ローレルスピリット 【1986,1987,1988,1989,1990】

サニーをベースにした小さな高級車

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上級車ローレルのイメージを投影した小型車

 1982年、サニーとローレルの間の車種ラインアップが希薄だった日産は、隙間を埋めるために、高級化したサニーというべき新しい車種として、ローレルスピリットをデビューさせた。かつて、セドリックとブルーバードの中間車種として、高級化したブルーバードであるローレルが生まれたのと同じ経緯である。車名のローレルスピリット(Laurel Spirit)とは、高級車であるローレルの志を受け継いだ、小さな高級車と言った意味合い。販売店系列はローレルと同様に日産モーター店系列の専売車種とされていた。

 ローレルスピリットの直接的なベースとなったのはファミリーカーとして人気の高かったB11型サニーで、エンジンやサスペンションなどの基本的な部分の変更はなく、主として内外装をローレルに準ずるレベルで高級化したものであった。ローレルスピリットのネーミング通りの成り立ちである。サニー系では1.3リッターと1.5リッター仕様があったが、イメージ上や性能的にも余裕を持たせる必要性からローレルスピリットは1.5リッターエンジンのみの展開とされた。1986年8月、フルモデルチェンジを受けて第2世代となった。

2代目の最上級車はDOHCユニットを搭載

 第2世代では、サニーとの差別化が図られ、ラジエターグリルやリアガーニッシュは専用のデザインとなった。ボディスタイルは5人乗り4ドアセダンのみ。ベースとされたのはやはりB12型サニーで、2430㎜のホイールベースはサニーと同じ。搭載されるエンジンはバリエーションを大幅に増やし、ガソリン仕様が最もベーシックな排気量1487㏄の直列4気筒SOHC(E15S型、出力73ps/5600rpm)、1487㏄のインジェクション仕様(E15E型、出力82ps/5600rpm)、およびパワフルでスポーティーな1598㏄の直列4気筒DOHC(CA16DE型、出力120ps/6400rpm)の3種、ディーゼル仕様が排気量1680㏄の直列4気筒SOHC(CD17型、出力55ps/4800rpm)1種が用意された。

 トランスミッションはオーバードライブ付き4速オートマチック、および3速オートマチック、オーバードライブ付き5速マニュアルの3種。サスペンションはストラット/コイルスプリング、後ろがパラレルリンク/コイルスプリングでサニーと同じ。ブレーキもDOHCエンジン搭載の仕様では前がベンチレーテッドディスクとなるが、SOHCエンジンではソリッドディスク。後はDOHCモデルがディスク、他の車種がドラムブレーキとなる。1987年9月のマイナーチェンジではフルオートフルタイム4輪駆動仕様が加わった。標準装備されるタイヤのサイズは性能に応じて155SR13、175/70SR13、および185/60R14の3サイズが用意されていた。

全車にパワーステを標準装備

 内装はこの種のモデルとしては豪華なもので、エアバッグなどの安全装備はない(シートベルトは全席に備わる)ものの、軽い操舵力で扱えるパワーステアリングは全車に標準装備されていた。価格も当然割高になり、最もベーシックな1500LFが120万円〜、最も豪華仕様を持つ1600ツインカムリミテッドで169万5000円〜となっていた。同時代のサニーが最高でも150万円前後だったのだから、いかにスペシャルなモデルだったかが分かる。

 1990年1月にサニー系が7世代目にチェンジされたことや車種整理などが重なり、ローレルスピリットはわずか2世代でその生産を中止している。