オートザム・レビュー 【1990,1991,1992,1993,1994,1995,1996,1997,1998,1999】

キュートで実用的な高効率パッケージングセダン

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ディーラー網の名称をブランド化し車名に

 マツダは1980年代後半から1990年代初頭にかけて、5チャンネル販売体制を敷いた。それまでも、1980年代前半にはフォードブランドを扱うオートラマ店を持っていたが、さらに看板を増やしたのである。5チャンネルとなったマツダの販売網は、小型車をはじめ高級車、そして商用車も扱う「マツダ店」、フォードブランド車を扱う「オートラマ店」、ロードスターや500、800などを持ち、フランスのシトロエン車も扱った「ユーノス店」、小型車や軽自動車を中心に扱う「オートザム店」、RX-7などのスポーツカーやスポーティな高級モデルを扱う「アンフィニ店」という体制だった。

 そのなかのオートザム店は、1989年に設立し、イタリアのランチアの正規代理店となる一方、軽自動車のキャロルをラインアップ。誕生から1年が経過した1990年、マツダ製の小型車が登場している。それがオートザム・レビューである。ユーノスやアンフィニの取り扱いモデルと同じく、ブランド化された販売チェンネルの名称を車名に冠している。
 レビューは、のちに登場するデミオ(初代)と共通するフロアパンを用いて、ノッチバックの4ドアボディを被せたコンパクトサイズのサルーンだった。前年に登場したオートザム・キャロルと同様、女性をターゲットの中心に据え、曲線を用いてキュートなモデルに仕上げていた。独立したトランクルームを備えた4ドアセダンだが、メーカーでは3ボックスとは言わず、2.5ボックスと呼んだ。

キャンバストップモデルを用意

 スリーサイズは、全長3800mm×全幅1655mm×全高1470mm。ホイールベースは2390mm。マツダが生産していた同じくコンパクトカーのフォード フェスティバ(3620mm×1605mm×1460mm/初代)よりはひと回り大きく、全長はトランクを持つこともあり180mm長い。幅は50mmワイドで、背も10mm高かった。ホイールベースは45mm長い。フロアを共有するのちにデビューのデミオ(全長3800mm×全幅1650mm×1500mm、ホイールベース2390mm)と比べると、ほぼオーバーラップするディメンションになっていた。

 ラインアップは4ドアボディのみ。4ドアセダンでありながら、フェスティバでも人気を集めたキャンバストップ仕様を用意した。この電動キャンバストップは、2ウェイ式で前から後ろ方向に開くだけでなく、後ろから前へもオープンが可能。前席だけでなく後席にも操作スイッチを用意するなど、前後のパッセンジャーがオープンエアを手軽に楽しめる設計となっていた。

優れたパッケージングを採用

 搭載エンジンは1.3Lと1.5Lを用意。どちらもEGI-S(電子制御燃料噴射装置)を組み合わせた直列4気筒SOHC16Vユニットで、1.3Lは1323ccの排気量を持ち、最高出力76ps/6500rpm、最大トルク10.2kg-m/4000rpm。1.5Lは1498ccで、88ps/6500rpm、12.0kg-m/4000rpmだ。トランスミッションは5速MTと4速ATを用意した。
 グレード展開は、1.3LがベーシックなS1と中核グレードのS2、そしてS2キャンバストップの3グレードをラインアップ。1.5Lは充実装備のK1と、本革シートを標準装備したK1キュイル、そしてK1キャンバストップの3グレード。計6グレードで販売がスタートした。

 レビューの最大の魅力は、そのパッケージングにあった。全高の高さを活用し、コンパクトなボディーながら大人4名がリラックスできるスペースを用意。フロントシートは、幅530mmの「キングサイズ」(メーカーではこう呼んだ)。サイズだけでなく、人間工学を用いて座り心地を追求した座席はコンパクトカーの常識を打ち破っていた。また、トランクルームもスペースにあふれ、280L(SAE方式)を確保。スーツケース2つを飲み込むトランクは、実用的な容量を持っていた。

 レビューは、CMキャラクターに人気アイドルの小泉今日子を起用。TVコマーシャルでは、4人の小泉今日子が登場し、レビューの室内の広さを強調した。また、「なかったと思う、こんなクルマ」のセリフで、2.5ボックスのパッケージングに優れた特徴的なスタイルをアピールした。小泉今日子は、カタログにも登場。レビューの魅力を紹介するナビゲーター役として登場している。