カリスマ 【1996,1997,1998,1999】

ヨーロッパ生まれの真面目なミディアムセダン

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共同出資のオランダNed Carが生産

 三菱自動車が、カリスマという新型車を売り出したのは、バブル景気もそろそろ終わりに近付いていた1996年10月のことだ。このカリスマと言うモデルは、オランダ政府と日本の三菱自動車、スウェーデンのボルボの3者が共同出資により、オランダのリンバーグ州、ボーン市にある旧DAF社の工場を使う合弁のメーカー、Ned Carが生産していたもの。三菱ではカリスマ、ボルボではⅤ40(ワゴン)およびS40(セダン)のネーミングで、それぞれ独自のエクステリアデザイン&エンジンを採用して販売が行われた。

 この合弁事業は、三菱にとってはヨーロッパ市場での生産拠点を持てること、ボルボとオランダ政府にとっては、Ned Car以前のDAF時代から続いている慢性的な経営危機を回避できるメリットがあった。車名のカリスマ(Carisma)とは、ギリシヤ語で「神からの授かりもの」を意味するKharismaとクルマを意味するCarを組み合わせた造語だ。

1.8リッターSOHCエンジンを搭載してデビュー

 基本的には三菱が新たに設計したシャシーを、ボルボが共用している。車格的には三菱ではランサーとギャランの中間に位置し、ボルボでは440系に代わる小型ボルボとなっていた。三菱カリスマもボルボⅤ40/S40も同じ生産ラインで組み立てられるという生産効率性も持っていた。

 三菱側の設計によるシャシーは、ホイールベース2550㎜。スタイリングは、当時の三菱ギャランやランサーに共通したクセのないスッキリとしたもので、デザインの狙いである「リアル・ヨーロピアン・ティスト」を強く感じさせるものだ。乗車定員は5人となる。ボディーのサイズは、全長4450㎜、全幅1695㎜、全高1405㎜である。車重は1180㎏前後で、この種のモデルとしては重くはない。三菱の独自開発による安全ボディ構造のRISEを採用している。
 インテリアもシンプルなデザインで大きな特徴はないが実用性には優れる。ちなみに、ボルボのV/S40系のインテリアのデザインはカリスマのものとは若干異なる。

 駆動方式はフロント横置きエンジンによる前2輪駆動で、4輪駆動仕様の設定はなかった。搭載されるエンジンは排気量1834㏄の直列4気筒SOHC16バルブ(4G93型、出力125ps/6000rpm)一種のみとなっている。トランスミッションは三菱製の電子制御によるINVECS-Ⅱを採用した4速オートマチックのみの設定。サスペンションは前がマクファーソンストラット/コイルスプリング、後がマルチリンク/コイルスプリングとごく一般的な組み合わせとなる。ブレーキは前がベンチレーテッドディスク、後はドラムで共にサーボ機構を備える。SRSエアバッグをドライバー席と助手席の両方に標準装備するなど、安全性への配慮も行き届いている。

マイチェンでGDIエンジンを搭載

 1997年10月にマイナーチェンジを施し、エンジンを三菱の開発による、ガソリンのシリンダー内直接噴射方式(GDI)を採用した排気量1834㏄の直列4気筒DOHC16バルブ(出力140ps/6000rpm)に換え、排気ガス浄化規制をさらに進化させた。その他、ボディの細部も若干変更されている。

 ボルボのⅤ/S40系が世界的に認知度を高め成功を収めたのに引き換え、カリスマは日本国内市場では大きな成功を収めるには至らなかった。それは、カリスマが販売ポジションとしては中途半端な存在になってしまったからだった。ランサーとギャランの中間に、新しいモデルは必要ではなかったのだ。小型セダンとして、良く出来たモデルであったのだが。