BMW 640i xDrive Gran Turismo M Sport

実用性を盛り込んだ6シリーズ。 



文:中川和昌
グランツーリスモの魅力は、使いやすさと美しさ。

1960年代の3200CSや2000CS、その後2.5/2800/3.0CSと受け継がれてきたBMWのラグジュアリー・クーペの伝統は、1976年に登場した初代6シリーズから現在へと続く。ボクはBMWクーペが好きで、2000CS、3.0CSそして初代633CSiAに乗った。そのイメージが強く、6シリーズといえば、2ドアクーペを連想するが、今の6シリーズはちょっと違ってきた。いわゆる2ドアクーペのほか、オープンボディの『カブリオレ』や4ドアの『グランクーペ』がラインナップされ、幅広いニーズに対応しているのだ。ようするにラグジュアリーカーのマーケットはライバルも多く、その対抗処置でもある。

GTはゆとりを追求したニュージャンル

6シリーズに2017年9月のフランクフルトショーで、追加されたのが『グランツーリスモ(GT)』だ。6シリーズとはいえ、現行のクーペ/カブリオレ/グランクーペをベースにしているわけではなく、現行5シリーズをベースとしたところが大きな特徴となる。5シリーズ・セダンをベースに95mm延長した3070mmのホイールベースと、全長×全幅×全高=5105×1900×1540mmのゆとりあるボディに、フレームレス・ドア・ウィンドウと可動式リアスポイラーを備える大型のテールゲートを組み合わせることで、エレガントなクーペスタイルとステーションワゴン並みの機能性を両立させたのである。

ラゲッジスペースはワゴン並みの大空間

エクステリアは、フラットなルーフラインを持つ独特のシルエットで、フロントのホイールアーチのエアブリーザーを一体化したサイドシル・スポイラーなどにより、個性的な5ドアデザインに仕立てられ、軽量化のため、ドア、ボンネット、テールゲートはアルミ製となる。インテリアは、ダコタレザーシートを採用、長いホイールベースを活かして、ゆとりある後席スペースを確保するとともに、後席を倒せばワゴン並みの最大1800リッターまで拡大することも可能なラゲッジスペースを備える。

3ℓターボは絶品。シルキースムーズ!

基本的にはモノグレード構成で、搭載されるエンジンは、3リッター直列6気筒ターボ。340ps(250kW)/450Nmのパワー&トルクは、8段ATとxDriveを介して路面に伝えられる。サスペンションは、速度や荷重などにより車高を-10mmから+20mmの範囲で適切にコントロールする4輪アダプティブエアサスペンションを採用している。
走り出して感じるのは、力強さとフレキシビリティだ。低回転域から太いトルクがあり、高回転までスムーズに回るのでアクセルペダルの踏み込み具合で自在にクルマのスピードコントロールができるところがいい。

アルプスを越え、旅を楽しむクルマ

スポーツライクなハンドリングはいかにもBMWらしいもので、素直に動く。ステアリングは、シャープではないが、操舵角に対して素直にノーズは向きを変え気持ちよくワインディングを駆け抜ける。xDriveの効果によってスタビリティも高く、あらゆるシチュエーションで、クォリティの高いドライビングを楽しむことができる。まさにグランツーリスモ、GTとしてのキャラクターを備え、荷物をたっぷり積み込んで、ミュンヘンあたりからアルプスを越え、南仏、もっと走ってスペインまで旅がしたくなる1台である。