ピボ3(コンセプトカー) 【2011】

自動走行で駐車場に出入庫する都会派スマートEV



PIVOシリーズの進化の過程

 日産自動車は2011年開催の第42回東京モーターショーにおいて、“都会派スマートEVコミューター”を謳うコンセプトカーの「ピボ3」を雛壇に上げた。車名の“3”が示す通り、ピボを名乗るモデルとしては3代目にあたる。
 日産が推進するZEV(Zero Emission Vehicle)を具現化し、「EVによって日常の生活がどのように変わるかを提示する未来予想図としてのコンセプトカー」として、つねに新しいアプローチと進化を続けてきたピボ・シリーズ。その初代モデルは、2005年開催の第39回東京モーターショーで初披露された。

 開発コンセプトは「ユーザーフレンドリーを基本に、将来のEVの可能性をわかりやすく示唆するクルマ」。電動パワートレインによってもたらされる自由度の高い車両レイアウトをベースとし、キャビンの向きが前後に変えられて行きたい方向に動くことを可能とした“X by Wire”や見えないことによるストレスを解消したシースルーピラー/アラウンドビューモニター/IRコマンダーといった技術が盛り込まれる。フレンドリーかつ未来テイストを感じさせる内外装のデザインも特徴だった。

 2007年開催の第40回ショーでは、発展版のピボ2が登場する。“by Wire”技術はいっそうの進化を図り、各ホイール内にモーターを置く“IWM”(インホイールモーター)や360度回転キャビン、可変ジオメトリーの“メタモシステム”などを実現。また、ドライバーを常に楽しい気分にさせるよう、表情や会話からドライバーの状態を推定して話しかける“ロボティック・エージェント”も採用した。
 2009年開催の第41回ショーではPIVOを名乗るモデルは出品されなかったものの、代わりに都市型EVの新提案として「ランドグライダー」が披露される。ナローボディのスタイリングは、後のPIVO3にも通じるアレンジ。超小型&超軽量の車両に最大17度まで左右にバンクする機構を有し、パワフルでキビキビとした走りを可能としていた。

3代目は4m幅道路でのUターンが可能

 多様なアプローチと技術革新で進化を遂げてきたピボ・シリーズ。日産の開発陣はその3代目を企画するにあたって、開発コンセプトに「“人とクルマ”から“人とクルマと社会”をつなげるという、近未来社会におけるEVのあり方の具現化」を掲げる。つまり、EV市場のさらなる拡大とそれに伴う将来的なゼロエミッション社会の構築を念頭に置いたコンセプトカーに仕立てたというわけだ。

 ピボ3の車両レイアウトは、全長3m弱というコンパクトなボディに3名分(前1名+後2名)の座席を配置する。加えて、進化版の“by Wire”技術および大舵角を可能とする四輪IWMに狭いリアトレッドを採用。その結果、「前輪が通れば擦らない内外輪差ゼロ」と「4m幅道路でのUターン(最小回転半径は約2m)」という驚異的な取り回し性能を実現した。
 外装については、機能の必然から導き出された特徴的なプロポーションとクールで大胆なエクステリアで力強い存在感をアピールする。一方のインテリアは、操作系を中心に流麗なラインでアレンジしたインパネ&ドアトリムに大人の質感を感じさせる素材およびカラーリングで構成。さらに、各種情報を表示するウルトラワイドモニターや自車回りをリアルタイムで映すサイドビューモニターなどの先進アイテムも装備した。

自動で駐車、自動で充電!

 ピボ3には将来のスマートシティを想定した先進機構も組み込まれる。最大の注目は「オートメーテッドバレーパーキング」(AVP)への対応機能だ。ドライバーが降りると、クルマが無人自動走行で駐車スペースにまで移動し、駐車中は充電を開始。ドライバーがスマートフォンで呼び出せば、AVP出口まで自動で出庫する仕組みである。日産の説明では、「AVPとその対応車が普及すれば、EVの利便性が高まることはもちろん、公共性とパーソナル性の両立が課題のパーク・アンド・ライド施設やカーシェアリングから一歩進んでパーソナルライフのさらなる自由を創出し、公共への貢献と環境への配慮もいっそう高まる」そうだ。
 インフラも含めた近未来社会のモビリティの提案型であるピボ3。提示されたその開発指針は、今後の日産車に様々な形で活かされていくに違いない。