エアウェイブ 【2005,2006,2007,2008,2009,2010】

楽しい工夫を満載した個性派ステーションワゴン

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生活をサポートし刺激するステーションワゴンの開発

 ホンダは、クルマ好きの集団である。スポーツカーはもちろん大好き。どんなジャンルのモデルでも、ライバルとはちょっと違う“楽しい工夫”を盛り込むことが得意だ。2005年4月にデビューしたエアウェイブも例外ではなかった。

 エアウェイブは、使い勝手に優れた5ナンバー規格のステーションワゴンである。しかし広いラゲッジスペースだけを追求したわけではない。ステーションワゴン本来のキャラクターに思いをめぐらし、ホンダらしいアイデアを満載していた。開発陣は「ステーションワゴンは、ユーザーの多様なライフスタイルをサポートし刺激するクルマ。行動半径が広くなるクルマでなくてはならない。そのために必要なのは快適なキャビン。使い勝手に優れたラゲッジ空間は必須だが、その空間を使いこなす気になる演出が必要」という結論に達した。

 エアウェイブのベース車両は、コンパクトカーのフィット。独創のセンタータンクレイアウトにより、アレンジ自在な室内空間を実現したフィットの美点をそのままに、開発陣はエアウェイブでは、新たな心地よさを追求する。

大型スカイルーフが抜群の開放感を演出

 エアウェイブのボディサイズは全長4350×全幅1695×全高1515(FF・Gスカイルーフ)。ライバルのカローラ・フィールダーなどと車両サイズは同等だったが、短いノーズ長にまとめたモダンなスタイリングが先進イメージを強調した。パワーユニットは全車1496ccの直列4気筒SOHC16V(110ps/14.6kg・m)。トランスミッションはCVT。駆動方式はFFと4WDが選べた。

 エアウェイブの個性は、広い室内空間にあった。室内長は1930mmとゆったりとしており、高さも1250mmと十分。そこに座り心地に優れた大型サイズのシートを配置する。さらに、空を滑空しているような心地よい空間“エアリーキャビン”をコンセプトに、一部グレードに大面積(前後1100mm×幅770mm)のスカイルーフと呼ぶガラスルーフを設定。季節や天候を問わず開放感を感じられる空間を創造した。
 スカイルーフは、プライバシーガラスと断熱性に優れた高熱線吸収UVカットガラスを組み合わせ、紫外線や強い日差しに配慮。3分割構造の電動サンシェードと組み合わせて多彩なアレンジを可能としていた。

 エアウェイブの広い室内空間とスカイルーフの組み合わせは、前後席での会話を弾ませ、ドライブの楽しさが実感できる新鮮さを備えていた。さらにドライブ先でも威力を発揮した。前席をフルリクライニングすると、後席とフラットに繋がり、足を伸ばしてゆったりとくつろげるフリー空間が誕生したからだ。エアウェイブの室内は、ユーザーの遊びゴコロを心地よく刺激した。

荷室は低床&フラット。2700mmの長尺物が積載可能

 ラゲッジルームの広さも圧倒的だった。6対4分割の後席にはダイブダウン機構が組み込まれ、ヘッドレストを外すことなく前に倒すだけで荷室長1810mmの低床・フラット空間が生まれた。さらに助手席をリクライニングさせると最長2700mmの長尺物も積み込めた。それだけではない。後席の座面にチップアップ機構を内蔵。高さ1250mmの自由空間が出現させることが出来た。背の高い観葉植物の積み込みや、レジャーに出掛けた際の着替えなどに最適なスペースが生まれたのである。エアウェイブの荷室の広さと多彩なアレンジは、ライバルを数歩リードしていた。

 実際の走りもよかった。ベース車のフィットは足回りが固い印象で、乗り心地に優れたクルマとは言えなかった。しかしホイールベースがフィットより100mm長く、車重も重くなったエアウェイブはしなやかなフットワークの持ち主。110psを発揮する1496ccのパワーユニットもパワフルな印象があった。高速クルージングも余裕たっぷり。山岳ワインディングロードでもスポーティな走りが楽しめた。

 エアウェイブは、ステーションワゴンとしてはもちろん、先進のパッセンジャーカーとして完成度が高かった。しかしメーカーが期待したほどの販売実績は記録できなかった。理由は、装備・仕様の充実を図ったため、車両価格がライバルよりやや高くなってしまったことにあったようだ。上級モデルのLスカイルーフの価格は175万3500円(FF)。これにナビゲーションやアルミホイールなどを加えると210万円を突破した。魅力的なモデルだったが、ユーザーの予算を超えるケースが多かったのである。

 ちなみに エアウェイブにはアウトドアユースを想定した魅力的なメーカーオプション「アクティブパッケージ」が設定されていた。アクティブパッケージは通気性を確保しながら水を弾き、汚れにくい撥水シート表皮、泥や汚れが拭き取りやすいプレイングボード付きラゲッジスペース、サテン調モールディング、フォグランプ、ダークシルバーアンダーガーニッシュ、ダークシルバーホイールカバーのセット。全グレードに設定され価格は9万1350円だった。名称どおりエアウェイブをアクティブに使いこなすのに最適な装備パッケージだった。