コルディア4WD 【1984,1985,1986,1987】

先進メカで武装したスタイリッシュな3ドアクーペ

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ターボモデルは当初1.6Lでデビュー

 三菱自動車が、それまでのランサー セレステに代わる2ドアハッチバッククーペのスタイルを持つパーソナルカー、コルディアを売り出したのは、1982年2月である。車名のコルディア(Cordia)とは、心からの、とか誠心誠意などの意味を持つ英語のCordialと三菱(Three-Diamonds)を組み合わせた造語であると言う。

 1.6〜1.8リッタークラスのパーソナルクーペという、当時の日本市場でも最も競争の激しいセグメントにあえて投入された新型車であり、三菱自動車としても絶対の自信をもって売り出したモデルであった。直接的なライバルとなるのは、トヨタではセリカ、カローラ スプリンター、日産ではシルビア/ガゼール、オースター、ホンダではプレリュードなどであった。三菱は搭載するエンジンの排気量や仕様を変えること(3種類11グレードがあった)でグレードの多様化を図り、多くのライバルに対抗しようとしたのである。生産規模の小さなメーカーとしては苦肉の策と言うわけであった。

 エンジンだけでなく、トランスミッションや駆動方式でも三菱の独自性は遺憾なく盛り込まれていた。トランスミッションは、ミラージュ系にも採用されていた個別のレバー操作による2速副変速機を持ったスーパーシフト付き4速マニュアルと3速オートマチックが設定されていた。駆動方式ではフロント横置きエンジンによる前2輪駆動のほか、後に三菱のお家芸とも言えるパートタイム式の4輪駆動システムを装備したモデルが加わる。1982年のデビュー当初のエンジンバリエーションは、いずれも直列4気筒SOHCの1.6リッター、1.6リッターターボ付き、1.8リッターの3種だったが、1983年7月に1.6Lターボが1.8Lに変更された。

後期型は1.8Lターボ4WDのみを設定

 1984年に登場したコルディア1800・4WD・GSRターボは、コルディアのシリーズ中では最高性能モデルとなる。それまでトップグレードであった1600 GSRターボに代わるもので、2輪駆動モデルと1.6リッターの自然吸気エンジンを搭載したモデルはカタログから落とされ、全てのモデルが4輪駆動システム搭載車となった。グレードはGSRターボと、その廉価版となるGTターボから選べた。

 1800・4WD・GSRのボディサイズは衝撃吸収バンパーの採用で数値的にはわずかに大きくなっているが、室内寸法など実質は変わっていない。エンジンの燃料供給方式はキャブレターから電子制御燃料噴射装置へ変更されており、排気量1795㏄の直列4気筒SOHC(G62B型、出力135ps/5800rpm)へとパワーアップされた。

エアスクープは前期モデルのみ

 トランスミッションをはじめ、駆動系やサスペンションなどは、オリジナルの1600 GSRと同様のものが流用されていた。ただし、空冷式のインタークーラーの位置と形が変えられ、ボンネット上にあったエアスクープはなくなり、スッキリした外観となっている。

 コルディアのトランスミッションは、4速MTを元にしたスーパーシフト。これは初代ミラージュにも採用されたもので、4速MTにLowとHighの副変速機を組み合わせ、8速の変速を可能にした。コルディア1.8Lターボモデルでは2WDと4WDの切り替えができたため、4×2×2の合計16パターンの走りを実現していた。ちなみにスーパーシフトの切り替えはシフトレバー右手に設置されたレバーによって行い、前方に倒せばLow、後方に引けばHigh。2WD/4WDの切り替えは、スーパーシフトのレバーの頭部に設置されたボタンひとつで行えた。

 コルディア シリーズは、高速性能やハンドリングの良さなどを含めた総合的な性能の高さとスタイリングの良さで海外市場での評価は高かったが、国内市場では価格の割高感や販売力の弱さなどが災いして大きなヒットとはならなかった。ミラージュから派生したモデルとしての完成度は高かったが販売は不調で、一世代限りで姿を消すことになった。不運のモデルである。