特殊車両の歴史05 【2008】

ハイブリッド建機の登場



環境に優しい建機の開発

 地球温暖化の原因となるCO2の削減と石油燃料の消費低減--この2つの問題に対して自動車業界は、まずエンジン+モーターというハイブリッドの動力源によって対処してきた。その普及率は年々上昇し、いまやモータリゼーションの中で確固たる地位を築いている。

 建設機械の世界でもハイブリッド化が進行中だ。牽引するのは自動車業界と同様に日本企業で、コマツを筆頭に日立建機や住友重機工業などがハイブリッド建機を開発している。今回は世界で初めて市場投入されたコマツ・ハイブリッド油圧ショベル「PC200-8ハイブリッド」を中心に紹介しよう。

フォークリフトのハイブリッド化

 2007年5月、コマツはコマツユーティリティとの共同開発で世界初のバッテリー・キャパシタハイブリッド式のフォークリフト、「アリオン・ハイブリッド」を発売する。もともと近年のフォークリフト業界では、排出ガスのないバッテリー式への転換が進んでいた。アリオン・ハイブリッドは、この特性にキャパシタの電源を追加して2系統の電源を持たせ、より効率的で環境にもいい動力システムを構築した点が新しい。

 基本的な構造は、前述したバッテリー(メンテナンスフリーのシールバッテリー)とキャパシタ、2つの電源を制御するコントローラー、さらにインバータ急速充填器を搭載する。キャパシタは効率よく瞬時に蓄電と放電をすることができ、この特性を利用して、従来は回収し切れなかった制動エネルギーを効率よく回収。これをコントローラーによって最適制御で出力に変える仕組みだ。バッテリー1系統の従来車に比べると、稼動状況によって若干の差は出るが、約20%の省エネを実現したという。また今回のハイブリッドシステムは、バッテリー減少に伴うパワーダウンがない(終盤の加速性やリフトスピードは1系統の従来車より約10%上回る)、急速補充電で長時間稼動が可能、シールバッテリーの採用により補水作業が不要といったメリットも持っている。

 アリオン・ハイブリッドは平成19年度優秀省エネルギー機器表彰において最高賞となる経済産業大臣賞を見事に受賞。ラインアップもデビュー当初、1.5トン/1.75トン/コンパクト2トン積みの1トン系のみだったが、2008年4月からは2.0トン/2.5トン積みという2トン系も加わった。今後、普及率はますます高まる見込みである。

ハイブリッド油圧ショベルのデビュー

 フォークリフトの分野でハイブリッド化を達成したコマツは、次のターゲットとして油圧ショベル、それも最も出荷数が多い中型機種(重量20トン)のハイブリッド化を実現する。機種名は「PC200-8ハイブリッド」で、2008年6月から販売を開始した。ハイブリッドの油圧ショベルはフォークリフトのアリオン・ハイブリッドと同様、世界初の量産化となる。

 PC200-8ハイブリッドには、“コマツ・ハイブリッド・システム”と呼ぶ内製のコンポーネント(旋回電気モーター/発電機モーター/キャパシタ/インバータ/コントローラーなど。キャパシタセルを除く)を組み込んだ独自の機構を採用する。基本的な仕組みは、車体旋回の減速時に発生するエネルギーを電気エネルギーに変換し、キャパシタの蓄電器に蓄え、これを発動機モーターを通じてエンジン加速時のエネルギーに活用するというものだ。

 公表データによると、燃料消費は通常機のPC200-8に比べて平均25%の低減を実現。また実際に行ったユーザーテストでは、旋回動作の頻度が高い作業現場において最大で41%の低減を達成したという。CO2の削減義務の強化や燃料高騰という背景を鑑みると、この燃料消費低減は間違いなく大きな訴求点となる。