テラノ・レグラス 【1996,1997,1998,1999,2000,2001,2002】

タフで優しい、都会派の上質4WDワゴン

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都会を目指した新発想!

 テラノ・レグラスは荒野より都会を目指したラグジュアリーSUVの先駆である。“上質な個性を主張するパーソナル・スポーツ・ユーティリティ”をコンセプトに開発された。ベースモデルはテラノだが、エクステリア&インテリアはもちろん、サスペンションなどの味付けを独自のものとし、レグラスらしい個性を発散していた。カタログで「オフローダーの力と、高級セダンの美しさとが調和する「4×4スペシャルティ」というまったく新しいジャンルです」と主張した意欲作である。

 レグラスがデビューした1996年8月は、すでに第1次四駆ブームが去り、ユーザーのニーズはミニバンに代表される多機能なクルマに移行しつつあった。またSUV自体も、悪路走破性を優先させたヘビーデューティモデルではなく、ホンダVR-VやトヨタRAV4といった乗用車派生のモデルが注目を浴びていた。そんななかでのブランニューモデルである。新しい価値の提唱は必須だった。レグラスが提案したのは、本物の機能を持った高級感溢れるマルチユースカーという概念だ。

駆動システムは電子制御の4WD

 ベースとなったテラノは、モノコックボディにサブフレームを組み付けた軽量で強靱なボディ構造と、フロントがストラット、リアが5リンク方式の前後サスペンションが生むしなやかな乗り心地が美点だった。レグラスはその美点をさらに磨き込み、テラノにはない上質なフィールを与えたクルマと言えた。駆動方式は電子制御により最適な駆動力配分を行うオールモード4×4である。

 スタイリングは大型リアゲートを持つ4ドアワゴンで、ボディ同色の大型バ
ンパー、オーダーフェンダーと一体となったサイドステップ、室内マウントのスペアタイヤなどがお洒落なイメージを発散する。上級グレードに標準装備のアルミホイールもメッキ処理の都会的なデザインが与えられていた。

 室内も同様である。室内基調カラーはシックなグレーかオリーブで、インパネ中央には大型木目パネルを採用。全車がスポーティな4本スポークステアリングを採用しデュアルエアバッグ、エアコン、パワーウィンドー、集中ドアロックも標準だった。ヘビーデューティモデルである前に上質ワゴンとして仕上げられていたのだ。前後フルフラット機構、リアシートリクライニング、分割可倒システムを持つ後席など機能性も十分で、並みのサルーンより使い勝手、快適性ともに優れていた。

完成度の高さでユーザーを魅了

 パワーユニットは170ps/4800rpm、27.1kg・m/2800rpmのスペックを誇るVG33E型の3274ccのV6ガソリン仕様と、新開発の150ps/3600rpm、34kg・m/2000rpmを発揮するQD32ETi型直4ディーゼルターボの2種。ガソリン仕様は静粛さと伸びやかな加速でユーザーを魅了し、ディーゼル版はトルクフルな味わいと燃費のよさが光った。トランスミッションは全車が電子制御の4速タイプを採用していた。

 レグラスは走りのフィールドを選ばない新ジャンルカーだった。都会では高いアイポイントによる良好な視界により運転しやすく、しなやかな乗り心地が印象的だった。舞台を高速道路に移すと伸びやかなパワーと静粛性が満喫できた。しかもオフロードや雪道の走りもハイレベル。室内の広さやラゲッジルームの使い勝手も一級品だった。1台のクルマに期待されるさまざまな要素をひとつひとつハイレベルに仕上げたクルマだったのだ。時代に先んじたコンセプトは、車両価格が高価だったこともありユーザーに十全に理解されたとは言えなかったが、レグラスのデビュー後、世界的に高級SUVがブームになったことがそのコンセプトの先進性と正しさを証明していた。