カリーナ 【1992,1993,1994,1995,1996】

環境・安全意識の高まりにこたえたフレッシュセダン

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カリーナはセリカのセダン版という性格で誕生

 カリーナの初代モデルは1970年12月、スペシャルティモデル、セリカのセダン版というキャラクターでデビューした。当初は“足のいい奴”をキャッチコピーに、スポーティな色彩を強く押し出す。そして1972年にはスタイリッシュな2ドアハードトップを追加し、セリカと並ぶ人気モデルに成長した。カリーナは、その後もセリカとともに世代を重ねる。しかし1984年5月、駆動方式をそれまでのFRからFFに切り替えるタイミングで、セダンは、セリカではなくコロナの兄弟車というポジショニングに変わった。

 コロナと基本骨格とメカニズムを共用するようになった4代目以降は、スポーティさよりも、フレッシュなイメージを強調。ユーザー年齢層が高い伝統ブランドのコロナに対して、30代以下の顧客をメインターゲットにする若々しい感覚のファミリーカーというポジショニングを構築する。

第6世代は「さわやかセダン」を目指し開発

 1992年8月にデビューした6代目は、ラウンディッシュなスタイリングを採用。「さわやかセダン」をキャッチコピーにフレッシュさを前面に押し出した。ボディサイズは全長4450×全幅1695×全高1395mm。取り回しに優れた設定で、ラインアップは充実装備のSEエクストラを筆頭に7グレード設定。駆動方式はFFをメインとし、一部グレードに4WDを用意していた。

エンジンはガソリン4種とディーゼル1種の5タイプ。ガソリンはすべて直列4気筒DOHC16Vで、1998cc(135ps)/1838cc(125ps)/1587cc(105ps)/1498cc(105ps)を用意。ディーゼルは直列4気筒OHCの1974cc(73ps)だった。トランスミッションは4速ATと5速MT。中級グレード以上のATは走行状況に応じてシフト制御を自動調節する電子制御タイプになっていた。ちなみに1838ccエンジン装着車にリアスポイラーやアルミホイールを標準装備したSリミテッドというスポーティ指向のモデルを設定していたが、ハイパワーエンジンを搭載した純スポーツグレードの用意はなかった。

環境・安全意識の高まりに応えたまじめな設計

 6代目のセールスポイントは、環境・安全意識の高まりに応えた点だった。衝突の際にボディ前後で効果的に衝撃を吸収し、キャビンの変形を最小限に抑える安全設計ボディCIAS(Crash Impact Absorbing Structure)を採用。さらに運転席エアバッグ(全車オプション)、前後席3点式シートベルトを設定した。環境面の対策としては、代替フロン対応、ノンアスベスト化、リサイクルへの取り組みを積極的に行った。CO2の排出削減につながる燃費の向上にも意欲的だった。主力エンジンとなる1597ccユニットの4A-FE型は、新世代の希薄燃焼方式に改良。従来比で燃費を約10%改善する。実用燃費の指針となる10・15モードで5MT車が17.0〜18.0km/L、4AT車で13.6km/Lをマークした。

 長く付き合えるロングライフ性能を重視したのも6代目の特徴といえた。室内は前後席ともにパッケージングの工夫で広い居住空間を確保したうえで、質感を吟味。各部樹脂材やファブリックのハイグレード化を実施した。さらに小物入収納スペースを多数配置したり、エアコンの標準化など実用性のリファインにも積極的だった。トランクは大容量。一部グレードにクルマの進行方向の方位が分かるコンパス機能付きマルチインフォメーションディスプレイを装着するなど、装備は気が利いていた。

 6代目カリーナは、1994年8月には1838ccの4S-FE型エンジンを、新開発となる1762ccの希薄燃焼7A-FE型に変更。1587ccの4A-FE型も各部を改良するなど、完成度を高める
 6代目は、特別に豪華でも、先進的でもなかったが、時代が求める要素を高い次元で備え、幅広いユーザーに満足感を与えた、多様なライフシーンにマッチするスマートなセダンだった。