アコード 【1993,1994,1995,1996,1997】

グローバルサイズの先進セーフティセダン

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5代目は堂々としたワイドボディで登場

 1993年、ホンダの世界戦略モデルであるアコードが5代目に移行した。アコードはシビックとともにホンダを代表するモデルとして積極的に海外展開を行い、3代目からはアメリカ工場でも生産するグローバルカーに成長していた。販売成績は好調で、とくにアメリカでは日本車のベストセラーというだけでなく、アメリカンモデルを含めたすべてのセダンのベストセラーに君臨する。すでにアコードは “青い目のホンダ車”の代表だったのである。5代目は、その事実を実感させる文字通りの大物だった。

 大物ぶりを感じさせたのがボディサイズである。5代目は全長こそ4675mmと小型車枠に収まっていたが、全幅はワイドな1760mm。堂々の3ナンバーサイズだった。自動車税の改訂によりボディサイズでなくエンジン排気量で税額が決定されるようになった影響もあったが、それ以上にメイン市場であるアメリカの要求を取り入れた結果だった。

 1760mmの全幅は従来にない伸びやかな室内空間と、高い安全性を生みだす。室内の広さはひと回り大きなボディを持つフォード・トーラスを確実に凌いだ。前後席に身長180cm級のパセンジャーが乗り込んでも窮屈さを感じないほど広かったのである。従来からアコードの室内の広さは定評があったが、5代目はその美点を一段と明確にしていた。

走りにもプラスをもたらした先進の安全設計

 安全性も卓越していた。日本以上に厳しいアメリカの衝突基準をすべて満たしただけでなく将来予測される安全基準にも対応する骨太の作りだったのである。センターピラー、ルーフレール、サイドシルの断面形状の見直しを図ると同時に、外板の肉厚化や、ドア内部へのビーム追加、内装材の衝撃吸収パッド化を積極的に行い、世界で最も安全なクルマの1台に仕上げる。ワイドな全幅は側面衝突時に十分な生存空間を確保するうえで大きな効果を生んでいた。

 安全性の向上は、走りのクオリティという面でもプラスをもたらした。ボディ剛性が大幅に引き上げられたことでドイツ車にも似たしっかりとした印象を乗る者に与えたのだ。5代目アコードの走りは、従来からのホンダ車が持つ軽快さとともに、堅牢さと重厚さを感じさせた。4輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションのストロークが増やされたこともあり、しなやかで滑らかな走りが堪能できたのである。まさに新世代のホンダ車だった。

主力エンジンは燃費性能を磨いた新世代

 エンジンも新しかった。5代目アコードには1849cc(125ps)、1997cc(135ps)、2156cc(145ps)の3種の直列4気筒OHC16Vと、2156cc(190ps)の直列4気筒DOHC16Vという合計4種のエンジンを設定していたが、とくにF22B型を名乗る2156ccの直列4気筒OHC16Vは、パワーと経済性を高次元で融合した新世代エンジンだった。

 ホンダ独自のVTEC機構を組み込み、低回転時には吸気バルブのリフト量を極小にすることで燃焼の安定化と良好な燃費を実現。高回転域ではバルブリフト量を大きくすることで爽快なパワーを生みだした。しかも電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)の制御を緻密にしたことで滑らかさも超一級品だった。経済性は優秀で、2156ccエンジン搭載車の10・15モード燃費はクラストップの13.0km/L(2.2VTE、2.2VTLは12.2km/L)をマークした。指定燃料はもちろんレギュラーである。

 5代目アコードは、1994年にはアメリカ生産のワゴンとクーペを日本にも導入しラインアップを増強。従来以上にハイグレードなアコードとして高い人気を博した。ワイドなボディは狭い道では取り回しに気を遣う必要があったが、その不便さを些細な事に感じさせるダイナミックなスタイリングと高い完成度でユーザーを魅了したのである。

進化したナビゲーションシステム

 アコードは日本ではじめてナビゲーションシステムをオプション設定したクルマだった。5代目では一段と進化したナビゲーションシステムを用意していた。光ファイバーセンサーを用いた自立航法とGPSシステムを組み合わせることで自車位置を正確に測位し、全国を網羅するデジタルマップに表示するシステムである。

 ナビソフトにはホテルや各種施設、ゴルフ場など約1万2000件の情報を収録しただけでなく、テレビ放送やVTR再生にも対応。ディスプレーは車載用としては最大サイズの6インチ液晶で23万画素の高解像度を誇った。使用しない場合は1DINサイズの本体に格納できる点も秀逸だった。ホンダのナビゲーションシステムは正確さ使いやすさの点で、5代目アコードから本格的な実用段階に入ったと言えた。