NSX(初代中期) 【1997,1998,1999,2000,2001】

究極のミッドシップスポーツ、その進化形

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究極のスーパースポーツ、NSXの衝撃

 ホンダの持つ技術の粋を集めたスポーツカー、NSX。1990年9月13日に正式に発表され、翌日の9月14日からベルノ店を通じて発売された。3リッターV型6気筒DOHC24Vエンジンを搭載。自然吸気エンジンとしてはトップクラスの最高出力280ps/7300rpm(5速MT)、最大トルク30.0kg-m/5400rpmを発揮するパワーユニットを、2座のシート後方に搭載したミッドシップスポーツだ。

 軽量かつコンパクトな高性能エンジンは新開発のユニット。可変バルブタイミングリフト機構のVTECをはじめ、チャンバー容量切り換えインテークマニホールドシステムなどホンダの高い技術力を惜しみなく投入した。エンジンの高回転化を達成するため、鍛造成形性と切削性を大幅に改善した新しいチタン(3アルミ 2バナジウム サルファー)を用いたコンロッドを採用。低・中速域から高回転域まで淀みない出力特性、優れたレスポンスは圧巻だった。超ショートストロークの5速マニュアルミッションと、新たに開発した専用のフル電子制御4速オートマチック(ホールド機構付き)を用意。また軽量化を目的に、オールアルミ製モノコックボディーを採用する。リトラクタブルヘッドライトを備えたエクステリアデザインは、まさにスポーツカーの姿を具現化していた。その素性、性能、デザイン……NSXへの賞賛は、いくら言葉を用いても語り尽くせないほどだ。

進化版はMT仕様に3.2リッター搭載

 ホンダ渾身のスポーツカー、NSXは、鮮烈なデビューから6年あまりが経過した1997年2月、大幅なマイナーチェンジを受ける。最大のトピックは、MT車に搭載された3.2リッターエンジンだ。従来のパワーユニットをリファインしたエンジンは、ファイバーレインフォースドメタル(FRM)の採用によりシリンダー間壁を縮小し、サイズはそのままに排気量アップを実現。排気量3179ccで、最高出力は280ps/7300rpm、最大トルクは31.0kg-m/5300rpmをマークした。3.2リッターエンジンは、排気量アップと吸排気系の変更により、トルクピークポイントをそのままに、全域でのトルクアップを実現。さらに爽快なエンジンフィーリングを獲得した。また、プリチャンバーを6個追加し、抵抗を増やすことなく力強い排気音を獲得したのも話題となった。

 MT仕様のトランスミッションは、クロスレシオの6速に変更。ブレーキディスクローターの16インチ化も実施した。サスペンションおよび電動パワーステアリングの見直しなどにより、コントロール性や、ステアリングフィールを向上。空力性能を引き上げる新デザインのフロントアンダースカートも装備している。NSXのスポーツポテンシャルは、すでに卓越の領域に到達していたが、一段と磨かれ世界超一級品を凌ぐほどになった。

さらに走りを極めたタイプS新登場

 バリエーションには、新たにタイプSが加わった。タイプSは軽量シートの採用や電動パワーステの簡略化などで約45kgの軽量化を実現。専用サスペンションチューニングは、ワインディングロードを「極めて爽快に駆け抜けること」をテーマに開発。鷹栖テストコース、鈴鹿・筑波サーキットとともに、一般のワインディング路を舞台に仕様を煮詰め、最終仕上げはニュルブルクリンク北コースで行った。

 タイプSの車高は10mm低減され、スポーツドライビングの楽しさを際立たせたモデルとして開発。専用デザインのBBS鍛造アルミホイールの採用により、4kgのバネ下重量の軽量化も行っている。そのほか、MOMO社製本革巻きステアリングホイール、レカロ社製フルバケットシート、チタン削り出しシフトノブ、メンテナンスリッドやサイドインテークの軽量メッシュグリルなども採用した。
 硬派のマニアに向けた、タイプS・Zeroの発売も話題を集める。タイプS・Zeroはサーキット走行をメインとし、エアコンやオーディオなどの装備の非装着、遮音シートの軽減などで96kgの軽量化を行い、ハードセッティングのサスペンションを採用。こちらはかつてのタイプRの後継グレードという位置付けだった。