クラウン・マジェスタ 【1999,2000,2001,2002,2003,2004】
本格セダンボディに先進メカを搭載した第3世代の上級車
クラウン・シリーズのトップブランドとして、市場から高い評価を受けていたクラウン・マジェスタ。その第3世代を企画するにあたり、開発陣は21世紀を見据えたトヨタ製ラグジュアリーカーの理想像を検討する。得られた結論は、車両の本質である動力性能と走行性能はもとより、環境性能や安全性能、快適性能のすべてを革新すること。21世紀を走るマジェスタは、全面的な革新なくしてはユーザーに提示できないと考えたのだ。
開発陣は、基本パッケージを刷新する。全面新設計のプラットフォームを採用したうえで、エンジン搭載位置を車両の中心方向に移動。同時に燃料タンクを後席床下に置いて、ヨー慣性モーメントの減少とトランクスペースの拡大を実現した。また、着座位置を上げて全高を高くとり、加えてキャビンルーム自体を広げることによって快適な室内空間を創出する。基本ボディタイプは従来のピラードハードトップから、一段とフォーマルなセダンに変更した。
車体寸法は従来モデルと全長4900mmと全幅1795mmを共通にする一方、全高(1455mm)を35mm高くし、ホイールベース(2800mm)は20mm延長。室内長(2050mm)は従来比で25mm長く、室内幅(1530mm)は20mmワイドなディメンションにまとめる。
インテリアは、乗員へのもてなしを第一に考えてデザイン。インパネは視界の広さを継承する造形とし、同時にダッシュボード裏へのクロスメンバー設置やフロアパネルの剛性アップ、ドアミラーの形状変更などによって不快な振動とノイズを低減した。シートは従来以上に座り心地が良く、素材を厳選することで高級感をアレンジ。運転席には新開発の電動デュアルランバーサポートを、後席パワーシートにはクッションを固定したうえでシートバックが可倒する新リクライニング機構を組み込んだ。装備面ではデュアルビジョンオプティトロンメーター、左右独立温度コントロールフルオートエアコン、電動リアサンシェードの採用がトピック。ITS関連ではDVDボイスナビゲーションシステムおよびヘッドアップディスプレイやレーダークルーズコントロールといった新機構をセットした。
搭載エンジンは改良版の1UZ-FE型3968cc・V8DOHC32V・VVT-i(280ps/41.0kg・m)と新開発の筒内直噴“D-4”ユニットである2JZ-FSE型2997cc・直6DOHC24V・VVT-i(220ps/30.0kg・m)の2機種をラインアップする。駆動方式は2WDのFRと4WD(i-Four)を用意。2WD仕様のトランスミッションには、AI-SHIFTを組み込んだ5Super ECT(5速AT)を採用した。先進のエンジンを支えるサスペンションは前後ともにダブルウィッシュボーン式。上級仕様には電子制御エアサスペンションとARS(アクティブリアステア)を設定した。
第3世代となるクラウン・マジェスタは1999年9月、11代目に移行したクラウンとともに市場デビューを果たす。キャッチフレーズは新時代の高級サルーンを強調する意味で「21世紀へ、人生の新しいドアを」と表現。グレード展開は2JZ-FSE型エンジンを積む3.0Aタイプと3.0Cタイプ、1UZ-FE型エンジンを搭載する4.0Aタイプと4.0Cタイプ、4.0Cタイプi-Fourで構成し、3.0Aタイプではウェルキャブ助手席回転シート仕様もラインアップした。
市場に放たれた3代目マジェスタは、当時大きな注目を集めていた環境性能と安全性能の面でも脚光を浴びる。環境性能では全車の新排出ガス規制への対応やリサイクル性に優れた新TSOP(Toyota Super Olefin Polymer)の採用などが特長。安全性能では、予防安全技術として車両安定制御システムのVSCやEBD付ABS、ブレーキアシスト、ASR、タイヤ空気圧警報システムなどを、衝突安全技術として進化版GOAやWIL(頚部障害低減)コンセプトフロントシート、SRSカーテンシールドエアバッグなどを組み込んでいた。
3代目マジェスタは、2000年4月になると本革シートや電動リアサンシェードの設定拡大を実施。さらに2001年8月にはマイナーチェンジを敢行し、フロントグリルおよびリアコンビネーションランプのデザイン変更やインテリア装備の充実化、エンジンイモビライザーシステムの設定などを行う。2002年1月にはマジェスタのデビュー10周年を記念して特別仕様車の「10th Anniversary Edition」を発売した。
2003年12月にはクラウンが全面改良を実施して12代目に移行するものの、法人需要やハイヤーとして高い人気を維持していたマジェスタは既存型を継続する。第4世代に切り替わったのは、12代目クラウンの登場から半年以上が経過した2004年7月のことだった。