ローレル 【1980,1981,1982,1983,1984】

先進的ハイオーナーカーを目指して--

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1980年代に望まれるものとは

 1968年4月に初代モデルが発売されて以来、日産自動車のローレルは、一貫して「豪華さ、ゆとり、格調の高さを兼ね備えたひとクラス上の高級ハイオーナーサルーン」を目指してきた。4代目を企画するに当たり、開発陣は従来の路線を踏襲しながら、「1980年代にふさわしい先進性と国際性を持つクルマ」に仕上げることを目標にする。具体的には、先進機構の積極的な採用、省エネおよび安全性の追求、国際性のある端正で格調高いスタイリング、快適でゆとりのある居住空間、クラス随一の優れた走行性能などを目指した。

 スタイリングに関しては、欧州調のクリーンなデザインを基調にしながら、スラントノーズおよび低くしたフード前方などにより、空気抵抗の少ないボディ(Cd値はセダンが0.41、ハードトップが0.38)を構築する。ボディタイプは、従来と同様に4ドアセダンと4ドアハードトップを設定した。
 インテリアについては、床面を下げて室内高を増大(セダンで従来比+35mm、ハードトップで同+25mm)、ドア構造の見直しなどによって室内幅も拡大(セダンで従来比+15mm、ハードトップで同+30mm)する。さらに、リアシートを従来より20mm後退させて広い後席レッグスペースを実現する。

パワーユニットは全8種搭載

 装備面はシートサイズの拡大と表地の厳選、国産車初のフリーシートセッター(無段調整シートリフター)の採用、マイコン制御オートエアコンおよびフラットタイプピュアトロン(空気清浄器)の設定、ハイクオリティサウンドシシテムやリアガラスアンテナを装備する。世界初採用のタイマー付きパワーウィンドウや足踏解除式パーキングブレーキといった先進機構も組み入れた。

 エンジンはL20ET型1998cc直6OHCターボ(145ps)を新設定するとともに、L20E型1998cc直6OHC(125ps)とL28E型2753cc直6OHC(155ps)にはECCS(電子制御燃料噴射装置)を採用。さらにL20S型1998cc直6OHC(115ps)/Z20S型1952cc直4OHC(110ps)/Z18S型1770cc直4OHC(105ps)のガソリンユニット、LD28型2792cc直6OHC(91ps)/LD20型1952cc直4OHC(65ps)のディーゼルユニットを設定する。
 サスペンションはフロントにスモールスクラブ(スクラブ半径15mm)・ハイキャスター(キャスター角5度)を与えたマクファーソンストラット式を採用し、加えて前後のスプリングを柔らかめにセッティングして乗り心地の向上を図った。さらに上級グレードには、自動車高調整装置のオートレベライザーも装着する。
 安全対策ではフルコンシールドワイパーやハロゲンヘッドランプを採用、衝撃吸収バンパーの装着、前輪ブレーキのベンチレーテッドディスク化を実施。室内では、直接照明と透過照明との組み合わせによるステージライトクリアメーターや車速検知式オートドアロックなどを組み込む。

専門家から高い評価獲得

 4代目となるローレルは、C31の型式を付けて1980年11月に市場デビューを果たす。グレード展開は非常に豊富で、2タイプのボディに8機種のエンジン、5速MT/4速MT/ニッサンマチック(フロアとコラム)のトランスミッション、装備アイテムの組み合わせにより、基本車種はセダンで38グレード、ハードトップで20グレード、計58グレードものワイドバリエーションを誇った。

 欧州調のクリーンなスタイルで登場したC31型系の4代目ローレル。専門家からはシックな外観や広くなった室内、走行時の静粛性の高さなどが好評を博した。しかし販売成績は予想外に伸びなかった。最大の要因は、クリーンにまとめられたスタイリングにあった。当時のハイオーナーカーのユーザーは、クリーンでシンプルな外観よりも重厚感や押し出しの強さを求めたのである。また、先代のC230型系ローレルを改造して愛用していたユーザー(とくに4ドアハードトップで多かった)にとっては、改造栄えしない新しいC31型系のルックスは魅力的に映らなかったのだ。

押し出しの強い外観へ変更

 販売低迷を打開しようと、開発陣は懸命に改良を施す。1981年2月にはスポーティなGXシリーズを追加。同年11月には、ターボエンジン搭載車の高級仕様である2000ターボ・メダリストを設定した(従来はSGX/SGLのみ)。
 1982年9月になると、外装を中心にしたマイナーチェンジが実施される。フロントマスクはグリルのクロームメッキ化や格子デザインの変更などで押し出し感をアップ。テールランプの意匠も、より存在感の高いアレンジに切り替えた。メカニズム面ではベーシックエンジンのZ18S型をCA18S型1809cc直4OHCに換装したのがトピック。また6気筒エンジンに組み合わせるATは、オーバードライブ付きのスーパートルコンに変更された。
 マイナーチェンジのほかにも、ジバンシー・バージョンや50スペシャルなどの特別仕様車を積極的に発売したC31型系ローレルだったが、残念ながら販売の底上げにはつながらなかった。結果的にローレルは1984年10月にフルモデルチェンジを実施して、5代目となるC32型系に移行。新型のルックスは、先々代のC230型系のような押し出しの強いデコラクティブなスタイリングに戻っていた。