日産ECO3 【2005,2006,2007,2008】

2000年代後半に新電気自動車を積極提案



電動車両の可能性を示唆したPIVOシリーズ

 日産が推進するZEV(Zero Emission Vehicle)を具現化し、かつ今後のカーライフを大きく変える次世代モデルとして、電気自動車(Electric Vehicle)の開発に力を入れた日産自動車。「PIVOシリーズ」は、「EVによって日常の生活がどのように変わるかを提示する未来予想図としてのコンセプトカー」をテーマに企画した渾身作だった。

 PIVOの初代モデルは、2005年開催の第39回東京モーターショーで初披露された。開発にあたって心がけたのは「ユーザーフレンドリーを基本に、将来のEVの可能性をわかりやすく示唆するクルマ」。電動パワートレインによってもたらされる自由度の高い車両レイアウトをベースとし、キャビンの向きが前後に変えられて行きたい方向に動くことを可能とした“X by Wire”や見えないことによるストレスを解消したシースルーピラー/アラウンドビューモニター/IRコマンダーといった技術が盛り込まれる。フレンドリーかつ未来テイストを感じさせる内外装のデザインも特徴だった。

 2007年開催の第40回ショーでは、「いつでも楽しく、どこでも便利」というキャッチを掲げた発展版のPIVO2が登場する。“by Wire”技術はいっそうの進化を図り、各ホイール内にモーターを置く“IWM”(インホイールモーター)や360度回転キャビン、可変ジオメトリーの“メタモシステム”などを実現。また、ドライバーを常に楽しい気分にさせるよう、表情や会話からドライバーの状態を推定してコミュニケーションを図る“ロボティック・エージェント”やラウンジチェア風のパッセンジャーシート(乗車定員は3名)なども採用した。

スポーツタイプのコンセプトEVも開発

 2007年開催のフランクフルト・ショーでは、スポーツタイプのコンセプトEVを雛壇に上げる。コンピュータに慣れ親しんだ若い世代に魅力を感じてもらえることを目的に開発した「Mixim」(ミクシム)だ。
 “融合”を表す英語のMixから発想した造語で、「リアルとバーチャルの融合による新しい運転体験の創造」を意味する車名を冠したMiximは、パワートレインに日産独自の“スーパーモーター”を採用する。電気モーター兼ジェネレーターの2軸モーターであるスーパーモーターは前後アクスルに各1個装備され、4WDの駆動レイアウトを形成した。モーターを駆動するのは、小型で高性能なリチウムイオンバッテリー。充電の補助機構として、回生ブレーキシステムも組み込んだ。

 スタイリングに関しては、ヘルメットをモチーフにアレンジしたクーペデザインを採用。ガルウィング開閉のドア、エッジを利かせたキャラクターラインなど、各部のデザインにも工夫を凝らした。ボディサイズは全長3700×全幅1800×全高1400mmで、ホイールベースが2530mm。車両重量は1トンを切る950kgに収め、スポーティな走りを可能とした。

新しいシティコミューティングの提案型EV

 2008年開催のパリ・モーターショーでは、新しいシティコミューティングを提案したコンセプトEVの「NUVU」(ニューヴ)を披露する。人口密度が高まる世界中の大都市において、交通環境と大気汚染の改善に貢献することを目的に企画されたNUVUは、ラミネート型の高エネルギー密度(140Wh/kg)リチウムイオンバッテリーをシート下部に、駆動用電気モーターを車体後部に配置(後輪駆動)。フル充電に要する時間は家庭用220V電源で3〜4時間、急速充電器で10〜20分で完了し、航続距離は125kmを実現した。

 スタイリングは熱帯魚をモチーフにし、ルーフ部には“エナジーツリー”の葉として機能する太陽電池パネルを組み込む。ボディサイズは全長3000×全幅1700×全高1550mm、ホイールベース1980mmとコンパクトに仕立てた。室内レイアウトに関しては、2+1シーターの3名掛けで構成。また、インテリアパーツには天然素材やリサイクル材を多用する。ほかにも、“by Wire”技術を取り入れたステアリングやブレーキ機構、ドアミラーの代わりとなる小型カメラの映像や車両を俯瞰するアラウンドビューカメラの映像を映し出す各モニターなど、先進技術を目一杯に盛り込んだ。

 多様なアプローチのコンセプトEVを、積極的に企画した2000年代後半の日産自動車。ZEVの柱にEVを据え、その開発に精力を傾けたスタッフの奮闘努力は、2010年になるといよいよ量産モデルとして結実することとなった。