、しかもユーザーのお財布にもやさしい運転方法が学べるエコドライブ講習会を各支部で開催。さらに、団体や企業の担当者などを対象にエコドライブのインストラクターを養成・認定する“JAFエコアドバイザー制度”も設けている。
要望・提言活動は、自動車ユーザーの要望を政府や自治体に届けることに注力している。「JAF交通安全実行委員会」では自動車ユーザーが日常ドライブのなかで危険や不便を感じる道路交通環境を取り上げ、道路管理者等に道路標示や標識の不具合、信号の設置状況など改善を提案。また、JAFと警察庁との合同でシートベルトの着用状況やチャイルドシートの使用状況といった項目の調査を実施している。ここで得た基礎データをもとに、各団体への提言や自動車ユーザーへの正しい使用方法の啓蒙などを行っているのだ。
自動車ユーザーの大きな負担となっている自動車関係諸税を、簡素化・合理化・公平化するよう政府関係機関や国会議員に要望することもJAFの活動のひとつだ。同時に、「高齢社会を見据えたうえでのインフラ整備のあり方」に対する提案や「自賠責保険料の積立資金の一部が本来の目的に使われていないこと」について改善を求める取り組みなど、多方面に渡ってユーザー目線での提言活動を行っている。
自動車ユーザーの快適で楽しいカーライフをサポートするために、各種の会員サービスを行っていることもJAFの特徴になる。サービスの筆頭は、様々なジャンルにおよぶ会員優待施設の設置。ガソリンスタンドやファストフード店、レストラン、フィットネスクラブ、ドラッグストアなど日常に密着した施設から、遊園地や美術館、温泉・入浴施設、ホテル、レンタカーといったレジャー関連のものまで、全国3万以上の優待施設が会員証を提示するだけで優待利用できる。優待が受けられる施設は、スマホや携帯電話、パソコン、冊子の「利用ガイド」などで検索が可能だ。
会員向けに年10回発行する「JAF Mate」誌では、おすすめのドライブ情報や安全運転のアドバイス、最新のクルマ情報、実証テストの結果など、自動車ユーザーに向けた有益な情報を豊富に紹介。さらに、ドライブやクルマに関する情報提供および相談サービスを行う総合情報サイトの「JAFナビ」(PC版/携帯版)、JAFと会員のコミュニケーションを図るJAFフェスティバルやJAFデーといった各種イベントなども展開している。
一方、FIA加盟団体であるJAFは国際活動にも積極的だ。国際的な交通安全や地球環境保護の活動を推進するほか、自動車カルネ(通関手帳)の発行や外国運転免許証の日本語翻訳、アメリカ自動車協会(AAA)発行のツアーブックの販売などを実施。また、日本で開催される国際イベントのサポートやロードサービスなども行っている。
自動車ユーザーの安全・安心の支えとなるサービスを提供すると同時に、その権益を保護する活動を鋭意展開しているJAF。大規模災害も頻発する昨今(平成16年にはJAFロードサービス特別支援隊を発足)、その組織としての重要度は益々高まっていきそうだ。