レオーネ・ツーリングワゴン 【1981,1982,1983,1984】

4WDの可能性を示した万能モデル

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2段ルーフの4WDワゴン登場!

 水平対向ボクサーエンジンと4WDで独自のポジションを築いたスバルが、1981年7月から売り出したのがレオーネ・ツーリングワゴンだ。当時、若者を中心にアウトドア・スポーツが定着しはじめていたが、こうしたユーザーニーズに応えるクルマは存在しなかった。4WDの可能性を広げたSUBARUは、こうした新しいユーザーニーズを肌で感じていた。ここにツーリングワゴンの商品コンセプトが芽生えたのである。初代ツーリングワゴンは、バンとの差別化を図るため2段ルーフデザインを採用していた。

実用的なバンがルーツになった!?

 SUBARUの4輪駆動は1972年に雪深い地方の電力会社からの要請で1300Gバンをベースに開発されたモデルが最初であり、量産モデルとしては1972年9月に発売された初代レオーネの4WDバンということになる。ちなみに、世界最初のオンロード向けの4WDシステムを実用化したのは、1968年に発表されたファーガソン式のフルタイム4WDシステムを搭載する英国のジェンセンC-V8ということになっている。それまでにも世界各国で4WD機構を持つ乗用車やスポーツカーはいくつも試作されており、4WDが安全性の高いドライブを実現するメカニズムであることは知られていたのだが、複雑化するメカニズムと車体重量の増加、さらに生産コストの上昇などのデメリットがあり、なかなか量産メーカーが本格開発に踏み切れなかったという事情があった。それが貨客兼用車のバン型であったにしても、カタログモデルとして製品化したSUBARUの努力と熱意は高く評価して良い。

駆動方式はパートタイム4WD

 ツーリングワゴンは、シリーズ初の5ナンバーワゴンであり、乗用車あるいはスポーティーカーのイメージを強調している。駆動方式は無論パートタイム式4WDである。搭載されるエンジンはスバルのお家芸となった水冷水平対向4気筒OHVの1781ccで、最高出力は100ps/5600rpmのものを縦置き(クランクシャフトが進行方向と平行になる)としている。トランスミッションは発売当初は4速マニュアル(ローレンジ切り替え機構付き)のみだったが、1981年11月から3速のオートマチック・トランスミッション搭載モデルが発売された。電磁式の多板クラッチを加えたオートマチック仕様は、多くの4WD車がクルマの停止時か極低速の走行時しか4WDに切り替え出来なかったのに対して、走行中でも4WDをシフトレバーに付けられたスイッチ操作で自由に切り替えることが出来る画期的なシステムとなっていた。

ロードクリアランスは4速マニュアル車が205mm、オートマチック車でも200mmを確保し、雪道やオフロードでの走りに威力を発揮した。もちろん、高速クルージングや、シティユースでも安定したフットワークを約束していた。ツーリングワゴンは、本来の意味で日本初のオールラウンダーと言えた。価格はベース価格が155万8千円(MT)であったが、パワーステアリングとパワーウィンドウ、速度計のデジタル表示などを含むエレクトロニック・インスツルメンツパネルを装備すると16万円ほど高くなった。
 初代レオーネ・ツーリングワゴンは、4WDシステムとワゴンボディを組み合わせた、世界的にも珍しい実用的な多機能・高性能車というジャンルを開拓した点でも重要な存在だ。現在に続くSUBARUのアイデンティティを築いたモデルである。