MR2 【1989,1990,1991,1992,1993,1994,1995,1996,1997,1998,1999】

ミドルリアルスポーツに成長した第2世代

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新しいパーソナルドライビングマシンの開発

 後にバブル景気と称される好景気とともに、クルマの上級志向が急速に進んだ1980年代後半の日本。その最中にトヨタ自動車は、国産乗用車唯一の量産ミッドシップスポーツカーであるMR2の全面改良を企画した。

 第2世代で目指したのは、充実した時間を享受できる“パーソナルドライビングマシン”への転換だった。開発コンセプトは、「遊びごころのあるオトナが、満たされた時を過ごすための道具」。このテーマのもと、パーソナルな時間と空間を楽しむための高品質な内外装、爽快感を得るための鮮烈な動力性能と秀逸なハンドリングを、先進的な技術とクラフトマンシップによって実現することを目標に定めた。

2代目はすべてがワンクラスアップ

 メカニカルコンポーネントは、初代がカローラ用を取り入れていたのに対し、新型はひとクラス上のセリカ用をベースとする。ホイールベースは従来比80mm長い2400mmに設定。サスペンションはフロントにマクファーソンストラット式を、リアに使用パーツの剛性アップなどを図ったデュアルリンクストラット式を採用した。足元は前6JJ×14ホイール+195/60R14タイヤ、後7JJ×14ホイール+205/60R14タイヤの前後異サイズを装着。また、制動機構には4輪ベンチレーテッドディスクブレーキ(前輪2ポットキャリパー)を、操舵機構には新しい車速感応型パワーステアリングのEHPSを組み込んだ。

 ミッドシップに横置き搭載するエンジンは、ツインエントリーセラミックターボや空冷式インタークーラー、メタル担体マニホールドコンバータを装備した新開発の3S-GTE型1998cc直列4気筒DOHC16Vターボ(225ps/31.0kg・m)と可変吸気システムおよびステンレスパイプエグゾーストマニホールドを組み込んだ3S-GE型1998cc直列4気筒DOHC16V(165ps/19.5kg・m)の2機種のレーザーα3S-IIユニットを設定する。トランスミッションは3S-GTEユニットにシンクロ機構の改良などを図った5速MTを、3S-GEユニットに5速MTとエンジン統合制御のECT-S(4速AT)を組み合わせた。

内外装は鮮烈な純スポーツカールック

 エクステリアは、“パワーサーフェス(力面形)”をテーマとした張りのある曲面フォルムで構成する。具体的には、リトラクタブルヘッドライトを組み込んだ低く鋭角的なフロントノーズからリアデッキへと続くウェッジシェイプに2シーターレイアウトのフォワードルックキャビン、ボディと面一化したバンパー、有機的なカーブを描くフロントフェンダー、ミッドシップカーならではのサイドエアインテークどでエキサイティングなスタイリングを創出。ボディサイズは従来比で220mm長く、30mm幅広い全長4170×全幅1695×全高1240mmに設定。また、ボディ面のフラッシュサーフェス化やアンダーフロアの採用、タイヤ前スパッツの装着などによって、空気抵抗係数(Cd値)はクラストップレベルの0.31を実現した。

 インテリアはスポーツカーらしいタイトなイメージと開放感を融合。キャビン全体に豊かなボリューム感を持たせることによってクルマと乗員の一体感を演出する。インパネおよびセンタークラスターはドライバーを囲むような造形でアレンジ。運転席にはさまざまなアジャスト機構を内蔵したスポーツシートを組み込み、上級グレードの表地には高品質なエクセーヌ+本革を採用した。アメニティの追求にも抜かりはない。空調システムは冷暖房の風量を増大させるとともに、ブロア無段階制御のオートエアコンを装備。積載性を高める目的で、運転席後部へのストレージボックス(容量約10L)の設定やラゲッジスペースの拡大(従来比で約+50%)なども実施した。

“Midship Express”のキャッチを謳って登場

 第2世代のMR2は、SW20の型式を付けて1989年10月に市場デビューを果たす。キャッチコピーは“Midship Express”。車種展開は3S-GTEエンジンを積むGT、3S-GEエンジン搭載のGリミテッドとGという3グレードで構成。全グレードで標準ルーフとTバールーフの選択を可能としていた。

