日産デザイン10 【1988,1989】

901運動を背景にしたデザイン革新

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社会現象ともなったハイソカーの登場

 久米豊社長の大号令のもと、「1990年代には技術の世界一を目指す」という“901運動”を開発部門などで大々的に展開した1980年代後半の日産自動車。運動の象徴的なモデルは、まず新世代のハイソカーとなって1988年1月に市場に現れた。3ナンバーサイズの4ドアハードトップボディを纏ったセドリック/グロリア・シーマ(FPY31型系)だ。

 シーマ・シリーズは500万円を超す高級車らしく、内外装のアレンジが非常に凝っていた。スタイリングに関してはロング&ワイド&ローの4ドアハードトップボディを基本に、上質なメッキグリルとオーナメント、たっぷりとした張りのあるフード、サイドからリアまで続くボリューム感のある曲面ラインなどを採用して独自の高級感を演出する。さらに、外板には表面が均質で鮮映性に優れたレーザーミラー鋼板などを使用したうえで、最新の高品位塗装を取り入れた。インテリアについても、外観に負けない高級感を創出する。シート表地は100%ウール素材で、運転席は全グレードともパワー調整機構付き。助手席もベーシック仕様を除いてパワー調整機構を装備する。エンターテインメント面での装備も豊富で、イコライザー&TVチューナー付きオーディオやJBLスピーカー、ハンズフリー自動車電話などを設定した。

 シーマはメーカーの予想を大きく超える販売成績を記録する。マスコミではこの爆発的な売れ行きに注目、やがて“シーマ現象”というフレーズで高級車ブームを括るようになった。

“ART FORCE”のキャッチを冠した5代目スペシャルティ

 シーマの華々しいデビューから4カ月ほど経過した1988年5月、スペシャルティカーのシルビアが5代目のS13型系に切り替わる。キャッチフレーズは“ART FORCE”。芸術的なスタイリングと力強い走りを併せ持つ新世代スペシャルティであることを主張した。

 エクステリアについては、曲面と曲線で構成したワイド&ローのフォルムを基本に、エレガントで流麗なルックスを創出する。特徴は、車体を横から見た際にフードからウエストライン、トランクリッドへと連続して緩やかなS字の孤を描く“エレガントストリームライン”。この造形によりサイドビューの伸びやかさと華やかさを強調した。インテリアに関しては、インパネからコンソール、ドアトリムにいたるまでを一体曲面構成とし、前席乗員を柔らかく包み込むエレガントなキャビン空間を構築する。加えて、曲面と曲線でアレンジした一体成型のモダンフォルムシートを装着した。フロントウィンドウディスプレイや電子制御アクティブスピーカーといった先進アイテム導入も積極的だった。

“走り”のスポーツモデルの復活

 1989年に入ると、まず5月に8代目となるスカイライン(R32型系)が市場デビューを果たす。車両デザインに関しては「躍動感、ニュー、おしゃれ、オリジナリティ、ハイパフォーマンス」の5テーマを掲げて造形を手がける。ボディタイプは2ドアクーペと4ドアセダンの2タイプを設定。ボディはロー&ワイドでコンパクトなフォルム、しかもそれがシャープでスポーティなスタイリングにまとめられていた。インテリアは「スポーツマインドにあふれた空間」を目指して各部がデザインされる。コクピットはフロアレイアウトの改良などによってヒップポイントが下がり、さらに一体成形のシートが乗員をしっかりとサポートする。

 8月になるとR32型系の頂点となる2ドアスポーツクーペGT-R(BNR32型)が発売される。エンジンはRB26DETT型2568cc・直6DOHC24Vツインターボを搭載。綿密なチューニングを施した電子制御トルクスプリット4WDやスーパーHICASも装備する。内外装デザインへのこだわりも徹底していた。外装は当初から5ナンバー枠にとらわれず、アグレッシブなブリスターフェンダーを採用してワイドな前後トレッドを確保する。冷却性能を高めた専用グリル&バンパーやダウンフォースをかせぐ大型リアスポイラーも、何度もテストを重ねてスペックを決定した。内装はモノフォルムのバケットシートに注目。ドライバーの筋肉の動きと血液の流れをデータ収集し、これらを参考にして最適の形状を作り出していた。

先進フォルムをまとった4代目Z-CAR

 8代目スカイラインのデビューと同月、アメリカ市場では4代目となる新型フェアレディZ(Z32型系)が発表される。そして2カ月後の7月には、日本での発売も開始された。

 4代目Zの基本造形は、キャビンフォワード/ワイド&ロープロポーション/コーンシェイプで構築する。空力特性も重視し、空気抵抗係数(Cd値)は0.31という優れた数値を達成した。ボディタイプは従来と同様に2シーターと2by2を用意。気軽にオープンクルーズが楽しめるTバールーフも設定する。インテリアについては、「気持ちの昂りをおぼえる刺激的なスポーツカーテイスト」をテーマに各部をアレンジ。具体的には、ヒップポイントを下げた低いドライビングポジションと高減衰ウレタンを内蔵した専用バケットシート、ドアタワーに組み込んだ前席シートベルト、視認性と操作性に優れるインパネなどを採用した。また、チタン製のイグニッションキーやアルミ材の車載ジャッキなど、装備品にも徹底的にこだわっていた。4代目Z-CARは、初代と並び、歴代モデルで屈指のスタイリッシュモデルという評価が高い。