S-MX 【1996,1997,1998,1999,2000,2001,2002】

全身に個性をちりばめたニュージャンルカー



クリエイティブムーバー第4弾

 1996年11月18日、ホンダは個性的なモデルを世に放った。S-MXと名付けられたそのニューモデルは、クリエイティブムーバーシリーズの第4弾であった。
 クリエイティブムーバーとは、『使う人の生活をより楽しく、豊かに広げていける「生活創造車」を目指したホンダの新発想車』。第1弾はオデッセイ(1994年10月)で、第2弾がCR-V(1995年10月)、第3弾がステップワゴン(1996年5月)である。それまでのクリエイティブムーバーシリーズで求めた「生活性能」に対し、第4弾のS-MXは「楽しさ性能」を追求したとホンダではアナウンスを行った。「楽しさ性能」とは、見て、乗って、使って楽しいクルマとホンダでは説明していた。

見て乗って使って楽しいクルマを追求

 言葉どおり、S-MXは、あらゆる面で楽しさを追求していた。まず、そのエクステリア。「見て楽しい」ことにこだわった外観は、四角いボディと高いルーフを組み合わせていた。4mを切る(3950mmの)短い全長のスクエアなボディと、厚みのある大きなフロントマスクが目を射る。サイドは右側(運転席側)に1枚、左側(助手席側)に2枚のドアを持つワンツードアのスタイル。ドアは開いたとき、その大きさに驚くほどで、ウエストラインの高さがゆえの大型ドアだ。しかし低床フロアも手伝い、乗降性は非常に優れたものだった。また、荷物の収納の際、便利な大開口テールゲートもユーザーのハートをレジャーへと駆り立てた。

 S-MXの楽しさで、特筆したいのは、インテリアだ。前後席とも大型のベンチシートを採用。フロントシートは、運転席と助手席が独立してリクライニング、スライドできる。また、リアは300mmのロングスライド機構を採用。前後席を倒せば、完全フルフラットとなり、まさにベッドそのものへと変身した。コラム式のATレバーや運転席右側に配置した駐車ブレーキレバーにより、左右ウォークスルーを邪魔するものは何も存在しない。リアのフロアもフラットであり、前後席で可能だった左右のウォークスルーを、メーカーでは「パラレルウォークスルー」と呼んでいた。

 リアシート右側には収納機能付きリアシステムトレイを配置。そのため、リアシート幅が短めとなっていて、デビュー当初のS-MXは全グレードで、後席は2名掛け、乗車定員4名となっていた。シート地も個性的で、ブルー地×オレンジのドット柄、または、オレンジ地×ブルーのドット柄を採用した。

爽快な走りを披露したDOHCユニット

 エンジンは、全グレードが4連スリーブブロック採用の2LDOHC16Vユニットを搭載した。最高出力は130ps/5500rpm、最大トルクは18.7kg-m/4200rpmのポテンシャル。低・中速を重視した専用チューニングで、発進時の加速感と高速域での伸びのよさが魅力のエンジンだ。排気サウンドにも気を配っていて、排気効率の高いサイレンサーと直径65mmの大径エキゾーストパイプなどにより、室内の静粛性をスポイルすることなく、心地いいエグゾーストノートを実現。走る楽しさをドライバーに提供してくれた。

 ラインアップは、標準仕様のほかLOWDOWN仕様が用意された。標準モデルより15mmローダウンの専用サスペンションを装備。ダイヤカットアルミホイールやエアロパーツを装着したルックスは、個性たっぷり。インテリアには、空調の吹き出し口などにアクセントカラーを採用。排気サウンドもさらに低音で厚みのある音色を追求したうえ、エキゾーストパイプもポリッシュドタイプを装着している。

 デビューから3年の1999年9月、フロントセパレートシートと分割可倒式リアシートを持った5人乗りモデルが登場した。標準仕様はこの5人乗りのみとなり、LOWDOWN仕様は5人乗り仕様と従来のフロントベンチシートを備える4人乗り仕様からチョイスするラインアップへと変更された。