 基本キャラクターをライトウェイトスポーツからミディアム級の大人のスポーツカーへと刷新した2代目MR2。しかし、デビュー当初の走りの評価は決して芳しくなかった。3S-GTEエンジンの高いパフォーマンスに対してシャシーが追いついていない、制動性能が不十分、操舵レスポンスが緩慢など、数々の不満点が示されたのである。国産で唯一、かつトヨタ独自の量産ミッドシップスポーツカーを、このままで終わらせるわけにはいかない——。トヨタの開発陣は積極的な改良を2代目MR2に施し、完成度を高める。

マイナーチェンジで完成度を高める

 1991年12月のマイナーチェンジ(通称II型。これに伴い初期モデルはI型と呼ばれる)では、シャシー全般のリファインとブレーキ性能の強化、タイヤとホイールの15インチ化(前6JJ×15ホイール+195/55R15タイヤ、後7JJ×15ホイール+225/50R15タイヤ)、ステアリングギアボックスのラックガイド構造の改良を実施する。GT系グレードはビルシュタイン社製ダンパーやビスカスカップリングLSDを装備し、トランスミッションの2速のトリプルコーンシンクロ化および3速のダブルコーンシンクロ化、シフトノブの形状変更およびクラッチペダルストロークの短縮化を行う。同時に装備を簡略化した走り指向のGT-Sグレードも追加した。

 さらに、MOMO社製ステアリングホイール&シフトノブとレカロ社製スポーツシートを設定。運転席SRSエアバッグのオプション化、サイドドアビームおよびシートベルト非装着警告灯の装備、フロントリップスポイラーの大型化、サイドプロテクションモールのカラー化、リアガーニッシュ変更などを実施した。

 1993年10月には2度目のマイナーチェンジ(通称Ⅲ型)を行い、エンジンの吸排気系および動弁系の改良による出力アップ(3S-GTEユニットが245ps/31.0kg・m、3S-GEユニットがMT180ps/19.5kg・m、AT170ps/19.5kg・m)やスポーツABSの設定、サスペンションのセッティング変更(ビルシュタイン社製ダンパーの減衰特性の最適化や3S-GEエンジン車への2段絞りバルブ付ダンパーの組み込みなど)およびボディ剛性の強化、ステアリングのピニオンギア精度向上とEHPSへのモーター電圧フィードバック制御の追加、ブレーキブースターの変更および2段サーボの採用、ウィングタイプのリアスポイラーの装着、リアコンビネーションランプのデザイン変更などを実施する。さらに、1996年2月には傘下のトヨタテクノクラフトがGグレードをベースにオープンモデルに仕立てた「MRスパイダー」を受注販売した。

 1996年6月になると3度目のマイナーチェンジ(通称Ⅳ型)を行い、デュアルSRSエアバッグや改良版スポーツABSの標準装備化、フロントターンシグナルランプおよびクリアランスランプの白色レンズ化、切削光沢アルミホイールの採用、グリーンガラスの装着などを実施する。そして、1997年12月には4度目のマイナーチェンジ(通称Ⅴ型)を施行。排気側VVT-iを組み込んだ“BEAMS”3S-GEエンジン(200ps/21.0kg・m)の搭載や可変式リアスポイラーの採用、新5本スポークアルミホイールの装備、内装パーツの一部デザイン変更などを行った。

約10年におよぶロングセラーモデルに成長

 1999年10月になるとMR2の実質的な後継車で、初代のライトウェイトスポーツ志向に回帰、さらにはワールドワイドで販売台数を伸ばすマツダ・ロードスターをライバルに据えた「MR-S」(ZZW30型)がデビューする。これに伴い、2代目MR2の販売は終焉を迎えた。

 ハイソカー・ブームやRV(レクリエーショナルビークル)ブームを横目で見ながら、10年あまりの長きに渡って生産され続けた第2世代のMR2。デビュー当初こそ、走りにいくつかの課題を抱えていたが、その後の改良で、世界一級のパフォーマンスの持ち主に成長する。

 市場の動向に即した“マーケットイン”のクルマ造りに定評のあるトヨタ自動車にあって、オリジナリティあふれる提案形の“プロダクトアウト”が頑固に貫かれたその足跡は、まさに企業スローガンの「Fun to Drive=誰もが運転する楽しさを感じるクルマをつくるという精神と技能」を体現した。名車と呼ぶにふさわしいMRスポーツと言えた。今後、ますます評価が高まるに違いない。