JAF−1 【1963〜2013】

日本の自動車ユーザーをサポートするFIA加盟の社団法人

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発足の契機は東京オリンピック

 後に岩戸景気と呼ばれることになる好景気真っ只中の1959年。日本で初開催となるオリンピックが1964年に東京で催されることが発表された。ここで、ひとつの懸念材料が示される。海外からやってくる選手団および関係者や観光客に対する国際運転免許証の発行の急増が予想されたのだ。また、海外からの車両持ち込みの増加に対処する必要性も出てきた。

 従来、これらの業務は社団法人のジャパン・オートモービル・アソシエーション(JAA。1951年設立)が担っていた。しかし、JAAは資金難に苦しむなど組織運営が不十分で、オリンピックによる需要増には対応しきれない可能性が浮上する。国家の威信にかけた一大イベントを、滞りなく運営しなければならない−−。そこで政府関係者と自動車業界関係者がタッグを組み、1962年に「日本自動車連盟」(ジャパン・オートモービル・フェデレーション。略称JAF)を設立。後にJAAと合併し、1963年には社団法人となって業務を開始した。

自動車ユーザーの安全と安心を支えるために−−

 国際自動車連盟(FIA)にも加盟した社団法人のJAFは、その基本理念として「自動車ユーザーに対し、安全と安心の支えとなるサービスを提供するとともに、交通の安全と環境のための事業活動を積極的に推進し、健全なくるま社会の発展に貢献する」と規定する。また、この理念を具現化する行動指針としては、1:法令の遵守、2:交通安全の推進②環境保全の推進。3:社会への貢献、4:情報管理の徹底㈮品質の向上と安全への取り組み、5:コミュニケーションづくりなどを策定。さらに、運営指針では1:サービスのJAF、2:チャレンジするJAF。3:開かれたJAFといった項目を掲げた。

 JAFは日本の自動車ユーザーの権益を確保する事業のほかに、FIA加盟団体としての国際活動も積極的に推進する。国連による交通安全キャンペーンに参加するほか、自動車カルネ(通関手帳)の発行や外国運転免許証の日本語翻訳などを実施。また、FIAが1カ国に1団体だけ公認するモータースポーツ統轄団体(オーソリティ・スポーツ・ナショナーレ。略称ASN)としての認定も創立当初から受けている。

モータースポーツ統括団体としても機能

 JAFが日本で行っている具体的な活動は、1:ロードサービス、2:交通安全推進活動。3:地球環境保全活動、4:要望・提言活動、5:会員サービス、6:モータースポーツという6項目だ。

 ロードサービスは故障や事故などで自走不能になったクルマの救援に関わる業務で、一部離島を除いた全国のどこでも年中無休・24時間体制で依頼に対応する。救援内容としては、牽引やエンジントラブル、パンク、バッテリー上がり、キー閉じ込み、落輪、燃料切れなど多岐に渡る。当初は三・四輪自動車だけのサービス対応だったが、2005年からはモーターサイクルにも拡大展開された。また、地震や台風などの大規模災害時には“JAFロードサービス特別支援隊”を派遣。自治体や警察などと連携して車両の救援活動にあたっている。

 交通安全推進活動については、先進安全自動車の体験イベントやシニア向けの講習会、ユーザー目線での実証テスト、幼児向けの交通安全教育などを実施する。地球環境保全活動では、自然体験イベントを筆頭にエコドライブ講習会やEV充電サービスなどを敢行。さらに、要望・提言活動では道路使用環境改善要望活動やシートベルト着用率調査などを、会員サービスでは会員優待施設の設定や『JAF Mate』の発行、各種イベントの開催などを行っている。

 モータースポーツに関しては、国内四輪レースやラリー、ダートトライアル、サーキットトライアル、ジムカーナ、カート等の普及・振興に最大限の努力を傾ける。具体的な業務は、諸規則の制定やライセンスの発給、クラブおよび団体の登録、競技の開催許可、競技に関する紛争の裁定など。また、ライセンス所持者に向けて『JAF MOTOR SPORTS』の発行も手がけている。

 JAFの活動実績を数字で見ると、2013年時でロードサービスが年間で約260万件(12.5秒に1件の出動!)、ロードサービス基地が249カ所、契約する指定工場が1533社、会員数が1758万人(運転免許保有者の4.7人に1人)、会員優待施設が2万9000カ所以上にのぼる。日本の自動車ユーザーのカーライフに寄り添う巨大パートナー−−それがJAFである。