タウンエース・ノア 【1996,1997,1998,1999,2000,2001】

“ノア”のサブネームが付いたファミリー向けミニバン

会員登録(無料)でより詳しい情報を
ご覧いただけます →コチラ


新しいセミキャブオーバーパッケージを導入

 1990年代前半の日本の自動車マーケット。ステーションワゴンやSUVとともに高い人気を集めたのが、1BOXタイプの3列シート・ワゴンだった。だが1BOXワゴンには、重要な克服テーマが課せられる。乗員の安全性確保だ。具体的には、ボディ前部のクラッシャブルゾーンの確保が必須課題とされた。

 ベーシック仕様から上級モデルまで、数多くの1BOXワゴンをリリースしていたトヨタ自動車は、この難題に対して前輪の配置やエンジン搭載位置、懸架機構、ダッシュボードおよび前席レイアウト等を徹底して見直す方針を打ち出す。最終的に考案したのが“セミキャブオーバーパッケージ”の車両デザインだった。このデザインを人気の高いタウンエースおよび兄弟車のライトエース・ワゴンの次期型に採用することとした。

開発コンセプトは“ジャストサイズミニバンの本流”

 キャブオーバーパッケージ+前席下エンジン配置から、セミキャブオーバーパッケージ+フロントエンジン配置への大変革を実施するタウンエース・ワゴンは、開発コンセプトとして“ジャストサイズミニバンの本流”の創出を掲げる。

 スタイリングは、扱いやすい5ナンバーボディのセミキャブオーバースタイルを基本に、ミニバンのなかでも際立つ個性と存在感を表現した外形デザインを導入する。フロント部は立体感を持たせたバンパーやマルチリフレクターのヘッドランプにより個性的で引き締まったマスクを創出。タウンエースは2本の横バーグリルでキャラクターを強調した。サイドビューはフロントフェンダーから後方へと流れるキャラクターラインでシルエットを構築。リアセクションは縦長配置のリアコンビネーションランプで存在感を強調するとともに、スクエアで広いゲート開口部を確保する。ルーフ部は標準タイプのスタンダードルーフとハイルーフ形状のスペーシャスルーフの2タイプを用意。開放感を演出するツインムーンルーフも設定した。

広さと使い勝手に気を配った室内

 インテリアは、多人数がゆったりと乗車できる室内スペースを基本に、クラストップレベルの乗降性、多彩なシートアレンジによって“ゆとりの室内空間”を創出する。乗降性では前ドアステップ高を335mm、スライドドアステップ高を380mmと低く設定したうえで、ステップ幅の拡大や乗降用大型アシストグリップの装備を実施。エンジンをボディ前部に移した効果で、フラットで低いフロア面と優れたウォークスルー性も実現した。シートはオールフラット機構やセカンドシートの回転対座、左右はね上げが可能な3列目スーパースペースアップシートを採用し、乗員の使用パターンに応じたアレンジが選択できるように配慮する。また、昇降式パワーウィンドウを組み込んだスライドドアガラスやUVカットタイプのフロントドアガラス、大型一体式のエアロウィンドウトリム、各席用に効果的に配置した収納スペースなどによって快適かつ機能性に優れるキャビンルームを構成した。

 エンジンは、改良版ガソリンユニットの3S-FE型1998cc直4DOHC(130ps/18.5kg・m)と3C-T型2184cc直4OHCディーゼルターボ(91ps/19.8kg・m)の2機種をラインアップする。組み合わせるミッションは5速MTと4速ATの2種。ATのシフトレバーには操作パターンを前後方向とした新開発のイージーコラムシフトを採用した。駆動方式には2WD(FR)とビスカスカップリング式フルタイム4WDの2タイプを用意する。セーフティ機構の面では、衝突安全ボディのGOAやABS、デュアルSRSエアバッグ、フォースリミッター付シートベルト(運転席)などを取り入れた。

優しい語感の “NOAH”をサブネームに採用

 セミキャブオーバーパッケージに一新したタウンエースのワゴンモデルは、新たに“NOAH(ノア)”というサブネームを付けて、1996年10月にデビューする。グレード展開は乗車定員8名のLD/スーパーエクストラ/フィールドツアラーと同7名のロイヤルラウンジ、そして2列式シートのSWを設定。スペーシャスルーフはスーパーエクストラとロイヤルラウンジで選択できた。

 タウンエース・ノアは、優れたユーティリティと洗練された走行性能、そしてリーズナブルな価格設定などが好評を博し、販売台数を順調に伸ばしていく。その人気に応えるよう、メーカー側も車種ラインアップの拡充や内外装およびメカニズムの改良を相次いで実施。1997年6月にはエアロパーツを装備したスポーティ仕様のロードツアラーをリリース。1998年1月には装備アイテムを充実。そして1998年12月にはマイナーチェンジを行い、一層の魅力アップを図った。タウンエース・ノアは、ファミリーカーの定番モデルに成長していく。