オースター 【1977,1978,1979,1981,1982】

まじめ設計。洗練クーペと秀作セダン



直線基調のスタイリングが魅力

 日産 オースターは、同じ日産の小型乗用車であったバイオレット/スタンザの姉妹車として、1977年5月に発売されたモデルである。デビュー当初は「バイオレット・オースター」のネーミングだったが、1978年からは「ニッサン・オースター」と呼ばれるようになった。当時、日産が展開していた旧プリンス系となる日産チェリー店系列の専売車種であった。車名のオースター(Auster)とは、南風の神を意味する英語である。

 オースターは、ベーシックモデルであるサニーと1.6〜2.0Lクラスと大型化したブルーバードとの中間を埋めるために新たに開発されたミドルクラス車だった。バイオレットおよびスタンザとの棲み分けを明確にするため、3車の中では最もスポーティーな味付けとされており、ファミリー向けのバイオレット、小型高級車としてのスタンザとは異なる位置付けとなっていた。しかし、基本的には生産性を高めるため、バイオレット及びスタンザとエンジンやシャシーコンポーネンツなどは共用している。

高性能モデルはインジェクション仕様で105psを発揮

 オースターの車種構成は、4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ(オースターではマルチクーペの名で呼ばれる)、4ドアハッチバックセダン、4ドアバンの4車種があった。最もスポーティーなマルチクーペでは全長4260×全幅1600×全高1350㎜、ホイールベース2400㎜、前後のトレッド1335㎜/1330㎜は姉妹車種であるバイオレット/スタンザのシリーズ各車に共通したもの。スタイリングは1960年代に国際的なラリーで活躍して大きな人気を集めた510系ブルーバードを想わせる直線基調の造型で、バイオレット/スタンザ系モデルとはフロントグリルやテールライトまわりのデザイン、室内艤装がわずかに異なるのみとなっている。ただし、ボディーカラーはオースターシリーズに固有のものがいくつか設定されていた。

 搭載されるエンジンは排気量違いで3種、チューニングの異なる2種など、全部で4種があり、直列4気筒OHVとSOHCエンジンをモデルやグレードにより使い分けている。排気量は1397㏄が2種(A14型、出力80ps/6000rpm、およびA14型、出力80ps/6000rpm)をベーシックに、排気量1595㏄が2種(Z16型、出力95ps/6000rpm、およびZ16E型、出力105ps/6200rpm)となっている。性能の違いは、キャブレター仕様や電子制御燃料噴射装置の採用などの違いによる。トランスミッションは3速オートマチックと5速および4速のマニュアル。駆動方式はフロント縦置きエンジンによる後2輪駆動。4輪駆動仕様の設定はなかった。

細部も煮詰めた秀作モデル

 サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後ろが4リンクリジッドアクスルかリーフスプリングと実用向けのセダン/クーペとしては常識的なもの。ブレーキは前がディスク、後ろがドラムの組み合わせ。いずれもサーボ機構を備える。価格は1400デラックスの93万6000円から1600マルチクーペCS-E・Lの5速マニュアルトランスミッション仕様の117万6000円まで。3速オートマチックトランスミッションはオプション設定であった。

 この時代、どのメーカーも販売チャンネルの多様化と拡大に躍起となっていた。オースターは、いわば、販売拡大策の落し児として誕生したわけだが、そこは日産らしくクルマとしての完成度は高いものであった。個性こそ乏しいが、スムーズに走り、止まる、実用車だった。